有機フッ素化合物・PFASの汚染問題に関して県議会で作成中の意見書案を自民党県連が沖縄防衛局と文言調整していた件で、小泉防衛大臣は7日の会見で「検閲には当たらない」と述べました。
意見書案は北谷浄水場でPFAS浄化で使っている活性炭の交換費用について国の補助対象とならないことから、県議会が各会派の全会一致で可決しようと調整を行っていました。
この中で、自民党県連が文案を提出先のひとつの沖縄防衛局に事前に送付し、文言の調整をしたことが明らかになっています。
小泉防衛大臣は「本件は憲法にいう検閲には当たらないというふうに考えております」と述べました。
小泉大臣は7日午前、国会内の会見で「憲法が定める検閲の禁止に反するのでは」と記者から問われ、こう述べました。
小泉大臣は意見書案について「自民党県連側から共有を受けたもので沖縄防衛局から共有を求めたものではない」と強調しています。
記者解説/PFAS意見書の文言調整問題/議会の役割とは
ここからは塚崎記者です。今回の県議会意見書の文言調整ですが、どういったところが議論になっているんでしょうか。
塚崎記者「はい、今回の件は、県議会の与野党間で調整中だった意見書の案について、自民党県連が沖縄防衛局に送付し、防衛局側が文言の一部を修正したものです」
どのように修正が行われたのか具体的に見ていきましょう。タイトルの部分で「対策費用」という文言が削られています。また、本文中でも活性炭の交換費用について「県が支出することになれば県民の負担になる」という部分も削られてますね。
塚崎記者「また、要請項目の部分で国側に求めるものが『高機能活性炭の取り換え交換・処分費用』という部分が『県民の安心・安全な飲み水の確保』という表現になっています」
「一方、防衛局側が関与を認めているのは、現時点ではこの『政府全体で必要な支援を行うこと。国が支援すること』の部分で『同様の趣旨が併記されたままになってたので、取り消し線の追記を行ったものを参考までに送った』としています」
いま、与野党それぞれどのような立場をとっているのでしょうか。
塚崎記者「はい、自民党側は正当化している一方で、県政与党側は反発しています。おととい、それぞれ会見を開いていますので、一部をご覧いただきます」
野党 沖縄自民党・無所属の会・大浜一郎県議「アピールをただ決議するということでなく、実際に決議をもって物事が動いていくようなテーブルに上げることを目指そうと」
野党 沖縄自民党・無所属の会・座波一県議「要請事項においては文言の間違いがあってもいけないし」「要請内容が見当違いかもしれない、チェックはしますよ、当然」
与党 てぃーだ平和ネット・山内末子県議「県民に寄り添った意見書を策定しようというさなかでの、こういう事態について、議会の権能が揺らいでいくのではと懸念がある」
与党 おきなわ新風・仲宗根悟県議「要請先ですから、自分たちの責任を薄めるような内容が疑うことなく来る」
それぞれ主張が対立していますね。改めて、今回の問題、どう見るべきなのでしょうか。
塚崎記者「はい、議員と防衛局も含めて行政とのやり取り自体は、行政の持つ情報を明らかにし、問題解決を前に進めるという意味では、むしろ必要なことです」
「しかし、自民党側は会見の中で、こうしたやりとりについて『必ず事前のチェックはやっている』としていました。議会での全会一致を目指してきたのも、県民の総意という側面を強調するためです。それに向けた議論はあくまで議員同士で行うべきで、第三者、ましてや要請先にお伺いを立てるような行為は、趣旨に反するといわざるを得ません」
「今回の一件を機に、議会の役割とは何か、行政とはどのように向き合うべきか、議論を深めなければならないと思います」
県議会はこれまで、基地問題を巡って様々な意見書を国に出してきました。県民の要望を関係機関に届け、問題解決につなげるという意見書の意味を、改めて考えなければなりません。ここまで塚崎記者でした。
