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琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」のコーナーです。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。

湊 和雄さん「宜しくお願いします。」

今回のテーマは「ノグチゲラの巣立ち」です。楽しみにしていました!

湊 和雄さん「今年はあらゆる生き物が遅いと繰返しています。ヤンバルクイナも子育てが遅れている場所が多く心配です。そのような中、例年どおりのペースでノグチゲラが巣立ちました。」

スクープ映像です!早速VTRご覧ください。

湊 和雄さん「巣を見つけたのは6月1日。今年は記録的に早く梅雨が明けましたが、未だ梅雨の真っ只中のことです。」「やんばるの森の中で(低い環境)、梅雨の代表的な花は、このノボタン。前回紹介したイジュに比べて鮮やかですね。」

これもイジュの仲間なんですね。

リュウキュウの自然「ノグチゲラの巣立ち」

湊 和雄さん「そのノボタンの仲間で、小ぶりなのはコバノミヤマノボタン。植物では珍しいやんばるの固有種です。」

湊 和雄さん「こんな梅雨の森で見つけたのはノグチゲラ。雌(頭の上が暗褐色)の成鳥が幹にとまっていました。そして近くにあった穴の中に入りました。そして、出て来たときには、それまで咥えていた餌がなくなっていました。巣の中には雛がいるのでしょう。このように親鳥が巣の中に入って餌を与えるのは、雛が未だ小さいときの特徴と言われます。」

「しばらくして再びやって来たのは、頭の上が赤い雄の親鳥。巣の中には入りませんでしたが、雛の顔は見えませんでした。成長すると、巣口から頭を出して餌を受け取るようになります。また、雌親鳥が餌を運んできました。この時期の雛は食欲旺盛。それに応えるように頻繁に親鳥は餌運びをします。」

親鳥はどのように餌を探して運んでくるのですか?

リュウキュウの自然「ノグチゲラの巣立ち」

湊 和雄さん「主な餌は昆虫や小動物。このように枯れ木や朽木を嘴で突いて餌を探すのが基本です。しかし、そう簡単に餌は見つからないようですね。子育ては大変です。」

本当に大変です!

湊 和雄さん「運んできた餌を雛がスムースに受け取ると、親鳥が巣に滞在するのは10秒ほど。あっという間です。そこで雌の餌やりを8倍スロー映像で見てみましょう。」「こちらは雄親鳥の餌やり。ちょっとアップで見てましょう。どちらにしても、雛は餌を一飲みです。すぐにお代わりをリクエスト。」

「6月5日を迎えました。このように雛が身を乗り出して、脚の爪を巣の外にも掛けると、巣立ち直前と言われます。そして、あっという間に雛が巣立ちました。いつも、突然であっけない瞬間です。」

「これで今季の繁殖も無事終了と思われたのですが、そこに雄親が餌を運んで来ました。雛は1羽だけではなく、もう1羽いたようです。しかし、2羽目はこの日には巣立ちませんでした。」

リュウキュウの自然「ノグチゲラの巣立ち」

「6月7日の早朝に訪れると、未だ巣立っていませんでした。雛は盛んに鳴いて親を呼びますが、巣には来ません。夜明けから2時間ほどしたとき、雄親鳥が餌を運んできて与えました。そしてその直後、親を追い掛けるように2羽目の雛も巣立ちました。3羽はいませんでした。」

湊 和雄さん「ひとつの巣から巣立つ雛は1〜3羽。平均2羽以下と言われます。生息数はかつて100羽前後、500羽程と言われましたが、現在は不明。何れにしてもヤンバルクイナの約1500羽に比べてもかなり少ないですね。」


「産卵から巣立ちまでは約40日と言われます。特に、繁殖期の前半は神経質です。撮影は巣から10m以上離れて、超望遠レンズで迷彩の小型テント(ブラインド)中から、可能な限り影響を与えないように慎重に行っています。」

今回も貴重な映像ありがとうございました以上、リュウキュウの自然でした。