※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

今を生きる私たちが沖縄の未来を見ていくシリーズ「IMAGINEおきなわ」です。こちらをご覧ください。世界にはおよそ6000~8000の言語があるとされていてその大半が「今何もしなければ」今世紀の間になくなってしまう「消滅危機言語」と言われています。

日本では、8つの言葉が消滅の危機にあり、そのうちの6つが沖縄で話されている言葉です。(2009年ユネスコ発表)年々話す人が減り続け、消滅の危機にある島の言葉をどのように繋いでいくか考えます。

危機的な状況にある地域の言葉について広く知ってもらおうと毎年全国各地で開催されている「方言サミット」。8回目となったことしは、与那国島が開催地となり各地で言葉の保存・継承に取り組む人たちが集まって文化を彩る言葉の役割やその大切さについて考えました。

与那国中学校3年 土屋りらさん「あぬや ににんまえがら よなぐにごこーすし どぅなんむぬい ならいぶる(私は与那国語コースでどぅなんむぬいを習っています)」

そこで与那国の言葉=どぅなんむぬいを披露したのは地元の中学生たちです。

与那国中学校2年 野底優琳さん「あぬや ぬっかぬ ひできとぅ たかこぬ なぶだてぃ ぬっかぬ ゆうりんどぅぬ たんでぃ ちーとぅらしわり(私は野底秀樹と貴子の三男 野底優琳と申しますどうぞよろしくお願いします。)」

今後、数十年のうちに流ちょうに話せる人がいなくなる可能性があるなかで保存・継承に向けて動き出した地域と、そうでない地域がありいま、状況は二分されてきているといいます。

#IMAGINEおきなわ vol.46 「消滅危機言語をつなぐ」

国立国語研究所 山田真寛 准教授「残すと決めて手を動かす人がいる地域は残る。そうじゃないところは残らないんじゃないですか」「最近は記録を残すだけではなくて生きた言語を残そうという意識を持っている人たちが増えてきている気がしますよ」

生活の中で話され、親から子へ、そのまた子どもへと受け継がれ、地域と共に生きてきた言葉。その響きには、それぞれに味わいがあります。さまざまな言葉があるなかでユネスコが日本国内で最も危機レベルが高い「極めて深刻」としているのが、アイヌの言葉です。

北海道などでアイヌ民族が話してきたアイヌ語は明治以降の近代化などを経て、話せる人が減り幼少期のころから言葉を聞いて習得してきた人はもうほとんどいません。

アイヌ語講座「イランカラプテ(こんにちは)~ イヤイライケレ(ありがとう)~」

しかし、残された記録や音声などを通してアイヌ語を学び、話し、つなごうとする人たちがいました。北海道の関根さん家族です。

関根健司さん「僕たちはかなり時間を割いてトレーニングというかアイヌ語だけを使う時間を作ったりしてニュースピーカーという感じ」

アイヌ語を生活の中で使ってきた人が周りにいない今、一から言葉を身につけることは、たやすいことではありません。

関根健司さん「実際はネイティブではないので年配の方とかにチェックとかをしていただくことができないような状況。分かる限りのデータを一生懸命調べて、なるべく正確なアイヌ語を使っていこうという努力を続けています」

必死に学び、広げる活動を続ける関根さんたちの目に、私たちの沖縄の言葉は、どう映っているのでしょうか。

#IMAGINEおきなわ vol.46 「消滅危機言語をつなぐ」

関根健司さん「なるべくいろんなお話を聞いたり、記録を取ったり、保育所とか小学校から、今始めればまだたくさんの人が使う状況にできると思います。それをするにはアイヌ語よりもやりやすい状況があるのではないかと思います」

関根摩耶さん「(他の地域と)交流することで気付く場や表現する場が増えていったらお互いがもっとパワーを持って活動できるようになるのかなと思います」

アイヌ語の次に危機的な段階「重大な危険」とされているのが、ここ与那国の言葉=「どぅなんむぬい」です。過去の調査によると話せる人は390人程度。(2010~2013年)現在はそれよりも少なくなっていると考えられています。

ゆっくりと、確実に消えゆこうとしている言葉を教育の現場から考えようと与那国中学校では2002年から総合学習の時間に島の文化や言葉を学ぶコースを作りました。2010年頃からは、本格的にどぅなんむぬいを学ぶ「与那国語コース」がスタートしています。

