沖縄本島北部、国頭村の海では、密漁者の存在が深刻な問題になっています。密漁者を取り締まる漁師を取材しました。

国頭漁協。イセエビやヤコウガイなどの海産物が獲れる貴重な漁場です。

ここを管理する国頭漁協は漁獲を制限する独自ルールを設け、次世代への資源継承に取り組んでいます。

伊藤さん「イセエビが今、県の条例で18センチ(以上が捕獲できる)というルールがあるが、 自分たちはそれを超えて20センチのものも取ったら放流していこう、放していこう、獲らないということで保護している状態。」

獲らないということで保護している状態

漁師生活20年の、伊藤和浩(いとう・かずひろ)さんです。伊藤さんはある悩みを話してくれました。

伊藤さん「イセエビやシャコガイ、ヤコウガイやサザエなど漁業権がないと獲れないといわれるものを結構獲っていかれて。」

悩みの種、それは密漁です。

伊藤さん「沖縄ではイセエビの禁漁期間を延ばしたり、獲っていいサイズを大きくしたりして保護している状態だが、そこですごい小さいイセエビを獲っていったり、小さいサザエとかヤコガイを持っていかれている状況で資源保護している意味が今無くなって来てしまって」

資源を守るため、獲りたい魚や貝も獲らずに我慢している漁師たちを横目に、密漁者たちはまだ小さなイセエビなどを乱獲しているのです。

伊藤さん「みんな頭に来ていて本当に手が出る寸前ぐらいまでなっているのを 頑張って頑張って抑えて対応している状態で」

漁師「じゃあ今日も頑張ってください。けが無いように。はい、皆さん頑張って下さい。」

この海を密漁者の好きにはさせない。漁師たちは寝る間も惜しんで、夜中のパトロールをしているのです。

漁師「前回ここに車が4台あって密漁者が7名くらい居ましたね。」

車が4台あって密漁者が7名くらい居ました

密漁者に対して「怒りありますよ。漁民からこういうのを取りしまるのは難しい。保安庁に携わってもらわないと。漁民からだと喧嘩ばっかりですからね。」

密漁者を取り締まるうえで、難しさもあります。

漁師「現行犯じゃないとちょっと難しい。彼らもそこら辺の抜け道分かって海の中で、陰に置いとってから陸あがってなんともなければすっと上げる。もしいたらそのまま放っておく。やっかいやんばー。」

密漁者を見つけたとしてもイセエビやヤコウガイなど、獲ってはいけないものを実際に密漁者が手に持っていた状態の現行犯でしか逮捕できません。

Qどうですか?漁師「いや、いないですね」パトロールが終わったのは深夜12時。この日密漁者はいませんでした。

伊藤さん「なんでも怪しいと思って自分たち決めてかかって今見てしまう。そうじゃない風であってほしいですね。」

それから数日後、伊藤さんから密漁者が現れたと連絡が!現場に行ってみると海面に怪しい光が2つ見えます。

密漁者のライトと海面に浮いている獲物いれ。「潜って獲物を探しているのでしょうか?ライトが水面でちらちら見えます。」伊藤さんの通報を受け駆け付けた海上保安所の職員が、海から上がってきた男性を呼び止めました。

「今海保の職員が密漁者に接触して捕ってきた獲物を確認しています。」

海上保安所が男性を調べたところ、イセエビやヤコウガイはもっていませんでした。しかし、伊藤さんは怒りを隠しきれません。実はこの男性、これまで何度もこの辺りの漁場を荒らしてきた、密漁集団のメンバーだったのです。

この日は捕らえることはできませんでしたが。

守ってきた資源取られているので怒りの気持ちしかないです。

伊藤さん「守ってきた資源取られているので怒りの気持ちしかないです。」

Q何度も来る密漁者には?「反省の色もなくて、(密漁者は)警察も保安庁もなめている。漁師もなめられている感じで。」

貴重な資源を守るため、漁師たちは警察や海保と連携し深夜パトロールを行うなど密漁撲滅へ動いています。

Qこれからは?伊藤さん「諦めず、ずっと密漁パトロールを続けていって(密漁者が)ゼロになるまで続けていきたい。」

資源豊かな海を次の世代へつなぐため。漁師たちの戦いは続きます。