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原告の全面勝訴。澤地久枝さんは「一点の曇りもないない判決」と評しました。

沖縄返還に関する日米の密約文書の開示を求める訴訟の判決が9日、東京地裁で開かれ、裁判所は密約の存在を認定した上で、開示を命じ国民の知る権利をないがしろにしていると外務省の対応を批判しました。

この裁判は、沖縄返還に際し、本来アメリカ側が負担すべき沖縄の旧軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本政府が肩代わりすることを示した文書など3件について、開示を求めたものです。

原告は外務省が文書の存在を認めず、文書開示請求を拒否し続けるのは違法だとして、当時、密約をスクープした元・毎日新聞記者の西山太吉さんら25人が訴えていました。

9日の判決で東京地裁の杉原則彦裁判長は、密約の存在を認定した上で、開示を命じ「国民の知る権利をないがしろにする外務省の対応は不誠実で、文書非開示は違法」と批判し、さらに「請求を退けられた原告らの失意、落胆は想像に難くない」として、原告25人全員にそれぞれ10万円の国家賠償を認めました。

一方、外務省の有識者委員会でもすでに認められた密約の存在ですが文書の開示について、岡田外務大臣はとまどいを見せています。岡田大臣は「今、外務省にはそういうものはないということは調査の結果明らかでありまして、そのことに対して、それ以外の答えはないということは申し上げておきたいと思います」と話しました。

そして原告の西山太吉さんは会見で「情報革命だと思う。同時に、日米同盟のあり方についても問題を投げかけたし、日米同盟が虚構で、表面でもって説明されて、実態が伏せられている。つい10ヶ月、7ヶ月、8ヶ月前までの状態は、外務省の局長まで、国会において、全然密約なんかございません、沖縄返還協定が全てでございます、それ以外ございませんときっぱり言っていました」と話しました。