※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

県発注の工事で国から不正を指摘され、国庫補助金を全額返還して前代未聞の問題に発展している識名トンネル。その識名トンネルの上部に位置する住宅や墓にひび割れなどが生じている問題で、県議会は26日午前、現場視察を行いました。午後には会計検査院から指摘された契約問題について、契約当時の元土木建築部長らが県議会に参考人として招致されました。

県議会土木環境委員会に参考人招致されたのは、識名トンネル工事の契約当時の漢那政弘元土木建築部長と、赤嶺正廣元南部土木事務所長です。

委員会で2人は、追加工事で業者との設計変更手続きがうまくいっていかなかったことなど、問題の端緒となる事柄について当時の状況を説明しました。

漢那元土建部長は「トンネル掘削工事を途中で中止するということは、トンネル上部にある家屋などに影響を及ぼし、安全上大きな問題が惹起することがありえること。トンネル掘削工事を完了した後での変更協議とならざるを得なかったと」と証言しました。

識名トンネル工事は、工事途中で地盤を固める追加工事を実施。通常ならトンネル本体の工事と同じ落札率で契約しなければなりませんが、業者と折り合いがつかなかったことから、県が別件の工事として契約書を事後作成していました。

両参考人とも市街地での特殊なトンネル工事で、安全面を考慮した対応だったことを主張し「当時、問題だという意識はなかった」と強調しました。

県も国に対して、国からの補助金は全額が同じ事業に使われていることなどから、補助金の全額を返還することは不当だと国に申し出ています。

しかし結果として契約書の事後作成など、手続きの問題で会計検査院の指摘を受け、税金を使って、補助金を返還しなければならなくなった責任の所在については不明確なままです。