※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

民主党の政権公約をうけて6月28日から始まった沖縄自動車道無料化の社会実験。実験開始から3ヶ月、変化を見せる県内の道路事情について取材しました。

10-09-29repo-001.jpg

「料金は0円です」全国37路線50区間での高速道路無料化の社会実験,物流コストを下げ税収を上げる政策となるのか?単なる税金の無駄遣いか? 様々な賛否が飛び交う中,沖縄自動車道も6月28日〜来年3月末まで全線無料になった沖縄自動車道でもその影響が出ています。

西原・北中城・沖縄南・沖縄北・許田の出入り口は朝夕の渋滞が激しくなった。9月16日沖縄北 女性「困ってます」沖縄北 女性「時間をお金で前は買っていたので、この状態で、急いでいるときは1時間前に出なきゃいけなくなっているので」

西原−北中城 去年8月/51400台,今年8月/81700台。8月の交通量は去年より増加。特に西原と北中城インターの間は1日平均8万台以上。去年ほとんどなかった渋滞は71件発生しています。

10-09-29repo-002.jpg

3連休最終日、最高速度80キロの沖縄道のスピードメーターはこの日60キロ以下長い車列ができていましたが、高速では40キロ以下を渋滞と感知するため混雑していると感じる回数は統計以上により多くなっているかもしれません。

そして翌日の朝は高速に入る一般道路が大渋滞です。9月21日一般道 男性「きょうは約30分手前の信号から並んでます、ぼくらはいつも高速を利用していたんですが、時間が読めなくなったことが1番の問題です」

県警喜屋武さん「顕著な変化は各インターチェンジに接続する一般道路において交通量が集中しています」県警が調べた主要国道の交通量は高速と平行する区間で一部減少が見られますがインターの出入り口付近では逆に増加に転じています。

減少−国道58号北谷町〜那覇市まで平均8%減など。増加−国道58号名護市許田19%増、国道330号浦添市広栄18%増。

10-09-29repo-003.jpg

高速を常に利用する業種はどのように感じているのでしょうか?沖東交通富川さん「無料化はデメリットです」絶対に遅れることができない空港までの客が乗車する際は今まで以上に気を使うことが多くなった語るタクシードライバーの富川さん。

沖東交通富川さん「(高速で)どういうことが起こるかわからんと、予測できないと、一般道路を通ってある程度時間をとっていったほうがいいよということで走ったことも何回かあります」

10-09-29repo-004.jpg

一方北部にある観光バス会社。那覇で業務を終了した場合は高速に乗って30分ほど早めに会社に戻ることができるようになりましたが…

北部観光バス宮城さん「朝高速インター降りるときに」「大体前倒しで1時間早く車庫から早く出さないといけないとうデメリットが」

結局朝から那覇へ迎えにでるバスは渋滞を考え1時間早く配車しなければならなくなりました。ただ無料化を批判する声ばかりではありません。

伊芸PA観光客「それ(高速料金)が無い分いいですよね、その分こういうところ(PA)で(お金を)落としていこうと思いますよね」「普段使わなかったのが週3回くらいは」「1時間以上は変わると思います」

伊芸PA-女性「とっても助かっています」「信号とか結構あるのでそういうのにかからないでスムーズに仕事ができる」伊芸PA-男性「心に余裕ができた」

通勤時以外の利用者や沖縄北インターから北側では便利になったという人もいます。しかし無料化は新たなトラブルも招いています。それは事故の増加です。

県警山内さん「物損事故は146件発生しておりこの数字は前年同期と比較しますと73件増の2倍となっています」

10-09-29repo-005.jpg

事故の要因は少しの注意を払えば防げるものばかりだといいます。高速道路に乗りなれていない人の運転マナーについては各運輸会社からも指摘がありました。

ヤマト運輸古謝さん「追い越し車線を低速走行で走って後ろに行列を作っているという状況なので、車間距離も短くなってどこかで急ブレーキを踏めば事故が起こってしまう」

沖東交通富川さん「高速道路入るときの合流車線、これの使い方を知らない人が多い」

交通量が多くなっているため、1度事故が起きるとこれまで以上に渋滞が伸び事故処理も遅れます。無料化となって最も長い事故渋滞は11キロに達し過去5年で最長となりました。

10-09-29repo-006.jpg

ヤマト古謝さん「怖いですね」「お金にかえられない部分がありますから、ある程度対価を払っても別の方面で安心を得たいというのはありますから」

無料化イコールメリットばかりとはどうやら言えないようです。高速道路を有意義に活用するためにはそれぞれの運転マナーや地域にあった道路行政のあり方を検証する必要がありそうです。

これまで高速を利用していなかった人にとっては無料で便利になったという声も聞こえてきましたが、本来の物流コストを下げるという狙いについては空輸に大きなコストがかかる沖縄にとってそれほど大きな助けとはなっていないようなんです。

道路の混雑が読めなくなって逆に不便になったという声もあって実験後の検証がどのように行われるのか注意して見ていかなければなりません。