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正殿の再建が進む首里城で今何が行われているのか追いかけ続ける「復興のキセキ」です。今、首里城の方を見ると「巨大な覆い」が目に飛び込んできます。

見た目のインパクトが強烈なんですよね。遠くから眺めているだけだと、あれは何だろうと思ったことのある人もいるんじゃないでしょうか。

この建物は「素屋根」と呼ばれるもので、雨や風から木でできた正殿を守るための、いわば「防壁」のような役割を果たします。今回はその素屋根にスポットをあて玉城アナが取材してきました。

玉城アナウンサーモノレールの車内「モノレールからも工事の様子が見られます。これだけ離れていても素屋根存在感あります」

3年後の秋に完成予定の正殿が立つ場所にどっしりとそびえ立つ「素屋根」はゆいレールの車窓だけでなく那覇市内のいろんな場所から、見ることができます。琉球王国の栄華を物語る首里城。その在りし日の姿を取り戻そうと復興が進む現場で重要な役目を果たすのが「素屋根」です。

玉城アナウンサー「今回はその役割やこれからどうなっていくのかなど素屋根の全容を解明したいと思います」

令和の正殿復元で主任監督員を務める総合事務局の江崎秀明さんが現場を案内してくれます。

江崎秀明さん「なかなかここまで近くに寄れないです。」「本当ですよね。首が痛くなっちゃいそうなぐらい。大きさ伝わりますか。」

首里城2026 復興のキセキ 円滑な工事のために 正殿覆う巨大な素屋根

南北42メートル、東西33メートル 高さ25メートルの素屋根は、近くで見ればみるほどその大きさに圧倒されます。

玉城アナウンサー「どうして素屋根って必要なんですか。」江崎秀明さん「正殿の工事中に雨風、ほこりなどから正殿を守るために必要になってくる」

正殿をすっぽり覆い雨や風など外側から及ぼされる様々な要因から守ることで、作業の効率が落ちないようにすることが大きな目的です。県外でも伝統的技術を必要とする建物に用いられています。2015年まで行われた姫路城の改修工事では高さ46mほどの城をも覆う巨大な素屋根が設置されました。

玉城アナウンサー「仮設の屋根とはいえ、すごく立派な建物だと感じましたが」江崎秀明さん「今回、公園の開園エリアに面しているということと、沖縄は台風が非常に強い勢力を保ってくることもあり、安全性、見た目にもある程度配慮して計画されている」

年明けに重機を入れて整地・準備工事が始まりました。今月11日に公開された時には、「素屋根」の建設に必要なメインの梁となる大きな鉄骨をクレーンで吊り上げて取り付けるなど骨組みを組み立てていました。

江崎秀明さん「ここにすぐここから見学に入る感じですね」玉城アナウンサー「ここが入口に」江崎秀明さん「こっちがエレベーター、こっちが入口になります。」

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いま原寸場で作業の様子が見られるように、素屋根にも来た人が正殿ができ上がる過程を自由に見学できるガラス張りの「見学スペース」が設けられます。

玉城アナウンサー「Q 何階建てかのフロアになっているっていうようなイメージですか?」江崎秀明さん「見学デッキは3フロア3層分あり、ちょうど一番高いところで首里城の屋根の軒一番上の上層のところが見れるようになっているので、逆に素屋根があるときしかそこまでは上がれない」

玉城アナウンサー「そうですよね、できてしまっては」江崎秀明さん「解体しちゃいます。そこまで高いところの首里城の細部を見られるのはなかなかない」

素屋根に外付けられた階段・エレベーターから入場でき見学場所には幅4.3メートル、高さ2.4メートルのガラスが張られて、1フロアに20人程度が入れるようになるということです。

玉城アナウンサー「平成の復元、それ以前の工事の際にも素屋根が作られていた?」江崎秀明さん「前回首里城の復元 平成の復元ときも作られていて、今回の令和の復元でもそのときの図面などが残っていたのでそれを活用して、設計計画されている」

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戦前の1933年に昭和の時代の解体修理、そして、本土復帰20年の記念事業「平成の復元」でも素屋根は建てられました。これにより工期を管理しやすくなり、経費削減につながったといわれます。

江崎秀明さん「当時の資料はかなり細かいところまで残っていましたので、前回の技術を継承して使って、今回の設計が行われています。」

今、作られている素屋根の基本となった平成の復元時の図面を特別に見せてもらうことができました。図面には、鉄骨造の素屋根に用いられる鉄骨の太さ、作業床をどこに作るのか重機を置く位置など細かい記載で溢れています。

玉城アナウンサー「素屋根の中で、どの部分まで作業ってなされるんですか。」江崎秀明さん「木工事が終わって、基本的な建物の形ができた後に瓦、屋根を吹いて、同時並行して外部の塗装までやる 最後に龍頭棟飾りをつけたところで屋根が完成するので、そこで素屋根の役割が終わる」

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正殿の内装工事に取り掛かるまでのおよそ2年間、素屋根が再建工事の舞台となります。

江崎秀明さん「木材倉庫で加工した木材を直接素屋根の正殿の施工位置に運ぶためにつなげる つなぐ位置がここになります。」

木材倉庫のおよそ12分の1、幅およそ5.2m高さ3.4m四方の壁を切り取り木材倉庫と素屋根は連結されます。

玉城アナウンサー「どうしてこの限られた一部分だけを取り除いて連結させるんでしょう。」

江崎秀明さん「正殿工事は建方が終わった後に、漆塗りとか塗装の工事工程に入っていくその期間中も木材倉庫では木材の加工をしているので 加工のときに出る粉じん(まぁ粉ですね。)漆は非常に粉じんを嫌うので素屋根の方に粉じんが入らないようにするために開口を限定している」

柱や梁となる木材の製材時に出る木くずが漆に付着しないよう開口を可能な限り小さくしているんです。

玉城アナウンサー「すごい!中から見ると素屋根今こうなっているんですね。」

木材倉庫からは現在防音シートで覆われ、外からは見えない素屋根のなかの様子、そして世界遺産の遺構も確認できました。

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江崎秀明さん「鉄骨建て方中も今ちょっと重機をできるだけ離して、実際今、2台入っていると殆ど動けないことをわかってもらえると思う。非常に狭いヤードの中で、職員の方たち非常に注意してやっている」

玉城アナウンサー「これから素屋根どうなっていくんでしょうか?」江崎秀明さん「しばらく建て方(工事)が続き、続いて屋根外壁位の取り付けに入るその後建具、それから内装、設備関係などの工事を始める予定」玉城アナウンサー「完成はいつごろを?」江崎秀明さん「夏ごろ今年の夏ごろの完成を目指して作業を進めていく」

火災から3年半の月日が流れました。素屋根が夏に完成すれば、秋には正殿本体の工事が控えていて今この瞬間も首里城は前へ前へと進んでいます。訪れるたびに表情を変え、出迎えてくれる「再建の現場」を何度も訪ね見守っていくことが再建に携わる人々の力へと変わります。

最後に江崎さんに「令和の復元」に対する思いを聞きました。

江崎秀明さん「令和の復元が終わった後も末永く首里城を那覇の人・沖縄の人に親しんでもらうためにも作っている最中から、ぜひ見てもらい愛着を持ってもらえたらと思う」

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