琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします」
今回のテーマは「オオジョロウグモの糸」です。
湊 和雄さん「亜熱帯沖縄でも徐々に秋の気配を感じるようになってきました。日本最大のクモのオオジョロウグモも大きく成長し、そろそろ今季の活動の終盤に近づいてきました」
大きくなったオオジョロウグモ、VTRご覧ください!

湊 和雄さん「青空にも積乱雲だけではなく、秋らしさを感じる雲も増えてきました。その秋めいてきた空をバックにオオジョロウグモが網を張っています。」「この場所だけかもしれませんが、網に掛かっているのはリュウキュウアブラゼミが圧倒的に多い状況でした。大型のセミですが、」
どうするんですか?
湊 和雄さん「もちろん食べます!」
さすが日本最大のクモですね!
湊 和雄さん「しかし、リュウキュウアブラゼミの体が破壊されている場合もありますが、バリバリと齧って呑み込むのではありません。クモは消化液を注いで溶けた液体を飲むのです」

じゃあこれちゅうちゅう吸ってるところ、衝撃。
湊 和雄さん「まず、網に掛かった段階から観察してみましょう。リュウキュウアブラゼミは網から逃れようとかなり暴れていますね。暴れるリュウキュウアブラゼミに近づいて糸を掛けていますね。このとき使われいる糸に注目してください。細い糸が束になっていますね」
ちょっと綿飴みたい?
湊 和雄さん「1本の糸より結束効果があるのでしょうね。リュウキュウアブラゼミはかなり暴れましたから、網も破れました、その補修が始まりました」「このときの糸は太めの1本に見えます。横糸を縦糸の間に張っていますが、左右の後脚を使い分けていますね、吐き出した糸を縦糸に持っていくのは左後脚。弛まないように縦糸を手繰り寄せるのは右後脚です。

湊 和雄さん「かなりのスピードで糸を張っていきますが、グルっと1周はしません。ある地点まで来ると折り返すのです」
どうやって折り返し地点を決め、感知しているでしょうか?
湊 和雄さん「しかも折り返すと、左右の後脚の役割がしっかり入れ代わっていますね。さて、今月で活動もほぼ終わりですから、必ず行わないとならないのが繁殖です。今まで見てきたのは雌です。こちらが雄。雌に比べてかなり小型です」
湊 和雄さん「これだけサイズの差があり、雌は凶暴な肉食性ですから雄は下手に近づくと食べられてしまうこともあります。なので雌が食事に気を取られているときは接近のチャンスなのです」

湊 和雄さん「クモの場合は交尾と呼ばずに交接といいます。雌の腹側に行かなければならないのですが、このときは何故か背中に乗ってしまっていますね。この後、腹側に移動したのですが、雌の脚で払われてしまいました。これを何回も繰り返して、このときは交接まで至りませんでした」
雄にとっては命がけの恋ですね。
湊 和雄さん「さらに、雌の吐き出す糸には種類があります。縦糸には粘着性がありません。クモが移動するときの足場です。横糸は強い粘着性があります。獲物を絡めるためです。本能と言ってしまえば、それまでですが、誰に教わるでもなく、よくこのような細かい作業をこなせますね」
湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました以上、リュウキュウの自然でした。