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今月、沖縄市の交差点で車同士が衝突して、一人が死亡する事故がありました。現場の交差点は、信号機がなく、なんとこの5年間で20件もの人身事故が起きていたことが分かりました。なぜ、こんなに事故が多いのか、現場を検証してみると様々な問題が見えてきました。実近記者のリポートです。

住民男性「あーもう、すごい危ないですよ」住民外国人「That is extreme dangerous」

今月7日に事故が起きたのは、沖縄市越久の交差点。交差点に進入した軽自動車の側面に別の方向から進入してきたワンボックスカーが衝突したものでした。

実近記者「事故は、あちらの旧道から交差点に進入した軽自動車に、こちらから走ってきたワンボックスカーが衝突するというものでした」

軽自動車に乗っていた2人のうち、助手席の男性は重傷、ドライバーの59歳の男性は車両の下敷きになり、まもなく死亡しました。

住民男性「何回か事故はありますね」住民外国人「半年で6,7件は起きているんじゃないかな」

県警に照会したところ、なんと、この交差点では、人が何らかのけがを負った、人身事故だけでも去年までの5年間で19件も発生していたことが分かりました。なぜこれほど事故が多いのでしょうか。現場は市道が交差する、信号機のない交差点。

実近記者「一台ずつ、左右を確認しながら、ゆっくりと交差点に進入しています。危ない。えー止まらないで横切っていく車もあります。」

近くには学校もあり、交通量は少なくありません。上空から見ると事故は、旧道路から交差点に進入してきた軽自動車に、新しく出来た道路である安慶田・美里線を走ってきたワンボックスカーが衝突したもの。特に旧道路からは、多くの車が猛スピードで交差点に進入していきます。現場をよく見ると、その理由が見えてきます。

実近記者「この交差点はこちらの旧道路と、こちら側を走る新しく出来た道路が交差する交差点なんですが、こちらの新しい道路のほうが街路樹もありますし、歩道も整備されていて、一見優先道路に見えます。しかし、交差点の入り口にはこうして、一時停止の標識があり、こちらの車は一時停止しなくてはいけません。それに対して旧道はどうなっているかと言いますと、ご覧のように、一時停止を呼びかける標識はありません。つまりこの交差点では、狭いこちらの旧道が優先道路になっているんです」

実は、この安慶田美里線は、7年前に新しく開通したもので、その際、昔からあった旧道が優先道路となり、新しい道に、一時停止が義務付けられたのです。しかし、一見して、新しい道路が優先道路と思ってしまうドライバーも少なくないと言います。

住人男性「この道は大きいでしょう、だれでも、あっちよりはこっちが優先と勘違いするんですよね。だれでもこちらは優先と思いますからね。初めての方はそう思います」

実は去年、今帰仁村でも同じような交差点で事故が起きていました。

実近記者「ここが事故が起きた交差点です。ここは、新しく開通した県道とあちらの村道が交差しているんですが、実はあちらの狭い村道のほうが優先道路となっているんです」

この事故では開通して間もない県道から交差点に進入したマイクロバスに村道から来たダンプカーが衝突し、バスの乗客ら20人が怪我をしました。

県警「新しい道路が出来たというだけで、突然優先が変わることはないと思います」

県警によりますと、沖縄市や今帰仁村のケースでは、旧道路のほうが、昔から生活道路として定着していたため例え幅員が狭くても、優先道路になったということなのです。取材を進めると、さらに新たな問題点も見えてきました。

住人男性「一時ストップが見えにくいさね」

優先道路ではない側の道には、確かに一時停止を呼びかける看板が見えますが…

実近記者「一時停止すべき道路から交差点に進入しているんですが、ごらんのように一時停止の標識は全く見えません直前でやっと見える程度です。」

肝心の道路標識は、どちらの方向からも、完全に街路樹に隠れてしまっています。

自治会「もう行政側にも、信号機の設置は強く要請はしているんですけど」

交差点を管轄する沖縄署は、実は去年、県警本部に対し、問題の交差点への、信号機の設置を求める上申を行っていました。しかしー

県警「警察署からの上申は374基あります。1年間に設置できる信号機の数は25基ですね」

374箇所の上申数は過去最高。県内では今、これだけの信号機が、新たに必要とされているのです。

県警「道路整備に追いつかない、全ての要望に答えるのは困難なのが現実的な問題」

信号機1箇所の設置費用は、およそ400万円。県警は、上申があった交差点を危険性などの観点でランク付けし、順次、設置しているとしています。今帰仁村の交差点では、事故の後も、結局、信号機は設置されず、全ての方向から進入する車に、一時停止を義務付けるという、県内初の、苦肉の策で、その後の事故を防いでいます。

私たちの取材に対し、今回の事故で亡くなった男性の遺族は、「事故を繰り返さないためにも、信号機を設置してほしい」とコメントしています。

問題の交差点について、県警では今後、現地調査を行って危険性を調べるということです。本当に今、埋め立てや新たな開発で、新しい道路はどんどん出来ています。安全のためにも、十分な予算の確保をしてもらい信号機をいち早くつけてほしいと思います。