琉球王国時代に育まれ、今に受け継がれてきた「琉球古典音楽」のなかでも〝三線〟は県民にとっても身近な存在です。沖縄の伝統文化が海を越えて、県外に広がり、仲間とともに一つの舞台を作り上げようと奮闘する人たちがいました。
華やかな衣装に身を包み弦をはじく柔らかな音色を奏でる三線。独特の節回しで人々の暮らしや心情を表現する歌。沖縄にルーツがなくてもこの地で生まれた音楽や楽器に魅せられ稽古を積み重ねてきた門下生たちは、琉球古典音楽の魅力を伝える大きな舞台に立ちました。
静かな稽古場に響き渡る三線の音。舞台公演を前に小畑香代恵三線研究所のメンバーが集結しました。
「東京です。私は福岡です。僕の福岡です。僕は神奈川です」
出演者はおよそ35人。そのうち16人ほどが県外出身者です。この日は本番のプログラムに沿って練習が行われました。
小畑さんの指導「お互いの声を尊重しながらグループ斉唱を歌っていく、自分の声だけワーと出すのではなく、お互いの声をちゃんと聴きながら声をあわせる。三線をあわせる」
三線研研究所の指導者を務める小畑香代恵さん。沖縄に住んでいるならと両親から三線をプレゼントしてもらったことがきっかけで始めたといいます。
小畑さん「最初から指導者になろうと思ったわけではないが、習っていくうちに教師試験を受けませんかと」「(試験を受けたら)合格したので教え始めますと教え始めたのがきっかけ」
門下生に対し細かな所作まで指導する小畑さん。そこには三線に対する熱い思いが込められていました。
小畑さん「歌を指導するにあたってはこの人が歌っているこの歌を、どうやったら古典音楽として聞くことができるか、本人の持っているこの声の良さを引き出してあげられるのは、指導している人にしかできないと思っている」
県外で暮らすメンバーの中には普段、リモートで指導を受ける人もいます。合同練習では画面越しでは聞けなかった仲間の音を直接聞きながら本番を意識した稽古に挑んでいました。
副田さん「一人で自分の音と先生のリモートから聞こえる音を聞くのと、みんなで合わせると音のボリュームも違うし感じも違う」
歌詞の意味を知り、発音を確かめ歌いながら奏でる三線。馴染みのない言葉を発し音楽にのせて歌い演奏することは決して簡単なことではありません。それでも、これまで続けてきたことには理由があります。
藤田さん「今まで聞いたことのない音やリズム歌詞だったので覚えるまでに非常に時間がかかります」「今まで趣味は体を動かすことだったけど年を取ったらできなくなる。でも音楽はずっとできるので」
根本さん「先生に週1回程度 見ていただくので」「細かいところまで指導していただいて、それが励みになってまた続けようかなという気持ちになる」
先生の細かな指導や仲間と共に頑張ることが励みとなり三線の上達につながっています。それぞれ違う場所で三線と向き合い練習を重ねてきた仲間たち。いよいよ大きな舞台へ立つ時がやって来ました。
そして迎えた本番当日。舞台裏では準備が進められていました。衣装を整え、三線を調弦したり譜面を見返したりして最後のリハーサルを迎えます。
藤田さん「ことしの1月ぐらいからずっとやっているやっとこの日が来たかと思っている」「メドレーのトップバッターとしてしっかりやりたいと思う」「三線の魅力を少しでも伝えられたらと思う」
奥田カレンさん「両親が沖縄の人なんですが私はオーストラリアで生まれ育って自分のルーツにもっとつながりたいと思い三線を始めた」「お客さんも一緒に(舞台を)楽しめたらと思う」
これまで指導をしてきた小畑さんは今回、習った曲を順番に披露するだけの舞台公演を目指しているわけではありません。歌や三線に映像や舞踊を交え琉球古典音楽に初めて触れる人にも楽しんでもらえることを目標にしています。
小畑さん「琉球古典音楽というものを知らなかった人初めて見に来てください方たちにも楽しんでもらえるような」「思い出してもらえるような舞台にしていきたいと思う」
これまで何度も繰り返し積み重ねてきた稽古。学んできた沖縄の言葉や文化。仲間とともに考え作り上げた演出。いよいよ多くの観客が待つ舞台の幕が上がります。
練習してきた環境は違っても同じ舞台、同じ場所で三線を奏でます。およそ2時間にも及ぶ舞台公演客席からの盛大な拍手で幕を閉じました。
大城さん「就職で内地の企業に内定をもらっているけど」「三線は肌身離さず持っていきたいと思う」
奥田カレンさん「めっちゃ緊張したけど」「楽しくてあっという間でした」「間違えたところもいまいちだなって思ったところもあった、次はもっと練習してもっと上手くなって舞台に立ちたい」
今回プロデューサーを務めた奥田さんも門下生の一人でありながら観客が楽しめる舞台演出にこだわりました。
奥田さん「沖縄から離れた人たちも心を一つにして沖縄に集まって同じ舞台でみんな同じ笑顔になれるってやっぱりすごい素敵だなと思うので」「みんなが三線を触ってこういう時にはみんな集まろうと言えるような継続するような公演に(今後も)していけたらと思っている」
指導にあたった小畑さんは、
小畑さん「やはり少しずつ(門下生たちが)頼もしくなってきて、まさに伝統をその先にという言葉に近い活動が出来ていると思う」「ウチナーンチュの心だったり、その伝統だったりというものを引き継がせていただいている気持ちも忘れないようにしながら、これをどうやったら県外の方などに見ていただけるか、広げていくことができるのかを弟子たちと一緒に考えたいと思う」
伝統を受け継ぐのは沖縄にルーツを持つ人だけではありません。別々の場所で響いていた音がこの日、同じ舞台で重なり合い、これからも多くの人々の心に三線の音色を届けていきます。
みなさんが奏でる三線の音色素敵でしたね。私たちの身近にある琉球古典音楽が県外の方にも親しまれていることを知り沖縄の伝統文化の素晴らしさを感じました。
