※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

ここ数年、那覇市内を中心に、宴会場などを持たず、宿泊料金も安い、宿泊特化型ホテルと呼ばれるホテルの進出が急増しています。宿泊客の争奪戦はまさに激戦の様相を呈していて、各ホテルはあの手この手で集客を図っています。実近記者です。

北原部長「高い枕がいいとか、低い枕がいい、あるいは柔らかい枕がいいとか。あるいは、私は少し固めのほうがいいとか、いろんなお客さんおられますので、そこで、自分に合った枕を使っていただいて、ぐっすりお休みくださいと」

今月、名護市にオープンした全国チェーンのスーパーホテル。県内での展開は5店舗目で、最大の特徴は朝食付きで5千円を切った宿泊料金。

スーパーホテル・北原秀造取締役部長「とにもかくにも、いろんなサービスをするということは全然考えていません。ただぐっすり眠れるということに関しては徹底的にこだわって、うちの特徴として出していきたいと」

この海洋深層水を配合した大浴場も、ぐっすり眠れるためのサービスの一つ。この他、ホテルには高さや素材が異なる5種類の枕や、ワイドなベッドに低反発のマットが敷かれたぐっすりルームが用意されています。

北原部長「冷蔵庫も、静音冷蔵庫という音の静かな冷蔵庫を選んでいます」

一方でコストの削減は徹底しています。宿泊客はチェックインの際に、自動チェックイン機で清算。部屋は暗証番号方式で、チェックアウトの必要もありません。

北原部長「例えばライティングデスクのこの下、引き出しがない。通常のホテルですと引き出しがあります。ところが、あの引き出しは掃除する場合、邪魔なんです。手間ひまかかりますね。それから、中に何が入っているかというと、聖書か仏教経典なんです。それは誰も読まない。じゃあもうやめようよと」

携帯電話の普及を受け、部屋には電話も置いてありません。

北原部長「ベッドですね、低いんですよ。通常ですと足があって、中空間がありますよね。床からちょっと上がってます。足の分だけね。」

実はベッドの足を取るだけで、ベッド下のスペースのカーペット代を節約でき、掃除の手間も省けるほか、部屋を広く見せることに成功しているというのです。ホテルには、可愛らしいアメニティーが無料提供されるレディースルームや、ロフト付きで3人まで泊まれるスーパールームも用意されています。

スーパーホテル・山本梁介会長「安全で、清潔で、ぐっすり休めなければ、お客様に即刻不満があれば、宿泊代をお返しする」

県内では今、こうした宿泊特化型ホテルが急増しています。

りゅうぎん総合研究所・比嘉上席研究員「レストランとか会議室、宴会場を持たない、機能を宿泊に特化したホテルですね」

97年に県内に初進出して以降、4,5年前から急増し、現在およそ40ホテル。

比嘉研究員「部屋をシングル、画一的に作ることができるものですから、建設コストが抑えられる。そして、レストランとか宴会場を持ちませんので、少ないスタッフで運営できますから、運営コストも下がると」

また、旅行会社を通さず、インターネットなどで予約を受け付けるため、集客コストも安く、ビジネス客を狙った都市部だけでなく、観光地への進出も目立つようになってきたのです。

比嘉研究員「(観光の形態も)団体旅行から、個人旅行だとか、少人数の旅行が増えてきた」

観光客「石垣の離島のほうでは民宿に泊まってて、那覇ではビジネスホテル」「安いところです。(ビジネスホテルとかですか?)あーそうです」「(ホテルって、どうやって、選ばれていますか?)広さですね」「ウォシュレット」「寝れればいいです」「泊まれればいいっていうか、寝れればいいって感じですね」

一方で、宿泊特化型ホテルの急増は、県内のホテル客室数をこれまでにない勢いで膨らませています。

比嘉研究員「あまりにも急激に増えすぎたということで、特に都市部、那覇を中心にホテル業界の競争の激化を招いてしまっています。ホテル以外の例えば、ウィークリーマンションなど、ほかの施設との競争も起こっていて、ホテル業界自体が競争が激しくなっている」 

来週には、業界大手のアパホテルが那覇市に沖縄一号店をオープンさせます。客室数は361室で、宿泊特化型としては県内最大。ゆったりとした大浴場もあり、全国150万人の会員の集客を狙います。また、業界に参入した県内企業もあります。落ち着いた雰囲気の豪華なロビー、そして部屋には最新のマッサージチェア。この設備で一泊、6500円(朝食付き)から。那覇市内に4店舗展開していて、ハイグレードなサービスで差別化を図っています。

山本会長「ビジネス2割に観光8割かなと、考えておりますので、いろいろと試行錯誤しながらこれがうまくいけば、もう1,2店舗、沖縄で展開させたいと」

今後も強気の宿泊特化型ホテル。県内では今後数年の間に、大規模リゾートホテルも建設ラッシュも迎えます。

比嘉研究員「国内客に関しては、リピーターが7割を超えている。国内客の伸びというのは、今ちょっと頭打ちの状況です」

過熱する宿泊客の争奪戦。価格を抑えて、どこまでのサービスが提供できるのか?その戦いは今まさに正念場を迎えています。

乱立の影響で既存のホテルだけでなく、宿泊特化型ホテル自身も、最近、客室稼働率は低下してきているということです。今後も県内のホテルは増えていきますので、様々なアイデア、そして低コスト競争は続くと見られます。