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普天間基地に配備されたオスプレイはこれまでのところ9機です。残る3機は、まだ一時駐機先の岩国基地にとどまっています。

飛んでこない理由は整備不足。きょうようやく、このうちの1機が試験飛行を開始しましたが、部品調達の遅れで飛べないという事態は、過去にも起きているんです。

3年前の5月に公表された、アメリカの会計検査院の報告書です。オスプレイの導入によって、一体どの程度の予算が必要なのか、危機感を感じた議会の求めに応じて作成されました。

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報告書では、隊員や貨物をより速く、より遠くに運ぶことが出来るオスプレイに一定の評価を示しつつも、従来のヘリコプターに代わる最善の選択かどうかには疑問を呈しています。

『部品供給の弱点により、オスプレイの能力は要求されるレベルに達していない』

報告書によれば、イラクに派遣されたオスプレイ3部隊の任務達成率は平均62%。最低限要求されるレベルの82%には遠く及びませんでした。

その最大の理由は…「部品調達」。

整備部隊は、配備した機体の3倍の部品を用意していましたが、13種類の部品不足が特に深刻でした。

平均で寿命の30%ももたず、特にこのうちの6種類は設計寿命の10%も持たずに故障し、交換が必要となりました。飛びたくても飛べない機体が続出したのです。

部品の信頼性不足、そして供給体制の不備。会計検査院は正面から問題点を指摘しています。さらに報告書は、エンジンの信頼性にも疑問を投げかけています。

『エンジンの稼働時間が、目標に達していない』

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設計上、500時間から600時間は使用できるはずのエンジンが、300時間から400時間という、短い周期で交換されていました。

指摘はさらに続き、機体の問題点だけでなく、オスプレイの能力そのものにも及びました。

カタログでは24人の海兵隊員を運ぶことが出来るはずでしたが、兵士が重装備の場合には20人しか乗れないことがわかったのです。装備や搭載する武器によっては、さらに減少します。

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こうした分析の結果、会計検査院はこう結論付けました。

『もう一度、費用のかからない代替案を検討すべきだ』

本国でもすでに3年前に指摘されていた、部品の信頼性不足とオスプレイの能力への疑問。アメリカにとっては、議会への報告書で済ますことのできる予算の問題かもしれませんが、配備された沖縄にとっては、命に直結する問題なのです。

岩国基地への陸揚げは7月23日でした。2ヵ月以上も経つのに部品を待っているというのは、イラクの場合とまったく同じ状況です。部品の信頼性というのは、言い換えれば「安全性」そのものです。