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沖縄県は東西およそ1,000km、南北およそ400kmという広大な海域に160の島々が点在しています。そのうち人が暮らす離島は実に39にものぼります。高齢化や過疎化といった課題があるなかで、命を支える医療も悩みを抱えていました。離島医療の問題解決に役立つのか、与那国島で始まったオンライン診療の可能性を考えます。

那覇からおよそ500km。日本最西端の島、与那国。島には約1700人が暮らしていますが、その命を預かる医師は1人しかいません。離島医療に携わって実に30年以上になる与那国診療所の崎原医師は沖縄の離島医療の現状について

崎原先生「沖縄はある程度の島は24時間365日ドクターがいるっていうこれは県の、沖縄県民はどこに住んでいても同一の医療サービスを受けることが出来るっていう沖縄県の方針があって。という事はこの1人が欠けたら、或いは病気になったらゼロになっちゃうんですよね」「何が起こるかわからない時に対応できるバックアップシステムというか離島医療センターみたいなそういうものがあって、そこが出していくっていうのが本当は」

離島の医療は常に瀬戸際に立たされているといっても過言ではないのです。

そんな離島医療が抱える課題解決の一助となるのでしょうか、去年12月、オンライン診療の実証実験が始まりました。

オンライン診療のようす「糸数さん、どうですかお熱は?熱はあるけど元気出てきてる?お腹いたくない?お母さん心配事あります?(大丈夫です)OK、はいじゃあねーじゃあこれで診察終わりまーす」

オンライン診療は、スマートフォンやタブレット端末のアプリを通して受診日時を予約し、医師がビデオ通話で診療するものです。

崎原先生「やっぱり対面が一番いいのはしょうがない、誰が何と言おうともそうです。だけどもしかしたらこのオンライン診療で、リスクを減らしながら、お年寄りなんかでも動かせないような方もいるので次の手段としてオンライン診療っていうのはかなり役に立つのではないかと思っています」

小さな島の中に広がる新型コロナの不安。

離島の医療を考える~与那国島から~

崎原先生「コロナが出始めた頃から与那国の雰囲気が少しずつ変わっていってどんどん毎日々々コロナっていう放送が流れているなかで皆が不安になっていく」

遂に去年10月、島で初めての感染者が確認されました。

島の人小根田喜美子(おねだ・きみこ)さん「その人(陽性者)を家に送ったりして花火も一緒に見て。そのとき私マスクしてて。その人はマスクしてなかったんじゃないかな、その運ばれた人」「今コロナになったらもう糖尿も持ってるからおしまいと思うから」

島の人祖納政子(そな・まさこ)さん「その人がかかった日に私一緒だったんですよ。与那国みんな一緒ですよ友達」

住民の殆どが知り合い、また高齢者の多く住む狭い地域の中で1人感染者が出ると次々に感染が広がっていくという負の連鎖が引き起こされる恐れがあります。

島の人西條実さん(72歳)「島は小さいから。蔓延するんじゃないかと思ったことは確かにあるね。高齢者だから心配するさ」

このとき非常に素早く、且つ的確に対応にあたったのは与那国町役場でした。

南風原課長「その時に町内で駅伝大会があり、島外から入って来ない地元の人だけという事で開催したんですけど」

陽性者が島内で行われた駅伝大会で選手を応援するためあちこち移動し接触者も多くなったと考えられたのです。

南風原課長「保健所が一桁だけの濃厚接触者だろうと言われたんですけど与那国町はそうじゃない、もっと範囲を広げてPCR検査をしようという事で」

離島の医療を考える~与那国島から~

崎原先生「もれなく疑いのある人は全部検査しないといけないって事で、そこはもう全く一致したので」

役場と診療所が協力し、陽性が判明した2日後には陽性者と接触があった43名のPCR検査を実施したのです。

崎原先生「場所も43名集めるわけにいかないので診療所のあるところから離れた漁港の港内を使って車でドライブスルーで来てもらってPCRやって」

南風原課長「経費は町が持つということで決めてみなやることによって住民も安心するだろうという事で。防災無線もあるし各家庭でもビラ形式で全島配布。そうしたおかげで住民もある程度情報を開示できたかなと思っています」

すべては住民の安全と安心のため。結果、与那国町における新型コロナの感染は8名にとどまり年が明けてからは確認されていません。その一方で、コロナによって(離島の医療が)あっという間に窮地に立たされ、医療崩壊が起こる危険性が浮彫りになりました。

崎原先生「幸いなことにメンバーの中には誰も体調崩したものはいないんですけども、もし陽性になってしまったら診療所がストップしてしまう」

診療所っていうのは安心と安全それを提供できないと診療所機能がなくなるのでどうしようと思って

与那国診療所では、発熱患者を分けるために診療所の前にテントを設置。発熱患者が診療所内に入ることがないよう動線を分けて対応しましたが、不安から診療所に通わなくなるお年寄りも出てきてしまったのです。そこで、自宅にいながら医師に診てもらえるオンライン診療に期待が寄せられていますが、導入にあたっては課題もみえてきました。

南風原課長「課題は2つあると思っている」

ひとつは、スマホやパソコンを使った操作。もうひとつはクレジットカードを持っていないと診療のための登録が出来ないという点。何れも高齢者にはハードルの高い現状があります。

離島の医療を考える~与那国島から~

崎原先生「与那国に合ったオンライン診療っていうのがあるんだろうか、それが見つかると沖縄の離島医療にオンライン診療が使えるかもしれないという、この糸口になるんじゃないかと思いますね」

オンライン診療がコロナ禍での医療の助力となるか、更には島に医師1人という状況を改善できる手段ともなり得るのか。実験は今月末まで行われます。