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シリーズ非戦の誓いです。戦後75年が経ち、戦争を知らない世代が沖縄戦の悲惨をどうやって、次の世代に伝えるのか。常に大きな課題となるテーマです。少女たちの戦争を通し平和を訴えるひめゆり平和祈念資料館では、戦争の記憶を繋ぐための努力が始まっていました。

島袋淑子さん「どんな世の中が変わっても戦争はだめだということと平和がどんなに大事で、人の命がどんなに大事かということが、みんなに分かってもらえるような資料館にこれからもなっていってほしいとそれだけですね」

シリーズ非戦の誓い「戦争から遠くなった世代へ」ひめゆりの取り組み

戦後75年の慰霊祭。元ひめゆり学徒隊としてこれからの世代に平和の尊さを語ったのは島袋淑子さん。沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒たちおよそ240人が負傷兵の看護要員などとして動員され、合わせて136人が亡くなりました。友人たちと学校生活を楽しんでいた矢先に青春を奪われた少女たち。75年が経過し、91歳から95歳になりました。

おととし3月には、ひめゆり平和祈念資料館の館長をつとめていた、島袋さんも高齢のため退任。語り手のバトンは戦後生まれの普天間さんらに引き継がれました。しかしそこには多くの課題が横たわっていました。

普天間朝佳館長「一番大きな背景としては戦後75年が経って、戦争からさらに遠くなった世代になっているということで、戦争そのものに沖縄戦そのものに、関心を持たれる方が少なくっているというのも大きいんではないかと思います」

シリーズ非戦の誓い「戦争から遠くなった世代へ」ひめゆりの取り組み

1989年に開館したひめゆり平和祈念資料館およそ30年間で2300万人以上が訪れました。しかし、年間の来館者はおよそ100万人が訪れた2001年度をピークに減少傾向に。昨年度はおよそ49万人にまで減りました。

こうした中、動きだしたのが、開館以来2回目となる展示のリニューアルです。リニューアルのテーマは「戦争からさらに遠くなった世代へ」若い世代に沖縄戦について知ってもらいたいというメッセージが込められています。

普天間朝佳館長「今は開館から30年経ってご両親だけでなく、祖父母の方も戦争体験者ではない。周りの人にも戦争体験者がほとんどいない方が来館されるようになっているんですね。やっぱりそういう世代に向けてはこれまでの伝え方では伝わらない。届かない部分があるんじゃないかということをやっぱり皆考えてですね。その世代に伝わるためにはどうしたらいいかということを考えながらやっていこうとしているのが、今回の開館30周年のリニューアルなんです。」

普天間朝佳館長「女子一高とひめゆりの学校には県道から校門までの長い相思樹の並木道があって、その絵を描いて、今から学校に行くような絵を大きく掲げようと思っています。」

シリーズ非戦の誓い「戦争から遠くなった世代へ」ひめゆりの取り組み

普天間朝佳館長「生き生きとした写真、今の子たちに近い表情の写真を選んで、できるだけ選んで、無い中から選んで掲げようとしています。」「手術の様子も絵にしてですね。わかりにくい戦場の様子をイメージしてもらうために、絵をいくつも多用していこうということです」

普天間朝佳館長「それから持ち物もですね絵にしようとしています。例えばこれは壕から掘り出された生徒、仲里光子(一高女4年)さんの筆箱だったり、波平節子(一高女3年)さんの下敷きだったりするんですよ。でも崩れたりしているので、(中略)イラストで柔らかく持ち物を表現することによって、自分も持っているとか、絵を見ることによって、こういう絵がこれになったんだと思ったりする。」「流れがこう絵で見るだけでもある程度の流れが分かるように」

さらにリニューアル以外にも彼女たちの体験を後世に語り継いでいく取り組みがありました・・・・

普天間朝佳館長「戦争を伝える場所には伝える人が必要だと。戦争体験をしていなくても、自分たちと同じように戦争を伝える戦後生まれの非体験者の人たちを養成しようということで」「非体験者である戦後生まれが彼女たちから話を聞いて、感じたり考えたり、強く思ったりしたことを、もう一度戦後生まれの人が語りなおすという、沖縄戦をひめゆり学徒隊を語り直しをやっている」

シリーズ非戦の誓い「戦争から遠くなった世代へ」ひめゆりの取り組み

古賀徳子さん「暗がりの中で隠れている時に突然弾の破片が当たったときの痛みとか、体の五感で体験したことというのを、体験者は話しながらその場面に戻っていると思うんです。脳裏にこう浮かべながら記憶を引き出して、語っていると思うんですけど。そういう語りというのは、私たちは真似することできないし、真似してもいけないんじゃないかと思いがあって、分かりにくいところとか、補うべきところを私たちが間でつないで、体験者の生の言葉と聞く人たちが理解できるような形にしていくことが大事かなと思ってやっています。」

慰霊祭に訪れた人「沖縄も語り部たちがどんどんいなくなっているって聞いていたので娘にも教えといたほうがいいかなと、同じことを繰り返さないように」

女性「おじいさんおばあさんが生き残った者としての言葉を聞いているのでやっぱり知らなくても何か伝えられるものがあるんじゃないかなとおもってきてる」

遠のいていく戦争の記憶。戦争を体験した人が減少し、その歴史を伝えることが難しくなっている今だからこそ若い世代から若い世代に伝える努力が続いています。ひめゆり平和祈念資料館のリニューアルオープンは今月の予定でしたが新型コロナの影響で来年4月12日に延期となりました。