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アメリカ海兵隊の輸送ヘリCH46や53に替わる『オスプレイ』。速度、積載量、そして航続距離が飛躍的に伸びる次期主力機ですが、欠陥が指摘されていてこれまで何度も事故を繰り返し、死者も出ています。オスプレイの辺野古への配備について政府はずっと否定し続けていますが真相は、11年前から配備を把握しながら、隠していました。

辻元衆院議員「オスプレイの配備については本当にアメリカから1回も今まで協議していないんですか」

額賀防衛庁長官(当時)「政府としては協議をしておりませんし、日本に対する配備が計画されているということを聞いておりません」

辺野古に建設予定のヘリ基地に、危険なオスプレイが配備されるのではとの県民の不安に対し、政府はずっと否定し続けています。しかし、それが嘘だということを克明に記す文書がここにあります。この文書は、普天間基地の代わりの施設について協議したSACOの最終報告が発表される10日前に作成された最終報告案です。

『海上基地はヘリコプターとオスプレイの部隊の所属基地として設計される』

これが実際の最終報告ではこう修正されました。

『海上基地は短距離で離着陸できる航空機の運用も支援する能力を持つ』

なぜ『オスプレイ』の文字が消されたのか。SACO最終報告を1ヵ月余り前に控えた10月下旬、日米双方の担当者がワシントンDCに集まり協議しました。ここで日本側はこう伝えます。

『オスプレイに合わせた滑走路の長さを県民に伝えるのは問題がある』

そして翌日には、『県民にどう説明したらいいか』と、アメリカ側にアドバイスを求めます。

これに対しアメリカ側は黙ったまま。そしてそれから1ヵ月後の11月22日に『海上基地はオスプレイの所属基地と』と明記された、最終報告案が作成されたのです。その後更に、在日アメリカ軍司令部が、いらだちをあらわにします。

『オスプレイの配備について日本政府はまだ発表していない』『早く公表されることを望む』

このあと迎えた12月2日、発表されたSACOの最終報告に、『オスプレイ』の文字はありませんでした。

削除の理由について、当時、交渉を担当していたキャンベル元国防次官補代理は、こう明かします。

『最終報告にオスプレイを明記することに日本側が非常に懸念した。』

仲村正治議員「絶対にそこに配備させないという約束ができるかどうか、この点をはっきり答えていただきたい。」

額賀防衛庁長官「米軍にそういう確認をしておりますけれども、日本でそういうことを考えているということについて、我々のところに連絡があることはありません、全くありません。」

このやりとりのおよそひと月半後、沖縄に駐留するアメリカ軍のトップが業を煮やしたのか、ついにこう明かします。

ウェバー四軍調整官「我々はオスプレイの沖縄への配備を2014年から2016年までの間に行う予定です」

ことし2月、オスプレイには新たに機体内部に使われているコンピュータ集積回路に欠陥が見つかり、アメリカ軍が離陸禁止措置を取っています。

ここからは基地問題を取材してきた謝花デスクに聞きます。

ほんとにあきれます。このオスプレイ配備の隠蔽では、問題を隠して事を進めるという政府の体質が現れたと言えます。

これは結局、沖縄の復帰の際の暴かれた密約と一緒ですよね。アメリカ政府が支払うはずの400万ドルを、実際は日本側が肩代わりするという密約と。

基地の使用機種に嘘がある以上、普天間の移設計画自体振り出しに戻らざるを得ないわけです。これまで辺野古でCH53ヘリなどを飛ばして行った騒音調査も、データが無意味になりますよね。莫大な予算を使って行った調査ですがむだです。

しかし移設計画が振り出しに戻るからと言って、普天間基地の危険性をさらに放置することは許されません。嘘を突き通してきた政府に責任があるわけですから、政府の責任で早期の閉鎖に取り組んでもらわなければならないと思います。

また、大事なのは今回、辺野古への基地が『ただの普天間の代わりの施設では無い』ということがよりはっきりしたということです。航続距離が飛躍的に伸びるオスプレイを持ってくるということは、アジアに手が届く一大戦略基地ということになるわけですから。11年前のSACO合意は『撤去可能な海上基地』でした。それがこうした戦略的にも固定化される可能性の高い基地、そして危険なオスプレイが配備されるとなると、それを受け入れた人達も話が違うとなるのは当然です。

また、高江のヘリパッドもオスプレイが使用する可能性が更に高まったいま、その環境アセスの手続きもやり直すべきでしょうね。