Q+リポート やんばるに移住した産科医夫婦

牧野康夫医師「2400gちょっとくらいですね。頭の直径が8.8cmあるから、もうちょっとあると思いますけどね」

県立北部病院の産婦人科に、今年10月に赴任した医師の牧野康夫さん。東京の大学病院を辞め、同じく産婦人科医の妻・郁子さんと共に名護に移住しました。

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牧野郁子医師「いろんなところで医療・医学をしてきましたので、そういったことを地域に活かせたりとか、若い先生に残してあげられたらいいなというのがあり、そこがたまたま沖縄だった」

これまで深刻な医師不足に悩まされてきた、県立北部病院の産婦人科。

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(2008年9月)村田医師「年に100日くらいは泊まることになるんですかね」

2005年に常勤の医師がいなくなって以降、医師の増減を繰り返す悪循環。なかには激務で体を壊し辞めていった医師もいました。

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現在、牧野医師と同じ現場で働く仲本医師は、今年3月までのおよそ1年半、1人で勤務していました。

仲本剛医師「1人でやるのは限られてますので、けっこう制限をして。合併症のある方とか、生活困窮してる方だけに限って受け入れはして。病院に来なくていい日というのはたぶん2週間ぐらい(年間で2週間?)年間で2週間くらいかなと思うんですけどね」

北部地域の「失われた十年」と言われた産婦人科の危機は、牧野医師夫妻の赴任で大きく改善。医師の負担軽減だけでなく、妊婦たちにも安心感が広がっています。

名護市在住の妊婦「(以前産んだ時は)北部は自然分娩できないということで、中部病院まで移動で通ってました。(Q:やっぱり近いほうが安心?)中部まで通うよりは、北部で産みたいですね、地元で」

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しかし牧野医師は、まだ十分な体制だとは考えていません。

牧野康夫医師「わずか4人しかいないので、当直体制まではとても組めません。当直となると1人で月8回くらいすることになりますから。まだ、オンコール(事態発生の電話)で呼ばれたらくるという体制しか取れてないというのが現状です」

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北部地域では年間1000件前後のお産があります。受け入れ制限が続いていた県立北部病院では昨年取り扱ったお産はおよそ120件。しかし現在、お産の件数は急速に回復。来年には、多ければ300件近くまで達すると見込まれています。

転院してきた妊婦 「帝王切開が2回目なので、ちょっとそのリスクもあるかと思って総合病院のこちらを希望して、途中で移ってきた」

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今後懸念されるのは、妊婦のケアにとって最も重要な助産師など、お産を支える様々な診療科の人たちの負担です。

牧野康夫医師「助産師さんや看護婦さん、それとあのクラークさんたち。一緒に働いている麻酔科、小児科の先生ですね。人数が変わらなければ確実に疲弊をしていきますから」

13人いる助産師の増員なども着実に進めてほしいと、牧野医師は県の施策に期待します。

そして自らは、さらなる医師の獲得に動きます。若い医師の研修先に、県立北部病院を選んでもらえるよう、県外の大学を回ってのPRなどに取り組んでいます。

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牧野康夫医師「やんばるの人たちに最善の医療が出来るようにしたい。患者さんと将来こちらに来られる人たちのために、やれるところはやりたい」

スカウトマンとしても期待される牧野医師。北部の産科医療が、少しずつ変わろうとしています。

中川アナ「夫婦で産婦人科医、しかも期限付きではなく腰を据えた移住で来て頂いたんですね、嬉しいケースではないですか?」

久田記者「北部では、これまで民間のわずか2人の開業医が、1年におよそ700件ものお産を扱っているという問題も一方ではあるんですね。全国平均では医師1人あたりおよそ130件ですので、北部は3倍近い負担です。そこで県では、こうした開業医の少ない地域で、県立病院にまず医師を呼び込んで、1年以上勤務してもらったあと、産婦人科を開業する際に助成金を出す、という方針を打ち出しました。県立病院のトップにお話を聞いてきましたのでご覧ください」

県立病院事業局・伊江朝次局長「開業医の先生お二人がもう60代後半になってきて、いつ辞めてもおかしくないという状況があったものですから、そこを念頭に置いてやったということです。同じような状況で、宮古・八重山にもそれを適用していこうと」

久田記者「実は宮古島では、来年、県立病院から独立して開業予定の産婦人科医に、宮古島市と県から合わせて1億円を助成する見通しが立っています。今後はこうした支援を産婦人科以外にも、そして既存の民間施設などにも幅を広げて、やんばるや離島などの住民がより良い医療が行きわたるようにしてほしいですね」