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去年の在日アメリカ軍再編最終報告の後、アメリカ軍は沖縄の基地機能の強化を進めていて、中国や北朝鮮に対してアメリカ軍のプレゼンス(存在)を見せつけようという意図さえ感じられます。

そして、その軍事強化の動きを日米安保体制の維持のためと後押しさえしている日本政府。日本は唯一の同盟国アメリカとどこへ向かおうとしているのか?嘉手納基地の傍に住む女性の思いと共にお伝えします。

嘉手納町に住む宮城政子さん(74)。夫の転勤で那覇から移り住んだ宮城さんはこれまで50年、文字通り基地と向き合って暮らしてきました。

宮城政子さん「こちらが修理場で、あちらはエンジン調整する所。最近は(格納庫が)開かないんだよ」

このベランダからの眺めが去年10月に激変しました。朝起きると異様なミサイルの姿が並んでいたのです。迎撃ミサイル『パトリオット』です。

パトリオット部隊司令官「このエキサイティングな任務を沖縄で遂行することを誇りに思う」

外務省沖縄事務所・倉光副所長「県民のみなさんが仮に(ミサイル配備に)我慢できないとおっしゃったとしても、私どもは日本の平和と安全を守るためにやらないといけないことはやる」

パトリオットミサイルは今後、日米同盟の重要な『盾』の役割を果たすことになると強調する両政府。

宮城政子さん「(Q:ミサイルが家の方を向いているというのは?)それは大変ですよ。これがどこかに引っ越していけばねと思うけど」

琉球大学の我部教授は、パトリオットは嘉手納基地にある戦闘機など攻撃用の『矛』を守るためのものだと分析します。

琉球大・我部政明教授「なぜここに防衛的な兵器が導入されるのかというと、攻撃的な兵器を持ってるから。これが対になっている。軍隊というのはそういうものだ」

ブッシュ政権が推し進めるイラク戦争への兵力増加に反対する決議がアメリカ下院で採択され、国内でさえ方向性を失いつつあるアメリカ軍。

地元の反発を無視したこのような振る舞いは、これまでのように『良き隣人』をうたう余裕がなくなり、軍隊としての本質がむき出しになってきた表れです。

そして今月17日、アメリカ国外では初めて嘉手納基地に暫定配備されたF-22ステルス戦闘機。

F-22運用責任者「F-22の配備は嘉手納基地の空軍にとっても沖縄の人たちにとっても大きなメリットとなる。今後の訓練で、いろいろなことを学ぶ貴重な機会になっていると私たちは考えている」

一週間配備が遅れた理由について、アメリカ軍は天候不良や機器の不具合と説明していましたが、配備の目的が北の核開発をけん制するためでもあることから、延期は六カ国協議での北朝鮮の顔色を伺っていたとも思われます。

そして六カ国協議を終えて飛来してきたF-22。

最新鋭の『盾』のパトリオットを追うように『矛』も最新鋭に。これは軍備増強以外の何ものでもありません。

琉球大・我部政明教授「このことが(外国から見ると)戦争の準備として見えるかもしれない。自分たちが守りを固めてから攻撃に転じようとしているように見えるのではないか。そうすると、どちらも望んでいない戦争に突き進んでしまう可能性がある」

宮城さんは加速するアメリカ軍の軍事強化の動きを肌で感じながらも、どうにもできない無力感を感じています。

宮城政子さん「次から次へとねぇ。うちなんかはもう年取ってるから・・今の子どもたちが大変。私なんかが(反対)しても、大きい人たち(政治家など)が出ないとどうにもできないんじゃない?」

住民の願いが無視される異常な事態はいつまで続くのか?宮城さんが望むのは、騒音や最新兵器の影におびえないただ普通の暮らしです。

このF-22の配備は当初、3ヶ月から4ヶ月の一時的なものと説明していましたが、今になって、アメリカ軍が国外で行う訓練のローテーションにF-22が含まれていることがわかり、今後、嘉手納基地で定期的に訓練が行われる可能性が出てきてます。

安心して暮らせる生活を保証するのは政府の最低限の責任ですから、日本政府にはアメリカの政策にただ追従するだけではなく、しっかりと自分の国の国民を守る視点を持ってもらいたいと思います。