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空手、その発祥は16世紀ごろ、琉球古来の武術「ティー」と、中国拳法が融和したものが士族階級に広まったとされています。その愛好者は今や世界中に4000万人とも言われ、沖縄にも400以上の道場がひしめいています。

10年前に沖縄で行われた世界大会の様子。世界50カ国から1700人の空手家が集まり、空手発祥の地沖縄を印象付けました。

しかし、空手の本場沖縄も近年は課題を抱えています。

子どもたち「(みんな、空手やってる友達はたくさん学校にいますか?空手やってない子はなにやってるの?)フットサル部とか」

空手界の重鎮も、子どもたちの空手離れを心配しています。

沖縄空手・古武道連盟・島勇夫会長「スポーツの種類が多くないときは、空手人口は多かった」

他の様々なスポーツが部活動に取り入れられたことや、進学を契機に空手から離れる子どもたちが多くなっているのが現状です。

島会長「例えばこちらの子どもたちでも、少年野球に入る、少年サッカーに入る。すると自然とそこのほうに行ってしまって」

高校総体の県予選では、20年前はおよそ30校が団体戦に出場しましたが、今では12校と半数以下。空手の次世代を担う若い空手家の育成は急務です。

また、世界の空手界への指導力不足も問われています。26年前、沖縄の空手界は地元開催の国体への参加をめぐって、スポーツ空手推進派と伝統重視派が分裂。その後、主要団体は4つにまで増え、各団体独自に海外への空手指導を行ってきました。

全沖縄空手道連盟・池宮城政明理事長「私の場合はオーストラリア、アメリカ、若いときには中南米も行った。海外で非常に普及して発展してる」

その上、経済力や理念の違いから、全ての団体が海外の空手家を指導してきたわけではなく、本場の空手を学びたいと沖縄を訪れる人への対応も各団体でまちまちでした。

島会長「今のところは海外に出かけて指導するということはあるが、海外から受け入れたことは今のところない」

こうして沖縄が分裂している26年の間に世界の空手は急速に発展し、競技空手が普及。護身術としての伝統の空手と、競技空手は別ものという考え方が空手界の常識となりました。

伝統継承の危機と国際的な求心力の低下。4団体は今、団結してこの現状を乗り越えようと、再統一へ向けて動き出しました。

池宮城理事長「沖縄空手を世界に発信していくためには、統一した組織、窓口が必要」

雪解けを象徴するように、今年4月には、団体の垣根を越えて有志が石碑を建立。対立を終わらせ、空手を文化として育もうという願いが込められました。統一によって空手王国沖縄の復活を目指します。その第一歩は…。

沖縄空手道連合会・浜川謙理事長「世界大会を定期的にしてほしいというのが、沖縄の空手界の共通した願い」

そして、伝統空手の教育現場への導入も目指します。空手の高い精神性を教育に活かし、継承者育成にもつなげたい考えです。

浜川理事長「伝統空手というものが、これは沖縄にとっては本当に宝物だと我々は信じています。世界に向けて強力に発信できる。(統一は)すばらしい歴史の扉が開かれるということなんです」

石碑に刻まれたのは「空手に先手なし」という言葉。空手界にとって、護身術という原点を象徴する言葉ですが、伝統空手の継承・発展のために、空手界は先手を打ち、挑戦を始めています。