※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

EVをご存知ですか?電気自動車のことなんですが、まだ街中で見かけることは少ないですよね。このEVがレンタカーとして、年末県内に一挙に200台以上導入されるそうなんです。そこにはどのようなビジネスチャンスがあるのでしょうか?

多くの観光客が訪れるレンタカーショップ。去年から2台のEVを導入しています。

観光客20代女性「地球に優しいんだったら乗ってみたいですね。」「どういうふうに動くのかまだわからないです」観光客40代男性「静かなのはいいですね。でも、走ってる感覚がなかったりすると、少し不安な気がします。」「乗れるものなら、乗ってみたいなとは思います。」

興味はあるものの、EVがどのようなものか知らない人が多いようです。

OTSレンタカー 坂野英光さん「電気自動車ですので、マフラーは付いてないです」

10-09-22-repo001.jpg

外観からも、排気ガスを出さないことがわかりますもちろん臭いもありません。記者「それではこれからEVを運転します。フル充電で出発です!」「今エンジンかかった?」エンジンの音が全くしない静かな走り出し。加速しても、ほとんど振動を感じません。記者「ビュンビュンと風を切る音がよく聞こえます」

静かな雰囲気の中、沖縄の美しい景色を満喫することができました。海岸や山道など、自然の中を走る時にEVの良さを最も感じられるのかもしれません。個人的にも、つい欲しくなってしまいます。

ところが、このタイプの定価はおよそ400万円と高額。また、フル充電時の走行可能距離はガソリン車のおよそ5分の1。充電器の設置場所もまだ限られています。『8時間充電しての走行可能距離は約120キロ』 一般に普及するには、まだ高いハードルがあるようです。

10-09-22-repo002.jpg

しかし、まだ珍しいこのEVを呼び水にして、ビジネスにしようという動きが始まっています。県内のレンタカー業界は、年末にEVの新車種を200台以上導入する予定です。県レンタカー協会では、EVをビジネスにするためには、まず、台数を増やし、充電インフラを整備することが必要と考えています。

県レンタカー協会 白石武博会長「いろんな問題があっても、勇気をもって入れるというのが僕らの最大の役割。馬(EV)が走らないと、駅舎(インフラ)は動かない」白石会長は、沖縄を訪れる観光客の高いレンタカー利用率もEVの普及を後押しすると見ています。

『年間600万人の観光客の半数以上がレンタカーを利用』

ことし3月に誕生した(株)AEC。EVの充電インフラを整備するビジネスに乗り出しました。那覇商工会議所のプロジェクトとして、県内外の26の企業が出資。

AECの松本さん。意外にも、EVの走行距離の短さにこそビジネスチャンスがあると話します。

10-09-22-repo003.jpg

(株)AEC 松本宗久さん「日本本土の中で走るにはまだ短すぎる。なかなか普及しない。ただ、沖縄であれば、島国ですので、他府県に動く必要性がないので、何カ所か必要最小限の投資でインフラを整えれば、電気自動車が普及するんじゃないか」

県内各地に充電器を設置し、観光客やレンタカー事業者からの利用料で利益を確保しようというのです。将来的には、地元の一般客や他事業者にも広げていく,EVの台数が増え利用が増えるほど、AECの収益は大きくなる。

さらに、旅行代理店の協力も不可欠と松本さんは話します。松本さん「環境型商品を(作って)、本土のほうからお客さんをつけていただく」その旅行代理店も、EVの集客力に大きな期待を寄せています。

HIS 国内旅行事業本部 村松知木さん「旅行先に行って、そこをクリーンにきれいに保つっていうのを、お客様が意識するのはこれからもっと強くなってくると思う。その時にEVは必要。」

EVを導入するレンタカー事業者、充電インフラを整備するAEC。そこに、観光客を呼ぶ旅行代理店。この3者の連携で、EVレンタカービジネスがスタートします。

EVをとりまく動きはこれだけでは終わりません。EVに使われるリチウム電池をどのように社会に役立てるかを研究している東京大学の宮田秀明教授。沖縄経済界の要請で、沖縄でのEV普及プロジェクトに参加しています。宮田教授は、リチウム電池にはさらなる可能性があると話します。

東京大学 工学部 宮田秀明教授「例えば、ある地域に太陽電池と風力発電を組合わせて、化石エネルギー(石油や石炭など)からの電気は一切使わない、1種の地産地消型エネルギー社会を作ることだってできるんですね。」

10-09-22-repo004.jpg

EVに載っている電池を、住宅やオフィスなどに設置すると、太陽光発電や風力発電で得た電気を貯めて、いつでも使えるようにできるというのです。

そこに、環境に優しい社会が実現すると同時に、電池に関連する新しいビジネスが生まれ、沖縄の経済振興につながると宮田教授は話します。(制御システムの構築や電池の流通、リース、保険、設置工事など)

宮田教授は、このプロジェクトをアメリカ・オバマ大統領の提唱する政策にちなんで、「沖縄グリーンニューディール」と呼んでいます。(アメリカグリーンニューディール/環境・エネルギービジネスで景気回復を目指す政策)

宮田教授「成功したモデルを作って、中国だとかインドとかアフリカに輸出する。ひとつの目標として考えながらやっている。」EVをきっかけに最終的には、Made in Okinawaの環境ビジネスモデルを世界へ。このプロジェクトには、そんな大きな期待が込められています。

10-09-22-repo005.jpg

環境ビジネスで経済振興を目指す動きは、もう世界中で競争が始まっているといいます。国や自治体の主導で、EVの導入実験が始まっている地域は全国にいくつかあるということなんですが、沖縄では、補助金だけに頼らず、民間のビジネスとして利益を出すことを前提に産業化に取り組んでいるんです。

産業が少ないに沖縄にとっては期待がふくらみますね。