今月9日から佐賀県に陸上自衛隊のオスプレイ配備が始まりました。九州沖縄地域の自衛隊を強化する「南西シフト」の一環となります。
一方、自衛隊のオスプレイは日米共同訓練などで県内にも飛来しており、去年10月には与那国島で事故も起こしています。KBC・九州朝日放送の取材も交えてお送りします。
「オスプレイの特徴ある姿が、佐賀空港滑走路の上空に捕らえられました」
今月9日、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されていた陸上自衛隊のオスプレイ1機が、経由地から佐賀空港へ着陸しました。
先月末、空港西側に格納庫や庁舎などが完成したばかりの佐賀駐屯地に配備され、駐屯地の開設式が行われました。
陸上自衛隊西部方面総監・荒井正芳陸将「九州北部に位置する佐賀駐屯地はわが国の防衛を全うする上で、戦略的に極めて重要である」

オスプレイの佐賀県への配備は中国の海洋進出を念頭に、九州・沖縄の防衛力を強化する自衛隊の、いわゆる「南西シフト」の一環です。
「佐賀に配備されたオスプレイの機内へ進んでいます。すべてむき出しのまま、椅子が並んでいます」
オスプレイは有事の際佐賀駐屯地からおよそ60キロと近い、長崎県佐世保市を本拠地とする「水陸機動団」などを、いち早く離島へ運ぶ役割を担います。
しかし、オスプレイの配備はスムーズに進んだ訳ではありません。事故が相次ぎ、2年前にはアメリカ空軍のオスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落し乗っていた8人全員が死亡しています。また特産のノリ漁への影響なども懸念され、2014年7月に計画が公表されて以降、反発も続いていきました。

9日も、市民グループが中谷防衛大臣に配備の中止と駐屯地の使用停止を求める文書を出すなど、地元からは様々な声が聞かれます。
反対の声「墜落はするわ、緊急着陸はするわ、そういう飛行物体が、私たちの命を生活を守ってくれるなんて、とても私には信用しておりません」
是認する声「人が増えて、なんか人と触れ合うことが、そっちの方が楽しみですね。自衛隊員が来ることは、すごい心強いですね」
防衛省は、来月中旬までに順次、オスプレイ全17機の配備を完了させる予定です。
船越遼太郎記者「10時51分です、日米共同訓練のため、陸上自衛隊のオスプレイが石垣空港に到着しました」

自衛隊のオスプレイが県内で初めて飛来したのは、2023年10月の日米共同訓練でした。先島地域を中心に、民間の空港や港などインフラを使いながら、部隊を展開させる戦略をとる中、自衛隊のオスプレイはその一端を担い、県内にもたびたび飛来しています。
塚崎記者「与那国駐屯地です。陸上自衛隊のオスプレイが翼を折りたたんだ状態で、駐機している様子が確認できます」
そんななか起きたのが、衆院選挙の投開票日だった去年10月27日の与那国駐屯地での事故。日米共同訓練で飛来していた自衛隊のオスプレイが離陸時に、機体の一部が地面に接触し損傷。自衛隊側は操作ミスとしています。

船越義人記者「時刻は11時20分です。訓練中に事故を起こした自衛隊のオスプレイが駐屯地から運び出されました。これから台船に乗せるため久部良港に向かいます」
事故を起こした機体は2か月近く島にとどまり、去年12月19日、海路で運び出されました。
陸上自衛隊は今年9月にアメリカ海兵隊との実働訓練「レゾリュートドラゴン」を予定しており、訓練で自衛隊オスプレイの県内への飛来が含まれる可能性があります。
去年の与那国島のオスプレイの事故は、衆院選挙の投開票当日に起き、防衛省が事故を発表したのが投票終了の直後だったことなどから疑念も生みました。
今、参院選で各候補が訴えを続けていますが、この南西シフトの問題についても活発に議論が行われることを望みたいです。