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今年はアメリカ軍再編の最終報告が発表され、迎撃用のパトリオットミサイルも嘉手納基地に配備されるなど、沖縄に関わる基地政策が大きく動いた年でした。

県の頭越しに進んだアメリカ軍の再編。県民は日米両政府の発表がある度にその情報に翻弄され、振り回された一年でした。岸本記者です。

岸本前市長の後継者として一月に当選した島袋名護市長。

島袋名護市長「今の沿岸案に対して受け入れることはできないと一貫して申し上げております」

島袋市長は当初、去年10月の中間報告で示された基地の建設案はアメリカ軍機の飛行ルートが宅地の上空を飛ぶという理由で拒否の姿勢を示しました。しかし政府は市長を何度も東京に呼び、強引に受け入れを迫ります。

額賀前防衛庁長官「きちっとテーブルについて話し合いをしなければ、これは政府の方針通りいくしかないということになってしまいますので」

交渉の途中、岸本前市長が亡くなり、政府と名護市の交渉は一旦中断。その間、宜野湾市では沿岸案反対の総決起大会が開かれ、米名護市役所には、沿岸案を基本に交渉を続ける市長は『公約違反』だと市民団体が厳しく詰め寄ります。

「名護市が(東京に)行かなくてはならない状態はどこにあるんですか?」「(沿岸案の)バリエーションとか、500メートル沖合いに出すとかいう性質のものではない。県外だという立場に立てば、微調整とか何とかいらない」

しかし、島袋市長は額賀前長官との6度目の会談で遂に決断します。

島袋名護市長「名護市の考え方にご配慮頂き、滑走路の位置を沖合いにずらした図面が提示され、先ほど合意に至った訳であります」

政府が新たに示した案はV字型の2本の滑走路を作り、住宅地の上空でアメリカ軍機の飛行を避けるというもの。受け入れが前提のテーブルで、額賀前長官が市長に受け入れの理由を作ってあげた格好です。

稲嶺前知事「県は県のスタンスというものを堅持していくということに変わりはありません」

しかし稲嶺知事は、あくまで暫定ヘリポートを作る案ににこだわりますが、日米両政府は5月、県を説得する前に最終的な結論を出します。

ラムズフェルド前国防長官「今回の合意は、今後の新たな日米同盟の方向性を示すものだ」

麻生外務大臣「海兵隊のグアム移転などに対する沖縄の具体的な道筋が描けたことは大きな成果だったと考えています』

普天間基地の辺野古への移設が順調に進めば、海兵隊員8000人のグアム移転と嘉手納より南の大部分の基地を返還すると、負担の軽減を強調する政府。

7月の北朝鮮のミサイル発射で国内の議論も軍事力強化へと急速に傾いていきます。

宮城嘉手納町長「危機感を常に煽っていた人たちにとっては一つのチャンスになってくる。その結果がまたこの負担強化という形につながってこないか」

アメリカ軍は敵のミサイルを空中で迎え撃つ最新鋭のパトリオットミサイル、PAC3を国内で初めて嘉手納基地に配備。ミサイルの本体が到着したうるま市の天顔桟橋では機動隊も出動する事態となりました。

また、防衛庁の予算で進む基地建設予定地での文化財調査では、基地建設が前提の調査に抗議する市民団体の代表が逮捕される事態も発生します。

池宮城弁護士「今回の逮捕は明らかにこれから起きる工事に対する最初の弾圧」

強硬姿勢をむき出しにして、辺野古での基地建設に突き進みはじめた政府。そうした状況下で行われた県知事選では県内移設を容認する立場の仲井真さんが当選。

久間防衛庁長官「正直言ってよかったなと思います。基地反対・反対だけで一辺倒の候補者よりも仲井真さんだったら、現実的な路線をとりながら沖縄のために誠実な一歩を展開して頂けると思う」

最終報告で示された負担の軽減は、まったく将来の実現性が見えないまま、沖縄は基地機能の整理・強化というアメリカ軍の狙い、そして新たな日米同盟という政府の方向性の中に飲み込まれようとしています。