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感動のうちに幕を閉じた宮古島トライアスロン大会。今年も宮古島が一つになって、挑戦する人、応援する人の様々な姿がありました。

その中で、ある高校教師が自分の挑戦する姿を通し生徒に何かを伝えたいと、過酷なレースに初挑戦する姿に密着しました。

スイム3キロ、自転車(バイク)155キロ、ラン42.195キロ!総距離、実に200,195キロの過酷な競技!それゆえに「鉄人レース」とも呼ばれる宮古島トライアスロン大会が昨日行われ、1398人が出場しました。

この中に今年初めて大会に出場する男性がいました。知念元喜さん。那覇工業高校の先生です。バドミントン部の顧問をつとめる知念先生は、熱血先生として知られています。

バドミントン部部員「めっちゃ熱いですね、楽しいですよ」

大会3日前。知念先生は教え子に、大会に出る思いを語りました。知念先生の出場のきっかけは、以前務めていた養護学校での生徒との出会いでした。養護学校でのエピソードを通し、体が不自由でありながらも、生きることの意味や大切さをかみ締めている子どもたちの姿を熱く伝える知念先生。生徒達もいつしか聞き入っていました

知念先生「先生が工業高校に来て感じるもの。お前達は諦めが早すぎる。はっきり言います、先生怖いです。本当に怖い。でもね、挑戦した後の僕は、きっと頑張った者にしか分からない何かを得るんだよな。それを得るために頑張る、先生は頑張る!」

午前3時に起き、5時過ぎに受付をすませた知念先生。これから始まる過酷なレースを前に、鼓動が高まります。そして、いよいよ・・・。

1時間10分はかかるだろうと話していたスイムでしたが、波も穏やかだったせいか、予定より早く、チームトップでランへと移ります。

バイクで時間を稼いでマラソンを楽にしたい、その思いからか、1周目はかなりのハイペース。ところが、これがランで裏目に出ます。

スタートから5時間46分あまりでバイクから最後の種目、フルマラソンに移った知念先生。

ところが、この時すでに腰や足は疲労の極限まできていました。それでも先生を動かしたものは、生徒との約束でした。何度も立ち止まりながら、それでもまた走り出す。沿道の声援も先生を勇気付けました。

ランの中間地点を折り返し、後残り半分。レーススタートから12時間以上が経過していました。

残りはわずか、それでもとてつもなく遠い距離に思えてくる。体も限界。心にも何度もあきらめる思いが襲い掛かってきます。

知念先生「(足が)つるかもしれない。大きく。だから今のうちに少しでも前にと思っているけど、全然前に進まない。痙攣だけはしないでくれ・・・。あんなに練習したんだのに。よし頑張ろう!」

午後7時前。暗闇の中、知念先生がゴールに帰ってきます。

12時間42分58秒、919位という成績でテープを切った知念先生。生徒との約束を果たしたその目には、熱い涙が溢れていました。

知念先生「日頃、生徒に僕が言っている言葉“絶対にあきらめるな”とか“最後まであきらめるな”であったり、“最後まで粘り強くいこう”というのを自分自身に言いながら最後まで頑張りました」

知念先生、明日は学校に出るということで、教室がどんな反応をしてくれるのか楽しみです。頑張った背中はしっかり生徒に見せることが出来ました。