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シリーズ2010名護市長選挙。去年の政権交代によって全国的にもクローズアップされ、日米間の大きな懸案にもなっている普天間基地の移設問題。立候補を表明している現職・新人の2人は鳩山政権が見直しを進めている辺野古への移設計画についてどのようなスタンスを取り、市の方針についてどんなメッセージを発しているのか?岸本記者の報告です。

島袋名護市長「マスコミの中で誘致しているんじゃないかという声に対してはっきり誘致じゃありませんと」「ベストはやっぱり県外だということですので政府の方針を早めに示してほしいと」

稲嶺進候補「辺野古大浦湾の美しい海に新たな基地は作らせません。そして名護市に基地はいらないという信念を最後まで貫く。」

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10日後に迫った名護市長選は、現職の島袋市長と市の元教育長の稲嶺さんの一騎討ちとなる見込みです。

政策の目玉に辺野古への基地移設反対を掲げる稲嶺さんに対し島袋市長は、公約の一番最後で基地問題への対応を説明。その取り上げ方には大きな違いがあります。

4年前の市長選。基地建設に反対する革新系の候補が分裂する中、政府と柔軟に交渉する姿勢を示し、初当選を果たした島袋市長。そのわずか3ヶ月後。島袋市長は辺野古へのV字型滑走路の建設計画に政府と基本合意。これまで滑走路の沖合移動を求め、仲井真知事とともに条件付き、移設容認の姿勢を貫いてきました。しかし

仲井真知事「やはり名護市長選挙は極めて重要で、辺野古というものも、もし辺野古反対の候補が当選したら、移設は難しくなると思う」

政権交代によって、大きく変化した風。

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島袋名護市長「県外といってもどこになるのかということをきちんと決めてほしい。県外とか国外とか言いっ放しはいけないと思う。」

島袋市長は、情勢の変化を受け辺野古への移設容認の主張を抑えていますが、市長の後援会長を長年務める市の商工会の荻堂会長は、市長を推す業界や団体を代表する形で、本音を洩らします。

名護市商工会 荻堂盛秀会長「私は、鳩山総理が名護市にお願いするだろうという形で落ち着いたとするならば、私は早めに名護市にお願いしたいということを申し上げるべきだと思います」

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比嘉鉄也元名護市長「なぜ、普天間を論争にしないか・・。」「総理大臣は5月までにきちっとやりますので今回の選挙はそれだけに集中して論議する必要はない」

基地問題の論争を避け、現職の強みを生かして、これまでの実績をアピールする戦略の島袋陣営。

島袋市長「4年間で1000人の雇用を達成した。さらにこれから4年で1500人の雇用を達成したいと思っている」「私はしっかりやりますので、私に任せてください!みなさん!」

一方、現職に挑む陣営は分裂選挙の失敗を繰り返さないため、共産党と半年以上の交渉の末、候補者の一本化に成功。

立候補を辞退した比嘉靖さん「比嘉鉄也元市長・岸本建男市長、現職の島袋市長の推進した新基地建設をしようという企みと容認の路線は市政を大変混乱させたし、疲弊させた」「違いを大事にしながらみんなの公をしっかり見つめたい」

候補者統一の陰には4年前の選挙で島袋さんに敗れた我喜屋さんの存在がありました。

我喜屋宗弘さん「日本国でいう歴史を振り返った時に、薩長連合の名護版をここできちんと実現するため、合同候補者を話し合いでしぼるべきだと」

自らを薩長連合の立役者・坂本竜馬になぞらえ、明治維新のような世がわりを名護市で起こすと意気込む我喜屋さん

「名護市賀詞交換会 今月4日」先週、名護市で開かれた新年会には、両陣営の参謀も勢揃いし決戦を前に、直接、2人も顔を合せました。両候補者が握手。稲嶺さん「もうやがて(選挙)ですね、頑張りましょう。」

「最初の大きなテーマとして普天間の問題と市政刷新」26人の市議のうち、過半数の14人の支持を受け6つの政党から推薦をもらう稲嶺さん。

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島袋市長「私はずっと申し上げているように、雇用の創出ですね」「基地問題は、政府の結論を待ちたい」今回は自民・公明の推薦も受けずに政党色を排除し、経済政策を中心に訴えて、2期目を狙う島袋市長。

平野官房長官「いわゆるゼロベースで見ていくわけですので」鳩山総理「当然、アメリカ側からすれば今の現行案がベストだと思っているのだろうが、」「しかし、沖縄県民のことを考えながら、我々としては検討委員会で議論を始めているところだから」

政府は現在、普天間の移設先について、白紙の状態から再検討を進めていますが、市長選の結果に注目が集まることは間違いなく、名護市民には、市長選の範囲を超えた大きなプレッシャーがのしかかっています。

今回の選挙、お互いが自分の土俵で相撲を取ろうとしている感じで、この基地問題についても、何か議論が噛み合わない印象を受けますね確かに普天間の移設先は、政府が決める責任を負うわけで、人口6万の名護市のリーダーを決める市長選で、国の安全保障政策を議論するというのは酷だと思います。

でも、国が決めたことによって、最も大きな影響を被るのは、名護市のような小さな市や町の住民であることは間違いありません。政府は市民に責任を押し付けないで、できるだけ早めに国としての結論を出してほしいと思います。

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