琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊和雄さんです。よろしくお願いします。
湊和雄さん「よろしくお願いします。さて今回のテーマはこちら「早春の花と昆虫」やんばるの森では、今年は早くも新緑が始まっています鮮やかな芽吹きや花々、しかし相変わらず昆虫、特にチョウは少ない状況が続いています」
前回まで冬を乗り越える昆虫や花を紹介してきましたが、もう春なんですね。spring flour&コンチュウです!VTRどうぞ!
湊和雄さん「寒さの厳しい今年の冬でしたが例年よりも早めに森の新緑が始まっています」
少し色づいてますね。
湊和雄さん「森が次第に黄色から緑色のグラデーションに覆われつつあります」「森の中を観察すると赤系統の鮮やかな色も見られます。例えばその名もアカメガシワ(赤芽柏)今の季節の芽吹きには深紅の新しい葉が展開し始めています」
樹高2から15m。沖縄から本州に分布

湊和雄さん「これはやはり赤系統の芽吹きで美しいタブノキ。ピンク色の鱗のようなパーツに覆われた新芽から新しい葉が展開します」
樹高5から20m。沖縄から本州に分布
花と間違えそうな鮮やかな色ですね。
湊和雄さん「芽吹きだけではなく花もたくさん咲き始めています。まず青というか紫色の花は珍しいアオバナハイノキ。2月から開花します。ひとつひとつの花は数mmの小さなものです。ミツバチも飛んでいたのできっと蜜も甘いのでしょうね」
樹高3から10m。沖縄本島、沖永良部島に分布
湊和雄さん「こちらも小さな花の集合クロバイ」

クロ?見た目は真っ白ですけど。
湊和雄さん「花は純白ですが樹皮が黒っぽいのでクロバイという和名なのです。白い房状の花が春風に揺れる様子は冬の終わりを感じます」
樹高5から15m。沖縄本島・奄美諸島から本州に分布
湊和雄さん「次はやはり白い小さな花の集合ながら、房状にはならないハクサンボク。ここまで5種類の植物を紹介してきましたが昆虫らしい昆虫の姿はほとんどありません。特にチョウはゼロです」「画面左下に小さな昆虫がいますね。本日2匹目です」
樹高2から6m沖縄から本州に分布
湊和雄さん「そして、これはゴモジュという樹木の花ですが、1月から開花します。この花にはセイヨウミツバチが頻繁に蜜を求めてやって来ていました」

樹高1から4m。沖縄諸島から奄美諸島に分布
湊和雄さん「ではここで今回の撮影で遭遇したチョウの登場です」
コノハチョウですね!
湊和雄さん「はい、コノハチョウです。しかしコノハチョウは樹液や果実の汁を餌にしていて花にはまず来ない種類なのです」
前翅長約48mm。沖縄本島、石垣島、西表島などに生息 沖縄県指定天然記念物
不思議ですね!
湊和雄さん「次はエゴノキの花。やんばるの森ではあちらこちらで見掛ける樹木です。白い大きめの花を下向きに着けます」

樹高5から15m。沖縄から北海道に分布
湊和雄さん「このエゴノキの花に度々やって来て蜜を吸っていたのはジャコウアゲハです」
前翅長45から65mm。沖縄から本州に生息
一生懸命蜜を吸ってますね。
湊和雄さん「しかし、温帯の本土では春先の花ですが、亜熱帯沖縄では秋から今頃に主に冬に開花する樹木なのです。チョウにとっては貴重な花ですね」「そして今は花の終わりの季節なのです。あちらこちらで地上に散ったエゴノキの花を見ることが出来ます」
湊和雄さん「最後に 今の季節にも見られたオオゴマダラ」
日本最大の蝶ですね!

前翅長約75mm。自然状態では沖縄県に生息
湊和雄さん「蜜を吸っているのはオキナワスズメウリの花でしょうか?とても高いところだったので確認出来ませんでした。夏になって実がなれば判るのですが」
春になって山も色づきはじめ昆虫たちも活発になる季節ですが少ないのは気になりますね。
湊和雄さん「昆虫が、チョウが少ないというのは沖縄だけではなく、日本全国で言われています。さらには地球全体でも昆虫の減少は報告されています。やはり気候変動が原因なのでしょうか」
今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然でした。