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今月は児童虐待防止推進月間です。現在でも、親や保護者からこども達が受ける虐待の被害は少なくありません。虐待が減らない背景には何があるのか。現状を取材しました。

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森田さん「 平成22年度、全国205箇所の児童相談所が、児童虐待相談として対応した件数っていうのは、 5万5千152件。ということで前年度よりも一万件近く増加しました。」

今月26日に那覇市内で開かれた講演会。人権問題やDVなどを専門とする、森田ゆりさんを講師に招き全国的に増加傾向にある児童虐待をテーマに開かれました。

沖縄県では去年5月に、20代の男が、生後3ヶ月の乳児に暴行を加え虐待死させるという痛ましい事件も発生しています。

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去年、県が児童虐待として、対応した件数は420件。2009年度より15件減少していますが、過去5年間は高止まりにあるのが現状です。

森田さん「身体的虐待をした人の大半はしつけのためだったっていうふうに言います。だから身体的虐待っていうのは、しつけという名目で行われる、体罰がエスカレートしてしまった、そういうものですね、身体的虐待。」

児童虐待が、どんな家庭でも起こりえる問題だと指摘する森田さん。講演会では、実際に虐待を行ったことのある保護者の証言も紹介されました。

虐待経験者「虐待やっていわれても、なんで?って言って、虐待なんかしてないわって言って、虐待という言葉に全然別の世界のことのように思っていました。殴るとかどなるとか、その体罰をするっていう事しかしらなかったんです。」

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虐待経験者「子どもには日常的に暴力って言うか、叩いたりとか暴言を吐いたりとういうことがすごくあったのでこのままいったら、どうにかなるだろう、ものを使い始めた自分がいてとっても苦しくって・・・」

しつけという名目で、虐待に気づいていない事や虐待をしていることを分かっていながら、続けてしまう現状。

虐待を行った保護者の面談などを行っている那覇中央児童相談所の島袋所長は、虐待が起こってしまう背景についてこう語ります。

島袋所長「現在おかれているような経済的な問題であるとか、そういったものをストレスとして持っている場合、それから社会から孤立している、となり近所の付き合いがないとか、親戚との援助関係が上手くいかないとか、そういう要因が複合的に絡まって、結果的に虐待に及んでしまう、ということがあるというふうに考えていますね。」

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虐待は、単にひとつの理由から起こるものではなく、様々な悩みを抱えている保護者が、その悩みを誰にも相談できず、自分だけで解決しようとすることで、結果的に、こどもを、感情のはけ口にしてしまうケースが多く報告されているのです。

この様な保護者が抱えている様々な問題にどう対応すべきか。児童相談所では保護者の悩みを共有することが虐待解決へつながる、第一歩だと考えています。

島袋所長「 自分の中で抱え込まずにですね、身近な誰かに声を発して、そしてそこからまた助言をもらって、お話しすることでかなり軽減する部分もありますので、ぜひ保育所であれ学校であれ幼稚園であれ、あるいは児童相談所に直接ですね、こういうことで自分はいま子育てに悩んでいる、っていう風においでいただいても結構ですので、ぜひ声を発信していただきたいと思います。」

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現在では各市町村で子育てや虐待に関する悩み相談や支援の窓口を設置していますので少しでも不安をお持ちの方は最寄の役所へご相談ください。また、県では電話での悩み相談も実施しています。0570-064-000へお気軽にご相談ください。