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戦後の混乱や貧困で義務教育を受けられなかったお年寄りが学ぶ那覇市内の民間の夜間中学に対して、沖縄県教育長は戦後補償の特例として、進学を希望する生徒に中学校卒業認定に相当する措置を講じることになりました。

珊瑚舎スコーレ夜間中学職員・遠藤知子さん「うれしいです。彼女たちの思いが一歩前進した、というか近づいた。」

那覇市内にある珊瑚舎スコーレ夜間中学では、現在44人のお年寄りが義務教育に必要な科目を学んでいます。しかし国が認める夜間中学ではないため、卒業認定されないことから、一昨年には1万6000人余りの署名と共に、卒業認定を求めた請願を県に提出。沖縄県議会では戦後補償の一環として取り組まなければならない問題として、全会一致で可決された経緯があります。

こうしたことから検討を進めてきた沖縄県教育庁は、この程、県内の通信制や定時制に進学を希望する生徒に限って、中学校卒業認定に相当する措置を講じることを決めました。

珊瑚舎に通う3年生でこの春卒業を予定する生徒は8人。その内、何時間もかけてバスを乗り継いで通い続けた女性や、79歳の高齢の女性など計5人が泊高校の夜間部への進学を希望しています。

今日昼過ぎに珊瑚舎の職員が、この5人の入学試験の願書を泊高校に提出しました。

遠藤知子さん「進学希望者に受験の道が開かれたということですから、素直に喜んで、関係者の方に感謝したいと思っています。ただ、そうじゃない生徒もいるし、日本全国どこへ行っても『私は中学を卒業しましたよ』って胸を張って言える正式な卒業認定ではない」

今回の特例措置は沖縄県教育庁が、生徒が住む市町村の教育委員会と協議を進めてきたものです。中学校卒業に相当する認定としているものの、法的根拠のある卒業資格ではない為、進学できる高校が限られていたり、国家試験の受験資格がないなど、多くの課題を残しているのも現状です。

珊瑚舎スコーレ夜間中学・星野人史校長「義務教育としての(学校を)卒業していない。卒業資格も持っていないという負い目がずっとあり、戦後60年を生きてきた。まだまだこれからだと思う」

珊瑚舎スコーレでは、今後も引き続き正式な卒業認定を求めていくことにしています。