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中谷防衛大臣は「すでに行政判断は示されていて、法的瑕疵はないと考えている。移設に向けた工事を進めていくという考えに変わりはない」と話しました。

2つの裁判の結審から一夜明け、中谷防衛大臣は改めて新基地建設に強気な姿勢を示しました。

裁判所はいったん工事を止め、話し合いで解決策を探る和解を促しています。このあと裁判は、辺野古は、どうなるのでしょうか。

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翁長知事は2月29日、「和解案について引き続き協議することとなったむね、報告を受けております。裁判所には、双方の話し合いによる解決について格段のご尽力を頂いていることに心から感謝申し上げます」と話しました。

2月29日会見を開き、裁判の感想を語った翁長知事。その表情からは、裁判所の対応について一定の評価がうかがえました。

裁判所は国と県の双方が訴えている裁判を全て取り下げて国が辺野古での工事を止め、裁判の訴えも取り下げて県と話し合いを行うという「暫定案」を提案しています。

辺野古の海でいつ埋め立てが強行されるのか警戒が強まる中、とりあえず「一時休戦」し、工事を止めるという案に県は問題解決のささやかな糸口を見出そうとしているのです。

県側の弁護士は「裁判所から示されている暫定案は前向きに検討すると答えていると、一貫しているので、県側は前回と今回で変わったところはない。あとは国側の問題かと思います」と話しました。

辺野古で阻止行動に参加している人は「現実的に難しいとは思いますが、やっぱり希望は持っていきたいなと。とにかく工事をストップしてほしいです」と話しました。

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しかし国は裁判から一夜明けた1日も「移設に向けた工事を進めていくという考えに変わりはない」と述べていて、国がこの和解案に応じるかというと現実的には厳しいと見られています。

取材にあたっている野島記者に聞きます。

いったん辺野古の工事を止めて国と県で協議を行うようにという和解案ですが、この内容からは裁判所のどんな姿勢が見えますか?

野島記者「裁判所としても、これ以上国と県が溝を深め、訴訟合戦が続くことを回避すべきだと言う姿勢が見えてきます。」

元々裁判所が出していた和解案は2つあったんですよね。

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野島記者「はい、元々は、まずこちらのいったん国が工事を止めて国、県双方で話し合いのテーブルにつくという暫定案と、根本案と呼ばれるものがありました。しかしこちらの根本案については、基地建設ありきの内容であるため、県としては、到底のれない内容になっています。ある与党の県議によりますと知事としても、暫定案には、工事を止めることが盛り込まれていることから一定の評価をしているようです。」

裁判所も「暫定案」で進めるよう促したということですが。

野島記者「暫定案については、きのう、和解後の手続きや期間にまで踏み込んだ形で裁判所から説明がありました。しかし、こちらの根本案については特に言及はなかったと言うことです。こうしたことからも、裁判所が、暫定案での和解を進めようとしているとみられています。では実際、裁判所の意図がどこにあるのか。専門家は次のように分析しています。」

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成蹊大学大学院武田真一郎教授「政策的な問題、あるいは公共事業や基地に関するような問題は、裁判で解決するには根本的な限界がある。裁判所はそのことを分かった上で、判決に従うか聞いてみたり、あるいは国と沖縄県がもっと具体的に話し合いを進めるように水を差し向けて、和解案を示したということではないか」

改めて話し合う姿勢を促したい意図があるんですね。今後、辺野古の工事はどうなるんでしょうか?

野島記者「はい。仮にこの暫定案での和解が成立すれば、辺野古の工事は止まることになります。しかし、国側が、この暫定案での和解に応じるかどうかは、厳しいとの見方があります。」

17日には、うち1つの裁判の判決があり、県は、ここが和解の期限とみています。