沖縄で今を懸命に生きる人々にスポットを当てる「イマジンおきなわ」です。
ことし4月から5月にマレーシアの児童養護施設で暮らす高校生4人を沖縄に招くためのクラウドファンディングが実施されました。メインに動いたのは県内の高校生たち。彼らの奮闘と、マレーシアの高校生たちとの国境を越えた交流のもようを取材しました。
愛されるために生まれてきた子どもたち。国境を越えた交流と、それを実現させた支援者たちの愛に満ちた空間が、そこには広がっていました。

5月末。那覇空港の国際線到着口に集まっていたのは「マタハリ沖縄」のメンバーたち。「マタハリ」はマレーシア語で「太陽」、沖縄の歌「安里屋ユンタ」にある「また会いましょう」という言葉と似ていることから名付けられました。リーダーの松山文(まつやま・あや)さんが海外協力隊でマレーシアに赴任していた縁で、マレーシアの児童養護施設と、南城市の児童養護施設「島添の丘」この三者で定期的に交流を行っています。
マレーシアの施設で暮らす高校生4人を沖縄に呼ぶために4月から5月にかけてクラウドファンディングを行いました。中心となったのは高校1年生のこまちさんとここみさん。目標額130万円を大きく上回る180万円の支援が集まって、マレーシアの友人たちが沖縄に来ることが叶ったのです。高校生たちは美ら海水族館や平和祈念公園などを訪れ、夜はBBQや餅つき、交流会を行って沖縄滞在を楽しみました。
4日目。クラウドファンディング支援へのお礼であり今回の滞在のメインイベントともいえる「交流コンサート」が南城市で開催されました。獅子舞の演舞から始まったステージは、歌や踊りのパフォーマンスのほか、クラウドファンディングへの感謝と活動報告、トークなど盛りだくさんで繰り広げられてゆきました。

Kiroroの玉城千春さんもマタハリ沖縄のメンバーです。子どもたちが通う学校が同じだった松山さんと玉城さんはママ友。クラウドファンディングの中心メンバー心海(ここみ)さんは松山さんの、こまちさんは玉城さんの娘です。これまで何度もマレーシアの施設を訪れていた松山さん。ある晩、ジャングルの中で青年ボランティアたちが歌っていたのが「未来へ」だったと話します。
高校生たちの保護者でマレーシアの施設の責任者、安部さん。
安部さん「未来へという歌はマレーシアでは有名で、この曲を知らない人はいない(結婚式で歌われる、マレーシア人は大好きで)村には国籍のない子どもたちとか学校に行けない子どもたちたくさんいる、そんな子どもたちがみんな歌っているんですね」
そんな大好きなこの曲を、本人と一緒に演奏するためにアルバートさんは全く弾けなかったピアノを3カ月、猛特訓して公演に臨みました。
ここみさん「コンサートで応援してくれた人の顔を見て、こんなに応援してくれて私たちの活動に共感してくれている人がいるんだなって実感できました」
こまちさん「マレーシアの子どもたちとか、旅行とか普通に行ける環境ではないので、文化交流をして世界って広くて、みんな心が優しくて素敵なんだよという事を伝えたくて」

松山文さん「最初は自分たちも経験したい、子どもたちのために自分たちも行動したいという形で始まったんですよどんどんみんなが自ら行動するというふうに変わっていって、今回は一番下の子たちが中心でプロジェクトを進めた」
キロロ 玉城千春さん「パワーがありますね、若いパワーがエナジーが」
若い力と行動力によって「日本を訪れるなんて想像もつかない」と話していたマレーシアの男の子たちを沖縄に招いたのです。
糸満市の男の子「マレーシアのこともいろいろわかったし沖縄の曲もいろいろ聞けて楽しかったです」
うるま市の母娘「娘:コンサートの途中から涙が止まらなくて、関係者の思いとかマレーシアから来た子の思いとかがコンサート全部に詰まっていて、とても感動しました」「母:すべては愛で満ち溢れるということがもう、とても、ね」
南城市在住男性(民生委員会長)「マレーシアの子どもたちが「生まれて良かった」という曲を聞いた時はジーンときました」

マレーシア人留学生たち「トム:今日ここに僕たちを応援してくれる人たちがたくさん来た、その人たち一人ひとりにありがとうと言いたい」「エンドリー:多くの人が来て、彼らが幸せそうに僕たちの音を聞いてくれて、その姿を見てうれしかった」「エルヴィン:この経験を通して僕は口下手でしゃべれない人間だけど、これからは勇気をもって人とコミュニケーションとっていきたいなと思いました」「アルバート:自分たちがステージに出てやるのはとても緊張して怖かったけど今日はそれを乗り越えて自分なりにできた」
こまちさん「いろんな人がいろいろな事を学んでくれたんじゃないかなって思っています」
ここみさん「毎年々どっちかが行く、みたいな関係になればいいなって」
松山文さん「私たちが影響受けてるね、子どもたちから」
玉城千春さん「フワフワまた飛んでいくんですよ(子どもたちの思い)それがね!どんどん綿毛のようにまたブワーってね(笑)」
国境を越えて音楽と心で固く結ばれた子どもたちの友情。手を握り、一緒に歩んでゆくことでしょう。未来へ。

留学生たちの暮らす施設「CFF(Caring for the Future Foundation)」は誰もが希望を持てる未来のために、東南アジア3ヶ国と日本で活動している認定NPO法人。マレーシアのほかにフィリピン、ミャンマーで児童養護施設を運営しています。