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県内最大手のバス会社琉球バスの譲渡先が正式に決まりました。ただこの問題、一気に解決とはいかないようです。琉球バスはきょう午後臨時株主総会を開き、営業譲渡先を那覇バスを運営する福岡の第一交通に決定しました。組合は反発しています。

自主再建を断念、営業譲渡を決め、会社清算の道を選んだ琉球バスは、きょう午後、臨時株主総会を開き、名乗りを上げていた県内の沖東交通と福岡の第一交通の2つの事業者のうち、資金力が豊富な第一交通に営業譲渡することを反対1人を除く賛成多数で決定しました。

どちらに決まりました?
宮里猛管財人「第一交通です」「提示しました。8億5000万で、別途消費税です」「(従業員には)労働条件を含めて説明して、納得していただく以外ないだろうと」

一方、臨時株主総会での決定に反発する琉球バス組合はその後会社側との団体交渉に臨み、決定に至った理由について会社側の説明を求めました。席上、多和田委員長らは、沖東交通と第一交通が提示した譲渡金額では差がない上、従業員の90%が労働条件や賃金面で沖東交通を選んだことを無視するものだと強く批判しました。

株主総会で譲渡先が正式に決まった今も組合側は反対の姿勢を崩さず、団体交渉も物別れに終わりました。組合側にはどのような思惑があるのか、このあと記者解説でお伝えします。

組合側がもっとも懸念していることは?

経営譲渡となると、雇用は引き継がれるのか、また賃金や職場環境、公共交通機関としての使命はどうなるのかといった不安が大きい訳です。そのあたりを琉球バス組合の多和田委員長に聞きました。

多和田真二委員長「第一交通という部分が労働条件が悪すぎると。安心して働ける人間の輸送を担うそういう労働条件ということになれば、沖東さんが望ましいのじゃないかなと。そういうこちっとした説明がされないままに第一交通は資金力があるから安定してるんだと。納得できない」

多和田委員長が言うように、バスの営業譲渡には前例があります。那覇交通が第一交通に譲渡されて、那覇バスを運営しています。

私鉄沖縄によりますと、那覇バスの従業員の待遇は、時給制でしかも1年ごとの契約です。

琉球バスの従業員は、那覇バスの環境を知っていますので、雇用や賃金、職場環境などで組合に理解を示す条件を提示した沖東交通がいいというのは、従業員のいつわらざる気持ちです。それをなぜ会社は無視するのか、という疑問です。

ではなぜ会社は従業員の90%の意志を無視して第一交通に決定したのでしょうか?

まず、豊富な資金力があるということを挙げています。しかし、これには多和田委員長は、営業譲渡すれば経営は関係なくなるし、譲渡先の会社のことまで心配する必要はないと言います。

その通りで、組合はそのあたりの説明もないまま、第一交通に決定した会社に強い不信感を持っています。先に第一交通ありきで話が進んでいたのではないかととの不信感です。

ではこれからどうなるのでしょうか。

琉球バスは、31日に再生計画案を裁判所に提出し、3ヶ月かけて営業譲渡手続き、そして破産手続きを予定しています。しかし組合は会社の決定の撤回と、同業者への営業譲渡で、路線の寡占化や廃止される路線も出てくると懸念しています。県民の足を守り、安全運行のためにも、経営側は組合に対して真摯な対応をすべきでしょう。