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沖縄国際大学にアメリカ軍のヘリコプターが墜落した事故から8月13日で7年となり、大学では様々なイベントが企画されました。この事故の風化が早くも心配される中、今年は「若い人たちにどう語り継いでいくか」がテーマになったようです。

アメリカ軍基地による被害をコミカルに表現し、話題となっている「お笑い米軍基地」。ヘリコプター墜落事故からちょうど7年となった8月13日、沖縄国際大学で初めて上演されました。

舞台公演に先駆けて行われた学内集会。富川盛武学長は「取り巻く情勢は膠着状態が続く可能性が高くなっている大学の静寂、安寧を脅かし、生命すらも脅かす飛行は大学にとっては認められない」と声明を発表しました。

こうした中、今回企画された大学での舞台公演。若い世代にとって基地問題が難しいもの、遠い存在として受け止められていることを心配した大学側が、彼らに関心を高めてもらおうと企画しました。

会場には子どもからお年寄りまでが訪れ満席に。アメリカ軍基地に関連する事件や事故、県民の目に移る政府のずるい態度がユーモラスと皮肉たっぷりに描かれ、笑いを引き起こしていました。

コントには「沖縄の人はゆすりの名人」と発言し、日本部長を更迭されたあの人も登場しました。

観客は「笑いも入りつつ、かなり面白くて、わかりやすい内容になっていたんで良かったです」「忘れられないためにも、お笑いという形でも伝わっていけばいいと思いました。面白かったです」「自分が在学中にヘリが落ちて、そのとき学校にいて、この爆発とか煙とか、あと米軍に追い回されたり色々あった。これからもこういう動きが続いていけば、普天間基地もそれ以外の基地も返っていくんじゃないか」と話していました。

演芸集団FECの小波津正光さんは「僕らがやっているコントがうけるということは、米軍基地の問題が何一つ進展していないということ。これだけどんどん毎年新ネタができることは、それだけ今も色々な問題が起きている現実は何も変わらないということ。芸人としてはいつまでも(劇が)続けば良いと思っているんです。でもうちなーんちゅとしては早くできなくなることを願っている」とコメントしました。

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一方、学内では他にも東京大学など県外の大学生とアメリカの大学生でつくる日米学生会議のメンバーが、安全保障などについて議論する「沖縄フォーラム」を開催しました。

学生会議のメンバーは、普天間基地の移設先として予定されている辺野古を訪れ、反対運動を続ける「命を守る会」から辺野古移設へ至った経緯を聞き、また普天間第二小学校では校長から授業中の騒音の話を聞いて、基地と隣り合わせの市街地の状況を見学しました。

フォーラムでは、日米学生会議のメンバー以外にも当日参加した県内の学生たちも混じって、基地問題について意見を交わしました。

県内の学生から「辺野古の問題や7年前にこの大学にヘリが墜落した事件とかあって、普通じゃなくて異常な状態。普天間基地があるのも嫌なんですけど、怖いし。だからといって、基地反対とか言うのも、あんまり声を大にして言えない。自分の友達の親も基地で働いてる人いるし、もし基地がなくなったら、その友達の生活も成り立たなくなる」と意見が出ると、アメリカの学生から「きのうキャンプフォスターで話を聞いた。彼らは、沖縄にとって基地は存在意義のあるものだと言っていた。基地はほんとに社会にとって、相互依存しあえる仲になれると思いますか?」と質問が出ました。それに対し「でもそれはアメリカの視点から。さっき言ったように、問題が絶えないのは事実。レイプとかひき逃げとか。ここでの信頼関係を築かないことには、その相互に尊重することは不可能なことだと思う」と活発に意見を交わしていました。

ヘリ墜落事故から7年がたち、事故の記憶が薄れつつあるなか開かれた二つのイベント。沖縄の基地問題を若い世代へ伝えることと若い世代が自分たちで考えることの大切さを感じました。