どぅなんむぬいで、簡単な日常会話を練習したり自分の意見を話してみたり…毎週2時間、どぅなんむぬいの辞書作りに携わる人たちなどから学んでいます。

講師 村松稔さん「与那国らしい表現というのは人と関わらないとできないので。僕がよく言われたのは”っかい ならえ”って。”使って習え”って」

2年生の野底優琳(のそこ・ゆうり)さんは、言葉を聞いても最初はさっぱりわかりませんでしたが”使って習う”を実践し少しずつ話せるようになってきました。

先生とのやりとり「うやんた(みなさん)”あ”をもうちょっとしっかり」「うやんた」

野底優琳さん「同じ言葉が連続で来ると噛んだりとか途中で詰まったりするのでなめらかにスラスラ言えるようにしたい」

#IMAGINEおきなわ vol.46 「消滅危機言語をつなぐ」

会場は席が埋まり立ち見の人も大勢。今回初めて与那国島が方言サミットの開催地になったとあって多くの島民がつめかけました。地元の人々が見守るなか与那国中学校のメンバーはどぅなんむぬいで自由に自分の考えを語ります。

与那国中学校3年 土屋りらさん「あった とぅいっくんか゜ とぅむてぃぬ いいや パンか゜まちかや? まいぬ いいか゜まちかや? パンや まぁんか゜あぬや まいぬ いいか゜どぅ まち(突然の質問ですが 朝食はパン派ですか?お米派ですか?私はお米派です。)」

与那国中学校3年 金城ゆいさん「あぶたや とぅむてぃ つま どぅー まーるむぬ っくい どぅふるぬ すでぃ ふるやぬ すでぃ んなにあらい ふがんき しかまんき ひるんんた いしわるん くゆ いっちん いしわるんすや いまさらどぅ あか゜でゃーでぃな くとぅんでぃ うむん(母は朝昼晩、料理を作ったりお風呂の掃除トイレ掃除をしたり洗濯をしたり 仕事に行ったりしています。これを毎日やっているのは今更ながらすごいなと思いました)」

野底さんが語るのは「将来の夢」についてです。

野底さん「あか゜しょーらいぬ いみや うやたいぬ しかま ちんぎるきとぅ あか゜うやたいや だどぅやぬ しかま きーぶる(私の将来の夢は両親の仕事を継ぐことです。私の親は民宿をしています。」

「どぅなんや ちゅーがっこーぬか゜いか゜しや こーこーんき ひるたみ どぅなんちま とぅんでぃらぬとぅ ならぬんがら ない いやや あぶたがら しかーとぅ ってぃ うとぅぐくとぅか゜いてぃん あたらぎーぬくとぅんでぃ うむん(与那国島は中学校を卒業すると高校に入学するために島から出ないとならないから 今のうちにお父さんお母さんから(民宿のことを)しっかりと聞いておくことが一番大切なことだと思います。」

「まーびん どぅなんちまぬくとぅ つぁぬとぅ ならぬんでぃ うむんがらんーまんきん くまんきん ひーぶさどぅ ある(もっと与那国のことを知らないとならないと思うからいろいろなところに行きたいです)」

祖父・武則さん(75歳)「じいちゃんびっくりしたよ。イントネーションとかが一番難しいけど非常に良かった」

島の人たち「君らが与那国語を使っている姿に感動した」「すごいの連発です」「先生より上手くならないでね」

野底さん「いつもより人が多くて緊張した。与那国の方言で書いた本を辞書を使わずに読めたり、いちから方言で考えて文章を書いたりしてみたいです」

今、生きている言葉を生かし続けていくために若者たちは「使って習う」でどぅなんむぬいを未来へつなげます。

「ぶーるし どぅなんむぬい っかいんだぎ!(みんなで与那国の言葉を使おう)」

辞書、文法書を作ったり実際に話している様子の動画とかを記録するのも大事だし実際に地域の言葉をたくさん話すことも大事。国立国語研究所の山田准教授は「話すのがなるべく心地よい場所を見つけるといい」と話していました。

家族でだけでもいいし、職場で友達同士だけでもいいしつらい環境ではなくて楽に話し続けられる環境を見つけることが生きた言葉をつなぐ第一歩になるのかなと思います。