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最近の選挙では、有権者に分かりやすい単純なキャッチフレーズや候補者の良いイメージ作りが選挙戦の中で特に重視される傾向にあります。

その一方で、与野党は2003年から、それぞれの党の公約を選挙前に有権者に示すマニフェスト型の選挙を取り入れていますが、このマニフェスト、一般の有権者にどの程度浸透しているのかは未知数です。

2007年真夏の決戦、2回目のきょうは、西銘・糸数の両陣営がこのイメージ作りとマニフェストをどう選挙戦略に組み込んでいるのか?また、有権者は変わりつつある選挙戦をどのような目で見つめているのかをお伝えします。岸本記者です。

『自立への一議席を獲得するため!』

『平和への議席を県民の皆さんと勝ち取りたい!』

29日の投票日に向け、シンプルなキャッチフレーズで有権者への印象付けを狙う両候補。

『台所から政治を変える』。4月に行われた補欠選挙で島尻さんは、ほぼこのキャッチフレーズだけで女性候補としての新鮮なイメージ作りに成功しました。

西銘候補「僕も自分の選挙のつもりで戦いましたから、かなり手応えが良かったですし、勢いづく形になっていくとは思う」

候補者の親しみやすいイメージを打ち出し、県知事選からの与党3連勝を狙う西銘さん。

糸数選対・平良長政事務局長「3連敗を喫する訳にはいかないと」

一方、糸数さんは前回の知事選挙の時からよりソフトな髪型に変え、ポスターやのぼりも好印象が与えられるよう力を入れています。

平良事務局長「イメージ的には『けいこ』が数段優れていると思います。相手候補よりですね。『けいこ』のこのイメージで売り出して、ポスターだけではなく、旗もそういうイメージで作って全県的に展開しているところであります」

大臣の問題発言や自殺、そして経費の架空計上疑惑などで与党を執拗に攻撃する野党。一方、与党は民主党の農業政策をこう批判します。

『聞こえはいいけど、全く実現できない矛盾だらけなのが民主党の政策なんだ』『良く分かったわ。気をつけよう。甘い言葉と民主党ね』

イメージを優先した選挙戦略や相手陣営を攻撃するネガティブキャンペーン。こうした流れは、旋風やフィーバーも巻き起こした、この自民党総裁の誕生の頃から急激に強まったと、琉球大学の島袋教授は指摘します。

琉球大学・島袋教授「2年前の衆議院選挙ですね、総選挙。あれ以来、政治を単純化していくこと、それからイメージを売ること、それが選挙にとって大きなプラスなんだということが、どうも小泉政権の郵政選挙の時に出てきまして。一方でマニフェストということで、詳細な政策判断を提示するようなことがありながら、一方でワンフレーズとか、イメージ選挙とか漫画にするとか、わかりやすさの政治ということが両方の流れがある。特に今回はお互いの政党同士のマニフェストを比べられる状況にない」

実際、西銘・糸数両候補のマニフェスト・政権公約はどこまで有権者に浸透しているのか?また、はっきりとした政策論争があまりないことに不満を示す有権者もいました。

有権者「何を反対、何を反対。攻撃ばっかしでお互いの話し合いというのが全然無いでしょ」「実際はそうではいけないと思いますけどね。年金だけでは今回に関しては」

全く生産性の無い批判合戦。

自民党・石原伸晃幹事長代理「野党の候補が当選しましても、沖縄の振興には全く役には立ちません。やれることは必ずやりましょう。是非最後までお力を貸してください。頑張りましょう」

民主党・喜納昌吉県連代表「自公を壊す選挙にしなくちゃいけません。そうしてこのような60年間の独裁政治を終わらせなくちゃいけない思いです。どこの世界に60年間も政権をやっている所がありますか?みなさん」

パフォーマンスが優先される選挙戦では、有権者にはその候補者を見抜くしっかりとした眼が必要です。

岸本記者です。マニフェスト、あまり浸透していないようですね。

岸本記者「西銘さんも糸数さんも、こうしたマニフェストを出しているんですが、中を開けてみると、文字がびっしりでなかなか読む気が起こらない。そうなると、候補者が与党か野党か、また、どんな喋り方する人かといういうようなイメージで投票してしまうというところがあると思います」

でも、そのイメージ戦略に乗せられてはいけないと。

岸本記者「その通りです。流されないで、しっかりと自分で判断すること。これが大事ですね。最近の選挙は、一度強い流れが出来るとザァーとその方向に流れてしまうところがあって、選挙の一般的な法則が当てはまらないところがあります」

岸本記者「非常に興味深いデータがあるので、こちらを見ていただきたいんですが、2004年の参院選、このときの投票率は54パーセントと、この中でも非常に低かったんです。普通、投票率が低い時は、与党の組織票や公明票が効いてきますから、与党が有利と言われているんですが、この時は野党の糸数さんが9万票の差をつけてまさに圧勝したんですね。非常に強い流れが出来たと。でも去年の知事選挙。ご覧のように投票率は64パーセントと高かったんですね。こういう時は無党派層も投票に行っていますから、野党の票が伸びる傾向にあるんですが、結果は4万票の差をつけて仲井真さんが勝ったと。この時はおよそ10万人が期日前投票に行って、そのうち7万人が仲井真さんに入れていたんですね。与党がそれだけ気合を入れて選挙戦に臨んだともいえますが、この4万票の差は野党が流れを全く作れなかった結果ともいえると思います」

では今回、流れはどっちにあるんですか?

岸本記者「与党に逆風が吹いているということは間違いありませんが、野党の追い風もいつ止まるか分かりません。どっちも大きな流れや風をつかめないでいるので、選挙はかなりもつれて接戦になると思います」