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韓国ドラマを契機に始まった韓流ブーム。このお陰でアジアの国々と日本の距離がぐっと近くなったと感じた方も多いと思います。こうしたなか、沖縄からアジアを視野に入れた、あるビジネスの拠点にしようと取り組んでいる企業を取材しました。先月、うるま市で県内では初めてとなる字幕制作者の養成講座が始まりました。受講者はみな、中国語が堪能な人たちです。

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受講者「台湾ドラマをきっかけに中国語が好きになって、大学で中国語を専攻して(受講者)台湾で留学して2年くらい働いていました」

企画したのは、日本のコミックをもとに、台湾でドラマを制作し、日本で配給しているコミックリズです。代表作の「流星花園」は日本の人気コミック「花より男子」を台湾でリメイクしたもの。アジア13カ国で放送されると、イケメンの4人組「F4」が大ブレイクし、一つの社会現象を巻き起こしました。

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コミックリズ・仲尾さん「やっぱり女の子が好きな世界観が、日本のマンガにはあって・・・。少女マンガの花より男子が台湾で制作されたのが2000年なんですけど、そのときにアジア中に日本の漫画の面白さが伝わった感じで」

コミックリズは現在、東京と沖縄の事務所で業務を行っています。ここでは11人のスタッフが勤務。パソコンの字幕制作専用ソフトを使って作業をしています。

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Q・今どういう作業をされているんですか?「今、あるバラエティ番組の字幕をつけています。台湾の番組なんですけど原文を直訳しますと、『続いてのコーナーはゲストの方の秘密に迫っていきましょう、チャンネルはこのままで』となっているんですが、字幕制限がありますので、次のコーナーはビックというのがゲストなんですけど、彼の秘密に迫りますということで、ちょっと縮めて。」「中国語の表現をそのまま出すと、日本人にとってはわかりづらい表現については日本人がわかり易い表現にするといったところに注意したり」

コミックリズが字幕制作の拠点として沖縄に目をつけたのには2つの理由がありました。1つはインターネット回線が十分整備されていること。そして昔から海外との交流が盛んだったため、外国語を得意とする人材が多いということでした。沖縄事務所を開設して、まだ3年ですが、着実な手ごたえを感じているといいます。

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コミックリズ・仲尾さん「中国語に限らず、韓国語や、英語もそうなんですが、これまであまり生かす場がなかった。でも、人材としてはいるというところに、コミックリズは着目して。自社作品以外も手がけているんですね。高い評価を得ておりまして、県内でも十分、字幕制作が成り立つということを感じていて。」

そこで次なるステップとして、スタートさせたのが字幕制作者の養成。9月には、映画翻訳の第一人者・戸田奈津子さんの講演会を開きました。それには当初予定していた350人の定員に対し、倍以上の800人から応募が。沖縄の人たちの関心の高さを裏付けました。

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戸田奈津子さん「字幕というのは東京だけの限られた業界で、東京以外では成り立たないと思い込んでいたの。でも、そういう発想があって、そういうことがありうるんだということがわかって、非常に意外だったし、驚きました。これが良い方向にエネルギーになってくれればと思いますね。」

このプロジェクトは雇用の創出につながるものとして国や県の補助事業になっています。いまは、字幕制作の仕事の流れを理解したり、専用ソフトの使い方に慣れたりという段階ですが、いつかは憧れの仕事に就きたいと受講者たちは夢を膨らませています。

受講者「ここで勉強して、生活をここでできれば、もし、仕事につなげられるんであれば、沖縄の人にとってもとても良いチャンスだと思います。」受講者「映画とか、ドラマの面で字幕制作の仕事をすることで気軽に交流、国同士の交流が楽しくできたらと思って、そういうのに携わりたいと思っています。」

インターネット配信の広がりやDVDの普及などで海外の映像コンテンツが増える中、字幕制作のニーズも高まっていて、沖縄で始まった新たな挑戦が注目されています。

コミックリズでは中国語だけでなく、英語や、韓国語の講座を開いています。講座は来年2月までで、終了後は、字幕制作の企業への就職支援をしたり、何人かは自社で採用する方針だということです。こうしたプロジェクトが沖縄とアジアの架け橋になるとともに低迷する沖縄経済を元気づけるものになってくれればと思います。以上Qリポートでした。