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Qリポートです。沖縄独特の景観のひとつに、立派に枝を張る琉球松があります。その琉球松が松くい虫の被害にあって枯れてしまっている様に心を痛める方も多いと思いますが、現在切り倒された被害木は焼却処分されるのが殆どです。そんな中、どうにかそれをうまく再生出来ないかとの想いから生まれた商品が話題になっています。

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祭温松の焼かれている様子「これはですね。祭温松ですね。こんな風に松くいが入ってもったいないですね。」

焼却処分されているのは、松くい虫の被害にあった琉球松。今から300年近く前に琉球王朝の三司官蔡温が植えた松で、直径80センチ、高さ18メートルにも及んでいたといいます。北部森林組合の作業員で、25年に渡り、松くい虫の駆除事業に関わってきた大城さんは、松枯れにあった被害木を見るにつけ心が痛むと話します。

大城さん「僕らは今帰仁なんですよ。遊び親しんだ木が枯れるというのは本当に可愛そうでもあるし・・・」

沖縄県の木にも指定されている琉球松。松並木は沖縄独特の景観のひとつとなっていますが・・・ 昭和48年に沖縄に松くい虫が入ってからというもの琉球松に甚大な被害がでました。そもそも、松枯れとは、海外から入ってきたマツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリを媒介として琉球松に入り、増殖した結果松を枯らしてしまうというもの。平成15年には松くい虫の被害はピークを迎え、民有林で4万4000立方メートルにも及びました。その後、県を挙げた駆除事業を展開し、被害量は減少傾向にありますが、根絶には及ばない状況です。

あしとみさん「全ての被害木を駆除することが極めて困難ということで、守れる松林、守るべき松林ということで、今絞り込んで駆除しているところなんですよ。」

こうして切り倒された被害木は。。。松くい虫の被害の拡大を抑えるため、薬剤を散布して、くん蒸処理をするか、焼却するかのいずれかで、処分されていく運命です。そんな中・・・

与儀さん「うちなんちゅであれば、あの木を見たときに何とかしたい。松くい虫の被害にあわないのが一番いいんだけれども、あったものはね、何とかそれを・・・」

三菱鉛筆の沖縄販売所に勤める与儀さんは、高速道路で北へ向かう中、赤く枯れた松を見る度、せめてその被害木を活用させられないものかと考えました。

与儀さん「ウイスキー樽なんですけれども、樹齢100年の木を50年間使ったあとにリサイクルして作ったペンがありまして、この技術と印鑑を圧密をかけて作るという技術を本社の方で持っていた訳ですから、これを琉球松で何とか再生することは出来ないかと思いまして。。。」

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商品の開発を行うのは本社、地方の販売所から企画を打ち出すのは異例のことでしたが、これが採用されたのです。しかし、そこには木材確保の壁がありました。処分されるしかない被害木とは言っても、国や県の予算で駆除した松を譲り受けることは出来ません。そんな中、独自に、被害木を伐倒し、木材の有効利用を行っている県森林組合連合会の協力を得られることになったのです。

北川さん「熱風の乾燥で80度までは設定出来ます。松くい虫は全部死にます。」

特製の機械で乾燥させ、松くい虫を駆除した上で、被害木を活用しているのです。実際に、被害木は、くい材や支柱材、家具としても生まれ変わっています。沖縄三菱では、ここで木材の調達から、製材まで行った上で、切り取ったブロック材を、今度は島根の工場にある、特殊な圧密機械で加工処理し、ペンとして再生させることに成功したのです。

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与儀さんの発想から生まれたこの企画、琉球松をスタートに、ご当地ペンシリーズとして36都道府県で展開されています。その中で被害木を利用したのは沖縄だけですが、全国トップクラスの売り上げとなっています。現在、被害木を活用した更なる商品の開発も検討中です。

与儀さん「これから先、沖縄県の方でこういった別の部分の商品化が出来るようなものがね、見つけていければいいのかなと思いますし、それについては、また協力はいろいろしていきたいなとは思っていますね。」

松くい虫の根絶が図れれば、一番いいわけですが、それが難しい現状においては、被害木をどう活用できるか、そのシステム作りを県としても図れるといいですよね。年間何万本も焼却され、CO2が排出されることを考えると、被害木を商品として再生させるのは環境への配慮にもなりますからね。以上Qリポートでした。