※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

アメリカ軍は、ついにパトリオットミサイルを嘉手納基地に搬入しました。アメリカ軍の再編に関し、日米両政府が表明した県民の負担軽減は一向に進まず、逆に負担は増すばかりです。なぜ多くの県民の反対を押し切って、嘉手納基地にミサイルを配備するのか、この後、記者解説を交えて検証します。

謝花記者「貨物船が天願桟橋に接岸しました。パトリオットミサイルの本体が遂に到着しました」

アメリカ軍の地対空迎撃ミサイルが沖縄に姿を見せたのはおとといの午前。

『県民は怒っているぞー』

到着したミサイルは平和団体の阻止行動にあい、陸揚げすらできません。

那覇防衛施設局職員「ここのゲートはきちんと空けてください」

平和団体「開けられません」

翌日には県議団のメンバーも施設局に抗議に訪れます。

前田政明県議「日本国民や沖縄県民を守るんだというごまかしで、私たちをだましてはいけない」

玉城義和県議「沖縄の基地にそういう施設が出来るということは、沖縄の基地が攻撃される可能性があるということだ」

そしてきょう『施設局と平和団体最後の交渉』

平和団体「私達はこのパトリオット配備が攻撃ミサイルの配備とつながる。140万近くの県民を一瞬にして死に追いやる脅威の戦争に導く行為として許す訳にはいきません」

施設局「もう交渉も難しいと思っております」

『謝花さん、先月にはキャンプシュワブ前で同じように強制排除があって、逮捕者も出ました。以前に比べて国側が強行になっているように見えますが』

強制排除の理由は、座り込みの場所がアメリカ軍への提供施設内だからということですが、北朝鮮の核実験なども背景にあるのか、国がミサイルの配備を急いだ結果にも見えます。

『あらためて、パトリオット・PAC3は、アメリカ軍にとって必要なものなのか、日本にとって必要なのか、沖縄にとって必要と言う人もいるんですが、どう考えればいいんですか』

防衛庁は、おととしまとめた新中期防衛計画で、国内の自衛隊基地4ヵ所にPAC3を配備していくことを決めました。ですから日本がこれによって国を守ろうとしているのは確かです。しかし沖縄の自衛隊基地への配備は盛り込んでいません。沖縄に置くことになったのは、去年、日米間の在日アメリカ軍再編協議で決まったもので、ことし、嘉手納基地と嘉手納弾薬庫への配備を正式に合意しました。アメリカが嘉手納に置くことを決めたんですが、日本もPAC3によって国防を進める立場から、それを歓迎しています。このあたりのことを施設局に聞きました。

那覇防衛施設局・佐藤勉局長「(配備の)最大の要因はやはり安全保障上の重要な施設があるということでございます。だからと言って米軍施設を守るのかということはよく言われるんですけども、大きな目的はまさに国民、とりわけ沖縄県のPAC3については沖縄県民の生命と財産を防護するということが目的でございます」

県民を守ることが目的ということですけれども、それが県民の納得のいくものであれば、丁寧に説明すべきだったと思います。説明がなかったと言うのは地元の理解を得る自信がなかった、あるいは地元の理解を得る必要はないと判断したと言われても仕方がありません。

『今、北朝鮮の脅威ということで、パトリオットの配備も仕方ないんじゃないかという空気が全国にあるのが気になります』

そうです。それが沖縄にも広がって、今後、基地機能の強化を後押ししていく流れになるのではと非常に危機感を感じます。軍事問題に詳しい琉球大学の我部政明教授も警鐘を鳴らします。

琉球大学・我部政明教授「なぜここに防御的な兵器が導入されたかというのは、攻撃的な兵器を持っているからだということです。これが対になっているわけです。軍隊というのはそういうです。その攻撃的な兵器が、あり続けているし、今もあるということからすると、我々はこの地域で戦争を望んでいるか、望んでいないかということを県民は考えないといけない」

今後は、残る装備品の発射台を載せている貨物船が天願桟橋から那覇軍港に移り、国道58号から嘉手納基地に搬入される予定です。地元を中心に反発が更に増しそうです。