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こちらの小さな赤ちゃん。2年前、台湾の夫婦が新婚旅行で沖縄を訪れた際に早産で生まれた男の子です。先週、この出来事から2年の時を経て、台湾の親子が沖縄に「お礼の旅」で訪れたのですがそこで語られたのは心温まる物語でした。

Qプラスリポート 多くの人の支援に感謝 台湾早産親子「2年前の秘話」

宮城雅也医師「良かったね。大きくなって良かったね。ちゃんと歩いてるし、しっかりと発達・成長しているので、見てとってもうれしく思っています」

南風原町の県立南部医療センター・こども医療センターを訪れた台湾の親子。お母さんに抱きかかえられた男の子はこの病院で誕生しました。

鄭さん「2年前、私の子どもと妻の命を助けてくれて心から感謝します」

鄭さん夫婦は2年前、新婚旅行で沖縄を訪れたとき、当時、妊娠7カ月だった妻が早産。それが800グラムで誕生した峻鴻ちゃんだったのです。

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ただ、この時、大きな問題になったのが医療費でした。日本の医療保険制度がきかない外国人の鄭さん一家。その費用は分娩費、およそ2カ月にも及んだ入院費などで総額800万円以上にもなったのです。

琉球華僑総会・張本光輝会長「医療費が莫大にかかって毎日悩んでご飯も食べない。3日間台湾に行って、親戚にお金を借りるという話もあった」

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親子の窮状はマスコミでも多く取り上げられたこともあり、県内外から2000万円以上の募金が集まったのです。

2年前、峻鴻ちゃんは、この新生児の集中治療室で小さな命をつないでいました。

琉球華僑総会・新里美玲さん「(2人が)毎日毎日こっちで窓ガラスから子どもの様子をうかがっていたことを思い出します」

大城達男医師「僕らも大変ですけど、親が大変だったと思います。言葉も通用しないし。こんなに大きくなってるとは思わなかった。言葉もしっかり喋れてるということで、本当に良かったと思います」

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多くの医師や看護師が小さな命を救うため奔走しました。再会した宮城医師もまた、当時、親子が台湾に帰る際、未熟児の峻鴻ちゃんの容態を見守るため、看護師とともに飛行機に乗り、台湾まで送り届けた人でした。

鄭さん「息子は2歳になりますが、とてもやんちゃでわんぱくです。(先生のことは)一生忘れません。ありがとうございました」

病院の後、やってきたのは、離島などから入院や治療を受ける子どもの家族が滞在する施設「がじゅまるの家」です。鄭さん一家もここで2カ月間を過ごしました。あの時を思い出したのか、鄭さんの目には涙が…。

鄭さん「胸がいっぱいです」

一家と同時期に施設を利用していた女性「こっちにいるときはすごい本当に必死だったから、余裕がなかったんだと思う。いつも奥さんを支えながら頑張っていた」

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2年前、わずか800グラム余りだった峻鴻ちゃんも今では体重12キロと成長。大きな病気もすることなく、健康的にすくすくと育っています。

鄭さん「皆さんにお礼を伝えることができて、きょうまで感じていた心の荷がようやく下りまし。また沖縄に帰ってきたいです」

たくさんの『ありがとう』を伝えた親子は台湾と沖縄との絆を深める旅を終え、帰路につきました。

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ここからは、取材した金城記者です。2年ぶりの再会となった沖縄の関係者もうれしそうでしたね。

金城記者「本当にうれしそうでした。ところで、この時、クローズアップされたのが高額な医療費でした。募金およそ2000万円が集まり、親子は無事に台湾に戻ったのですが、医療費800万円などを支払った後の余ったお金が1000万円以上あり、募金を呼び掛けた琉球華僑総会では今回、そのお金を県に寄付しました」

金城記者「県ではこの寄付金を元に、県医師会、コンベンションビューローと合同で鄭さん一家のような外国人観光客が緊急に『高額な医療費』を負担しなければならなくなった際の負担を補助する協議会を立ち上げました。協議会では県内の病院に年1回、医療費を支払えなかった人がいた場合、病院から協議会に補助が申請されます。協議会はこれを審査して補助金を病院に補助する仕組みを作りました」

高額医療費の方が対象になるということですね。

金城記者「はい。安心して観光を楽しめるためには医療のサポートは欠かせません。2年前の教訓が生かされた形です」