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待望の県の「ドクターヘリ」がいよいよ、12月に導入されます。一方で今、財政難から運航を休止している名護の民間ドクターヘリ存続の大きな問題がクローズアップされてきました。Qリポートは、ドクターヘリリポ第4弾です。

浦添総合病院が運営する民間ドクターヘリ「U-PITS」に出動要請が入った。電話は阿嘉島の診療所の医師から。84歳になるおばあちゃんがドアを開けた弾みで転倒し、左太ももを骨折したという。

すぐに、担当のフライトドクター・小林医師と、フライトナースの佐久間さんが向かった。

この日は先島を襲った台風の影響で、時折豪雨に襲われる悪天候。読谷の運航基地では、雨雲の動きをレーダーで確認しながら上空のヘリと交信、適切な指示を出す。

出動要請から3分でヘリに乗り込み飛び立つと、約14分で阿嘉島に到着。外は強い雨。待機している車へ走ると、すぐにおばあちゃんの容態を確認する。

『ヘリコプター来たからね。お医者さん、看護婦さんもいるからね』『今から一緒にいきますからね』

ヘリは無事におばあちゃんを本島の病院へと搬送した。

阿嘉島診療所・新屋洋平医師「船が止まった時点で、患者さんを送る手段がなくなってしまう。それを考えたら命が危なくなっていたであろう人は一人じゃ済まない。離島で医療をする自分にとって(ヘリは)必須と考えています」

この「U-PITS」の活躍の一方で、厳しい財政難の中、現在運航を休止しているもう一つの民間ドクターヘリがある。それが名護の「MESH」だ。

MESHは、浦添から遅れること2年後の2007年に救急ヘリ事業を開始。広大で過疎の多い北部エリアの全てを、15分以内で到着することが出来る高い機動力が大きな注目を集めた。

MESHサポート・小濱正博医師「名護で始めるからこそ北部地域でヘリが生きてくる」

しかし今年2月、それまで事業主体だった北部地区医師会病院が理事長交代とともに、ヘリ事業から手を引くことを決定。ヘリは今年7月に運休した。しかし…。

小濱医師「ここでとにかく踏ん張って、この救急ヘリ事業を残しておかないと、この北部のこれから生きる子ども達や子孫に対して申し訳ない」

ヘリの灯火を消してはいけない。小濱医師らは、医師会病院の協力体制を残しつつ、MESHの救急ヘリ事業を個人や法人の寄付で運営するNPOとして、法人化する道を選んだ。

去年の運航開始から休止までに、MESHが出動した実績は236件。救われた人も数多い。

新城清助さん「伊江島とか国頭とか、ヘリがないと大変ですよ」

今年3月、畑仕事をしていた87歳の新城清助さんは、小型耕運機の操作中に誤って耕運機の刃に両足を巻き込まれる大事故にあった。今でも生々しい傷は残るが、歩くことも出来るほどに回復している。

新城さん「(Q:もしヘリがなかったら?)翌日は葬式だ。ぜひとも協力して、ヘリはあるのがいいよ」

現在「MESH」を支援する会員は1973人。資金も1800万を超えた。それでも、MESHの年間運営予算8000万円にはとても届かない。

8月に枡添大臣がMESHの現状を視察後、来年度のドクターヘリ追加導入を公言。さらに、多くの企業なども、支援金を募るための活動に取り組みはじめた。

「北部にドクターヘリを!」支援の輪はさらに広がり、先日は、東村の伊集(成久)村長が、村としてMESHに助成金を出すことを発表、北部の自治体も動き始めた。

医者自らが行動を起こし、過疎地域の救急医療を改革しようとするその情熱が今、大きなうねりとなっている。

小濱医師「支援の輪というのは非常に広がりを見せています。我々MESHは助けられながら、支えられながら生き残っている組織ですか。北部の人たちのため、あるいは沖縄の県民のために何が出来るかを見据えて仕事をしないといけないなと思っています」

運休しているMESHですが、来月初旬には一定の資金が集まったということで、運航を再開を再開します。しかし、まだまだ経済基盤は脆弱です。MESHサポートでは、一人1000円のサポーターも呼びかけています。

来週のQリポートで続編をお伝えします。

北部地区医師会病院内
 MESHサポート事務局 TEL 0980-54-1006