琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊 和雄(みなと・かずお)さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします」
今回のテーマは「遅い?少ない?今年の甲虫」です!
湊 和雄さん「前回は新緑の森に咲く早春の花々と、この季節に出現する赤い甲虫たちを紹介しました。そして、最後に触れた私の大好きな春の甲虫。やっと見つけましたので見て頂きましょう」
一体どんな様子なんでしょうか、VTRです!
湊 和雄さん「これは先週末の森の様子。山並み全体に新緑が拡がり、正にピークを感じますね。気温も夏日を観測する日もあり、春本番です」
湊 和雄さん「そしてお待ちかねのこの姿。オキナワトラフハナムグリです。繰り返しになりますが、春のやんばるの甲虫、いえ昆虫の中で私の一番好きな種類なんです。サイズはほぼ1cmかやや大きい程度で、葉の上でじっとしていると、なかなか気づきません。和名のトラフとは漢字で書くと「虎斑」。高級板材の模様を指すこともあるようですが、元々は虎の毛の模様のことです」
この黄色と褐色の組み合わせは、そんな雰囲気が感じられますね。
湊 和雄さん「しかし、今季はなかなかこの姿が見つかりません。3月から5日間合計で15時間ほど探しましたが、その結果見つけられたのはわずか5匹だけです。例年最盛期には1日で10匹以上見つけられるのですが。寒い日はほとんど動かないこともありますが、暖かい日は結構よく飛びます。動き回って、離陸場所を探しているようですね」
安定した足場?バランス?風向き?様々な条件を考えているのでしょうか?やっと飛び立ちましたね。
湊 和雄さん「他の甲虫にも目を向けてみましょう。前回も紹介した赤い翅の細長い体型の甲虫です。まず、無毒のグループに属するアカハネムシの仲間。この種類も暖かい日にはよく飛びます。それも他の種類に比べると、あまり躊躇せずにスムースに飛び立つ印象があります」
湊 和雄さん「そして、赤く目立つ理由のルーツのベニボタル類。有毒で食べても不味いことを鳥などの天敵にアピールするための鮮やかな色ですね。その代表的種類オオシマカクムネベニボタル。これは飛び立つのがとても下手なんです。恐らく、春の赤い甲虫の中でもナンバーワンでしょう。うろうろ歩き回って翅を拡げても飛ばない」
湊 和雄さん「そして飛び立つときの脚に注目してください。前脚と中脚を持ち上げていたりしますね。これは鉤状の脚の先端が葉や枝に引っ掛かって離陸時にバランスを崩すのを防ぐためなのだと思われます」
湊 和雄さん「さらに、あまり鮮やかな赤ではなく、春以外にも見られますがヨツメオサゾウムシ。しかし、今の時期もベニボタルたちに混ざって見られます。これもまた向きを盛んに気にしています。そして6本の脚を盛んに動かして、まるで四股を踏んでいるようですね。そしてやはり中脚を持ち上げてからテイクオフ」
湊 和雄さん「オキナワトラフハナムグリだけではなく、例年に比べるとベニボタル類とそれに擬態する種類もとても少ない印象を受けます。4月もそろそろ中旬。今年は出現が遅いのか?あるいは少ないのか?気になりますが、シーズンも後半に差し掛かり、後者のかもしれないと思い始めています。そして、春になったのにチョウも少ないですね・・・」
湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。
