市民生活を支える役割を持つ行政。しかし、その行政に問題があった場合、市民が行政を訴える「住民訴訟」という制度があります。2016年に宮古島市の市民が起こしすでに結審した住民訴訟をめぐって、新たな展開が起こりました。

今月3日に開会した宮古島市議会の9月定例会。そこで提出されたある議案が大きな波紋を広げています。

「名誉棄損を理由とする損害賠償請求事件について、訴えを提起するには、議会の議決を必要とするため本案を提出します。」

市議会に提出された名誉棄損による損害賠償請求のための訴えを起こすとした議案。この訴訟の相手は宮古島市の市民たちでした。

宮古島市と市民が対立したのは2014年、宮古島市が実施したゴミの撤去事業をめぐる問題が発端でした。市はゴミの撤去事業の委託契約を市内の業者と結びましたが市がゴミの量を多く見積もるなどしたことで高額な契約になったとして、2016年に市民6人が下地市長などを相手取り事業費およそ2200万円の全面返還を求め住民訴訟を起こしました。

しかし一審、二審と原告の訴えは認められず最高裁まで争われましたが市の違法性は認められませんでした。

裁判は原告である市民側が敗訴という形で決着しましたが市はこの訴訟によって「名誉が傷つけられた」として原告だった市民に対し損害賠償を求める裁判を起こそうと議会の同意を求めるために、議案が提出されたのです。

原告だった市民に対し損害賠償を求める裁判を起こそうと議会の同意を求めるために、議案が提出

自治体が市民を名誉棄損で訴えるという裁判のための議案。議員からも質問が相次ぎました。

議員の質問「まずこの訴えに至った経緯、動機などを説明を求めます。(原告の)行政が悪い、裁判所の判決が間違えているという(主張に)対して、それを怒って、もう一回この人たちに対して裁判で決着をつけようという意味なのか。」

市は提訴の理由について、裁判で市の違法性は認められないという判決が出た後も、市民らが市の違法性などを主張し続けたことに対して名誉棄損にあたるのではないかと主張します。

副市長答弁「(判決後に)報告会を開いて、市行政の違法および過程を市民に公然と摘示し、市の名誉を棄損した。これらの一連の行為に対して、それは少し違うのではないかとの思いで今回、訴えの提訴を議題として提案したところでございます。」

さらに住民が起こした訴訟は民事訴訟法の規定により最高裁で審理される案件ではないにも関わらず上告したことについても疑問視していました。

長濱政治副市長「原告はこの事案が最高裁で受理されないような案件であることを知らなかったのでしょうか、少なくとも代理人である弁護士は知っていたのではないでしょうか、知っていたうえで上告したのならどんな意図があったのでしょうか。」

様々な意見が飛び交う今回の騒動。市を訴えたのが一点、今度は訴えられてしまうかもしれない市民は驚きを隠せない様子でした。

原告だった男性「まずはもうびっくり、この判決が出た時点で最高裁で僕らの要請が棄却されたということで、そういう対応にで出るということはまったく今までの経過を無視した対応の仕方、おかしいかなと思いますね。」

まったく今までの経過を無視した対応の仕方、おかしいかなと思いますね。

さらに今回の名誉棄損の訴えは二つの意味合いがあるのではないかと男性は話します。

原告だった男性「僕らがやり方おかしいと訴えたことに対して、判決が出て「市がやったことは間違えてなかった」という強く言うためのものが一つと、二度とこういうことを市の行政に対して盾付くな、物言うなという状況を作り出したという二つだけども、それはそういうことをやること自体が行政の手法としては逆効果。自分の立場、市の立場を悪くするだけだと思いますね。」

行政が市民を名誉棄損で訴えるという訴訟。長濱副市長は「市にも名誉はある」と主張します。

長濱副市長「一審でも彼らの言うことは通らなかったですし、二審も棄却、三審も棄却ですよ。」「市役所職員の名誉もあるし、市役所の名誉もあるということで、今回の訴えの提起ということになりました。」

さらに市民が行政に対して、意見を言う権利についても理解を示しながらもこのように話しました。

副市長「何を言ってもいいということではないと思うんですよ。自由に物を言うということはですよ。節度ある物言いというのはあるのではないかと思います。」

泥仕合になっているようにも見える今回の問題。市側のメンツを優先するのか、市民と対話し協調を目指すのか。裁判を起こすかどうかは今後議会で審議されます。