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安倍総理が重要法案と位置付ける「社会保険庁改革関連法案」や「年金時効撤廃特例法案」などが先週、深夜におよぶ攻防の末、参議院で可決されました。

民主党など野党は、年金記録不備問題の政府の対応策は不十分として、十分な信頼回復も得られない中での法案採決を行うことに強く反発しましたが、与党は採決を強行。

今月の参院選をまえに、年金問題のみそぎともいえる社保庁の改革を強行するにいたった与党。改革法は可決したとはいえ、迫りくる社会保険制度の崩壊の危険は去ったわけではありません。いったいなぜ、このような事態になったのでしょうか。

今日から3回にわたりステーションQでは、いま社会問題となっている「年金」について考えます。一回目の今日は、なぜこのような事態に陥ったのか?現在の年金制度をおさらいしながら考えてみます。

さて、連日のように報道されているのが保険料を払ったのに記録がないという、年金記録の不備問題。公的年金の信頼を失くしてしまう、ずさんな記録管理が大きな問題になっていますが、まずはそこから見てみましょう。

基礎年金番号が導入される1997年以前には複数の年金をもっている人が大勢いたため、この番号を整理する必要がありました。97年、社会保険庁はすべての対象者の番号の整理にとりかかりましたが、それが問題の発端となったのです。

基礎年金番号の導入にあたり、社会保険庁は複数の年金番号をもっているかどうかなどを確認するハガキを一億人に上る全対象者に送付。これに対して返送してきた一割の人を対象に番号の統合を進めてきました。

しかしこの際、入力ミスや名前の読み方などを確認せずにデータ化したほか、記録もれが多数発覚。さらに、社保庁のデータや市町村の台帳に納付記録がないなどのケースも判明。保険料を払ったのに記録がない。「宙に浮いた年金記録」は5000万件という数に上りました。この5000万件のなかには現在、支給が始まっている人の記録もあると見られ、本来受け取れる年金額より少ない金額が支給されている可能性もあります。

安倍総理は今回の問題に対し、「1年以内にすべての記録を調査し確認する」としていますが、あらたに発生する年金支給額は正しいのか、調査の費用などの予算的な問題は?、また調査の正確性はどう確保するのか?など、さまざまな問題は残されたままです。

県内はもちろん、全国の社会保険事務所の職員らがチラシを配り、年金記録の確認に対し理解を求めました。また、数回にわたり臨時の相談窓口を開設し、年金記録や受け取り見込み額について説明しています。

社会保険事務所以外にも、年金に関する相談をうける窓口があります。おもに職場環境や労働条件の問題などを扱う社会保険労務士会ですが、公的年金の相談や請求に関するエキスパートでもあります。社会保険労務士会では毎月、無料相談所を開設していますが、ここ数年、年金に関する質問が増加。昨年度、相談件数の半分以上は年金に関するものでした。

宮崎さん「特にこの1〜2年のなかで見ていると、やはり具体的に年金を貰っている人や、そろそろ貰うという方々から、受給に関する相談というのが増えてきているということです」

沖縄での年金相談は、復帰という沖縄独特の事情もあり、さらに複雑化しています。沖縄における年金制度は本土より遅れてスタートしました。1972年に制定された「復帰にともなう特措法」などで、沖縄の年金制度を本土の年金制度に組み込むための措置がとられたのです。

宮崎さん「本土よりも遅い、とくに一般の方、自営業などの方が入る国民年金は、本土では昭和36年4月1日スタートで、(沖縄とは)9年間の時間的な開きがある。この期間は国民年金に入りたくても入れない期間でしたので」

さらに、本土との大きな格差が問題となったのは厚生年金です。年金額の差を埋めるため、復帰後、数回にわたる特別措置が講じられてきたものの、その内容がわかりにくく、手続きに戸惑った人もいます。

宮崎さん「他府県にはない手続き、時間的に手間がかかる。相談者の方にもこういったケースがあることをアドバイスしている」

公的年金制度の分かりにくさもさることながら、沖縄は本土復帰という転換期を迎えたこともあり、さらに問題は複雑なんですね。年金について相談しようにも、いったいどこに相談していいのか、あるいは待ち時間が長いなどの問題があるんですが、まずはご自分の年金記録を調べることが必要です。VTRでご紹介した社会保険労務士会の相談も、一度記録を調べてから相談するとより具体的な回答が得られるということです。

社保庁のずさんな管理が引き起こした今回の問題ではありますが、まずは自分の記録を確認するのが一番のようです。

社会保険事務局による出張相談は今日から、県内全市町村で始まっています。まずは記録の確認をおすすめします。シリーズ「年金問題検」。明日はQAB報道部に実際に寄せられた一本の電話から、年金算出規準「平均値」のからくりについて探ります。