琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします」
水曜日にお届けしている特別編「慶良間三島めぐり」3回目のきょうのテーマは「ケラマジカ」です。
湊 和雄さん「慶良間3島スペシャル。3回目の今週は国指定天然記念物ケラマジカの登場です。今回紹介している阿嘉島、慶留間島、外地島の他、屋嘉比島の4島で見られます。しかし、古く琉球列島に生息していた鹿の生き残りではなく、琉球王府時代に薩摩から連れてこられたものなのです」
知られざるケラマジマの実態に迫る!? VTRご覧ください!
湊 和雄さん「阿嘉島には、このような林道もあります。島の生物に接するのに格好の環境です」
大自然ですね~!
湊 和雄さん「そこを走行していると、ときどき遭遇するのがケラマジカ。ニホンジカの6つの亜種の中で最も小型なことが知られています。完全な草食動物で、ひたすら草を食べる姿が見られます」
こちらに気にせずモリモリ食べてますね!
湊 和雄さん「これは立派な角があるので雄ですね。このケラマジカの背中にはリュウキュウハシブトガラスが乗っていますね。恐らく寄生虫を食べに来ているのでしょう。ときどき見かける光景です。そこにもう1頭出て来ました。こちらのほうが大きいですが、雌です。元々いたほうはやや小型ですが、短い角が見えるので雄ですね」
湊 和雄さん「ケラマジカが見られるのは内陸ばかりではありません。海岸にもよく出て来ます。人がいてもほとんど気にしません。撮影している私にもシカのほうから近づいて来ます。元々は夜行性で、夜になると森から海岸に出て来ていたそうです。今では昼夜関係なく活動しています。取材に行った7月中旬はとても暑く、日中はこのように木陰で休む姿も見られました。
ちょっと微笑ましい光景ですね~
湊 和雄さん「このケラマジカは盛んにアダンの葉を食べていました」
刺だらけなのにお構いなしですね!
湊 和雄さん「民家の近くで車も往来するのに全く気にする気配はありません。かつては、作物や樹木の食害が多く、有人島ではほとんど駆除されてしまった時代もあったそうです。時々、人も近くを往来するのに全く気にしませんね。近くにネコがいても、互いに警戒する様子もありません。完全に人間生活の中に同化しています」
湊 和雄さん「7月でしたが、子ジカも何頭か目撃しました。順調に繁殖が進んでいるようですね。子ジカは海岸でも元気に活動していました。一時期は駆除されたケラマジカですが、1955年には琉球政府指定天然記念物、本土復帰の1972年には国指定天然記念物になり次第に大切にされるようになったそうです。このように集団で活動する光景も見られます。1970年代の調査では4つの島で60頭前後、1990年代には230頭前後が確認されています」
湊 和雄さん「薩摩藩から移入され400年前後(詳細な記録なし)。しかし、DNAを解析すると薩摩藩のキュウシュウジカとの違いはほとんどないそうです。一方、生物学的に北より南に行くに連れて小型化する法則に適合するなど亜種らしい特徴も生じています」
湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました。リュウキュウの自然特別編、慶良間三島めぐり最終回は来週水曜日の放送ですが!その前に今週金曜日には通常の「リュウキュウの自然」もありますのでそちらも是非ご覧ください。以上、リュウキュウの自然でした。
