ここからはビジネスキャッチー「早わかりビズ」です。毎月最終週はりゅうぎん総研による解説をお送りしています。きょうは研究員の安仁屋 宗哲(あにや そうてつ)さんの解説です。
安仁屋 宗哲さん「よろしくお願いします」
テーマはこちら「沖縄県のクルーズ船観光の実態と今後の展望」です。たくさんの方がクルーズ船で沖縄に来ていますよね?
安仁屋 宗哲さん「沖縄の主要産業のひとつである観光ですが、2025年の観光客数は過去最高を更新するなど順調に推移しています。そんな中、去年1年間のクルーズ船の寄港数は432回となり、コロナ禍以降順調に増えています。当研究所はこのクルーズ船の経済効果を調べるため、沖縄県・沖縄観光コンベンションビューローと共同でクルーズ船観光の実態調査を行いました」
調査からどんな結果が分かったのですか?
安仁屋 宗哲さん「はい。昨年寄港したクルーズ船が沖縄にもたらした経済効果は161億円にのぼりました」
大きい数字ですね。
安仁屋 宗哲さん「はい。しかし、一方で課題も明らかになりました。クルーズ船全体の経済効果は大きいのですが、乗客一人当たりの消費額は小さいことが分かりました。
人は大勢来ているのに、なんだかもったいないですね。
安仁屋 宗哲さん「はい、こちらをご覧ください。外国人クルーズ客の1人あたりの消費額は空路・つまり飛行機で来沖した外国人観光客と比べて5分の1以下にとどまっていて、かなり低い水準なんです」
かなり大きな差ですね、なぜここまでクルーズ客の消費額は小さいんでしょうか?
安仁屋 宗哲さん「おもな理由は2つあります、ひとつは『船の上で食事や宿泊が完結している』ことそしてもうひとつは『沖縄での滞在時間が短い』ことです。そのため県内での消費が限られてしまうんです」
クルーズ客の消費額を引き上げたり、滞在時間を伸ばしたりするなど、県内でお金を使ってもらう仕組みが重要になりますね。
安仁屋 宗哲さん「はい、その具体的な方法のひとつが『フライ&クルーズ(F&C)』です」
「フライ&クルーズ」とはどういうものでしょうか?
安仁屋 宗哲さん「フライ&クルーズとは、県外や海外から飛行機で沖縄に来て沖縄から出発するクルーズ船に乗るスタイルです。つまり、クルーズ船に乗船する前と後で沖縄に宿泊するなど、滞在する時間が長くなるのが特徴です。今回実施したアンケート調査では、1人あたりの消費額は約3万3,000円と、通常の寄港型と比較して2倍以上になることが分かりました。つまり、県内での、より大きな消費が期待できる旅行形態です」
かなり違いますね、滞在が長いほどお金も使うということですね。
安仁屋 宗哲さん「その通りです、さらにアンケート結果から滞在時間や日数が長いほど、観光の満足度も高まる傾向があることも分かりました」
他にも課題があるんでしょうか?
安仁屋 宗哲さん「はい、おもなものを3つ挙げさせて頂きます。1つ目は「さらなる経済効果の引き上げ」です。先ほどお話した一人当たり消費額の引き上げのほか、高い消費額が見込めるフライ&クルーズや、外国客の誘致を強化することが必要です。続いて2つ目ですが、運転手不足や無許可の「白タク」といった「二次交通」の課題です。離島ではクルーズ船が寄港すると一時的に島内のタクシーが不足する、との話もあります。また違法な白タクの取り締まりも課題となっています」
二次交通は地域への影響も大きそうですね。
安仁屋 宗哲さん「はい、特に白タクは正規の地元事業者の利益が奪われるだけでなく、観光客の安全面のリスクも問題となっています。そして3つ目に『受入地域の負担軽減』です。クルーズ船が寄港した際に、場合によっては港周辺で渋滞が発生するなど、地域への負担が発生することも課題となっています」
なるほど、観光の課題ですが、地域全体への影響も大きいんですね。今後はどのような取り組みが必要になってくるのでしょうか?
安仁屋 宗哲さん「はい、今後は『量から質への転換』が重要です。ただ単に観光客を増やすのではなく、滞在時間を延ばしてもらえるような取り組みや、消費単価の高い客層の誘致、そして県産品の販売促進など、地域にしっかりとお金が落ちる仕組みをつくることが重要です。また、二次交通の拡充や港湾施設の整備など、行政による対応も求められますが、我々県民も一体となって観光客を迎え入れる気持ちが必要です」
具体的にはどういうことでしょうか?
安仁屋 宗哲さん「今回のアンケート調査では『人がとても親切』や『みんなフレンドリー』『外国人にも優しい』といったコメントが多数見られました。自然や文化といった沖縄独自の魅力や、県民のホスピタリティ、おもてなしの心を生かしながら受入体制を整備することが持続可能な観光につながります」
観光の「量」だけでなく「中身」を高めていくということですね。
安仁屋 宗哲さん「その通りです」
観光のあり方も変わっていきそうですね。きょうは「クルーズ船観光の実態と課題」について、りゅうぎん総研の安仁屋さんに解説していただきました。
安仁屋 宗哲さん「ありがとうございました」
以上、ビジネスキャッチーでした。
