沖縄の人たちに親しまれている泡盛。しかし、近年出荷量が減少しています。こうした中、県内3つの酒造所が幻と言われる酒を復活させました。どんなお酒なんでしょうか。

去年、県内3つの泡盛酒造所と県工業技術センターが協力して作り上げた「幻の酒」イムゲー。120年ぶりに復活し、話題となりました。

多良川砂川英之専務「まず面白いと思ったんですね。沖縄にあるお酒というと、皆さんご承知の通り、泡盛っていう一辺倒の形だったんですけど、僕らが気付かないだけで、光を当てたらもう一個文化が作れるかもしれない、文化を再発見できるかもしれないと思ったときに、その歴史的背景とあと商品の味の面白さに惹かれて、これはやってみたいなというのが始まりです」

「幻の酒」が農業を変える

そう話すのは宮古島にある創業71年の泡盛酒造所、多良川の砂川英之専務。多良川では3年前からイムゲーの研究に取り組んでいます。なぜイムゲー復活を目指したのかそれは近年、出荷量の減少が続いている泡盛と農業の復活にもかかっていました。

砂川英之専務「サトウキビは植えてから収穫まで大体1年半かかる、芋っていうのは植えてから収穫まで半年かかる。トータルで2年半のスパンで我々が作るイムゲーの原材料、農家の皆さんが作っていただけるんであれば、今までサトウキビしか作ってなかったけど、芋も作るということは単純に所得がプラスアルファが出てくるじゃないですか。そうすると農家の皆さんの所得が上がっていくだろうなと」

イムゲーは120年前の沖縄で高価な米を使った泡盛を庶民が飲むことが出来なかったため芋と黒糖を使って生み出されたまさに庶民の酒でした。

「幻の酒」が農業を変える

砂川英之専務「イムゲー自体が最初黒糖の香りがフワッときます。飲んだら芋焼酎の喉の通るような味というんですかね、そういうのが残っているので、芋焼酎と黒糖焼酎のいいとこどりをしたようなイメージだなと」

そんな「幻の酒」イムゲーが今島の農業を変えようとしていました。泡盛酒造所3社と120年ぶりに「幻の酒」イムゲーを復活させた県工業技術センターの豊川哲也さん。農業との密接な関係について語りました。

豊川哲也さん「農業との関りは切っても切れないと思うんです。芋の品種の問題もそうですし、黒糖も余っていますから、だから何とかそれをイムゲーに少しでも活用できないかなということは思っています。酒造所も活性化する、地域農業も活性化していこうということを目標にしています」

砂川さんたちの取り組みに地元の生産者たちも期待しています。

芋農家上地さん「それはもう嬉しいことですよ。地元で使って地産地消っていうの、そういうのやってもらえば僕らもうれしいですね。これはぜひみんなにも飲んでもらってね、たくさんイムゲー作れば自分らもまた芋たくさん作って原料として出せるもんだからさ、毎週取るようにしたほうが、自分らも助かるわけほんとはね、たくさん取ったほうがいいからさ」

また、イムゲーに使われる黒糖メーカーも新たな試みを高く評価しています。

「幻の酒」が農業を変える

黒糖協同組合宇良さん「サトウキビの農家が一生懸命栽培したサトウキビから黒糖を作っていますから、それぞれの離島の島の思いがある黒糖です。このお酒に変わるということで、またさらに喜びは深くなります。泡盛にしても、黒糖にしても沖縄の代表的な特産品だと思います。その中で、コラボできるというのは非常にいいことだなと思っています。また農家の安定的な収入に繋がれば、それはさらに良いことだと思います」

砂川英之専務「宮古島の畑、サトウキビ畑を全部芋と輪作することによって、大きな原料と呼ばれるものは取れるんです。それを使って、まず、イムゲーで大きなムーブメントを起こす。起こしつつ、イムゲーで使う芋と同じ芋を使って、例えばお菓子を作るとか、お菓子を作ることによって、違うお菓子の種類ができるので、それでまた、新たなムーブメントを起こせたらなと思っています」

泡盛酒造所が変える島の農業。砂川さんはその先に島の活性化という大きな夢を描いていました。

「幻の酒」が農業を変える

砂川英之専務「うちの集落は60歳でも若いって言われるんですよ。(砂川さんの住む集落では)限界集落入ってきてて、これってなんでかというと、うちの集落のサトウキビを継ぐ人がいないんですね、離農と言ってもう農業をやる人が減ってきている。だけど僕らがサトウキビと芋の輪作をしていただいて、それに僕らがコミットメントして、原材料を全部買いますよということが出来たら、ある程度の所得が生まれるはずなんですよ、所得が生まれるということは、その農地を継ぐ人が出てくるので、継ぐ人が出てくるということは、地域にまた子どもたちが生まれてくるので。影響というとおこがましいので、一緒に地域おこしが出来ると考えるとイムゲーというのは一つの答えかなとは思っています。」

イムゲーは15日からの離島フェアに出品される予定です。