ここからは「早わかりビズ」りゅうぎん総研の研究員に県経済の動きを解説してもらいます。担当は中地紀咲(なかち・きさき)さんです。よろしくお願いします。
中地紀咲さん「よろしくお願いします」
今回のテーマはこちらです「ジャパンウィンターリーグ開催による経済効果」昨年に続く調査ですが、どんな結果になりましたか?
中地紀咲さん「はい、今回も昨年11月から12月にかけて開催された野球大会を分析しました。その結果、前年の経済効果を上回り地域経済にも着実に波及効果をもたらしていることが分かりました」
今年は沖縄尚学が夏の甲子園で全国制覇、9月には「U-18ワールドカップ」が県内で初めて開催されるなど、沖縄の「野球熱」が年々高まっていますよね。
中地紀咲さん「そうですね、そのように野球に親しむ環境が築かれている中で、冬の沖縄で新たな野球イベントとして生まれたのが『ジャパンウィンターリーグ』です。プロを目指す若手選手の挑戦の場としてだけでなく、地域を巻き込んだスポーツイベントとしても注目されています」
冬でも野球ができる温暖な気候を生かした新しい取り組みなんですね。
中地紀咲さん「はい、沖縄では2月のプロ野球キャンプが閑散期の観光需要を下支えしていますが、ジャパンウィンターリーグは『冬にプロレベルの試合を楽しめる場所』であり、さらなる観光客を呼び込むコンテンツとして期待されています」
改めて「ジャパンウィンターリーグ」について教えてください。
中地紀咲さん「ジャパンウィンターリーグは2つのリーグがあり、プロを目指す『トライアウトリーグ』と、現役選手のスキルアップを目的とした『アドバンスリーグ』で構成されています」
「2024年大会は参加選手が139名に増え、海外選手が半数を超えました。スカウトも日本や海外のプロ球団を含む多数の球団が訪れ、トライアウト参加選手の3割にあたる26名が契約を獲得しています」
県外や海外の注目もどんどん高まっているんですね。
中地紀咲さん「そうですね、昨年の大会では参加したスタッフがプロ球団にスカウトされました。このように選手だけでなく野球に関わる人材のマッチングの場としても機能しています。また、観客数も3,005人と前年の約1.5倍となりました。DAZNでの配信も行われ、沖縄発のリーグとして全国・海外に広がっています」
では、その経済効果を具体的に見ていきましょう。
中地紀咲さん「はい、選手や関係者・観客などの支出をもとに試算した直接支出額は4億1,600万円。その内訳は宿泊費が1億6,100万円、飲食費7,900万円、みやげ品購入5,400万円、交通費4,900万円などとなっています」
なるほど。こうしてみると宿泊の比率が高いですね。
中地紀咲さん「そうです、選手や関係者が1か月近く滞在するので、ホテルや飲食店の売り上げを押し上げています。さらにこれらの支出が他の産業に波及して生まれた効果を加えると、経済効果の総額は5億8,300万円、昨年よりも約3,700万円増えています」
冬の沖縄でこれだけの経済効果があるのは大きいですね。
中地紀咲さん「そうですね、観光閑散期の需要を支える取り組みとして『スポーツツーリズム』の好事例と言えます。来月から第4回大会が始まりますが、新しい動きがあるそうですね?」
中地紀咲さん「はい『ジャパンウィンターリーグ2025』では、新たにプロ野球から東京ヤクルトスワローズと千葉ロッテマリーンズの選手派遣が公表されました。さらに、実況者の発掘をテーマとするDAZNのリアリティ番組『THE ANNOUNCER』の舞台にもなり、一般ファンにも広がる仕かけが準備されています」
「将来的には『ベースボールEXPO構想』として野球を軸に展示会や就職フェア・交流イベントを組み合わせた新しい冬の大型コンテンツを目指しています」
野球だけでなく、地域全体を巻き込んだ「冬のイベント」になりそうですね。
中地紀咲さん「そうですね、野球をきっかけに地域がつながり産業が動く、沖縄ならではの『スポーツアイランド』の形が少しずつ見えてきていると思います。一方でリーグがさらに成長するためには、県内での認知度を高めることや地域との連携を一層深めることが課題です。今年も親子で楽しめるイベントなどが開催されます。地元企業と協力しながら規模を拡大させることで、冬の風物詩として定着していくことが期待されます」
冬でも沖縄の熱気が感じられるこの大会は、若手選手の挑戦の場でもあり、地域経済を動かす新しい力にもなっていますね。きょうはりゅうぎん総研の中地紀咲(なかち・きさき)さんに解説してもらいました。ありがとうございました。
中地紀咲さん「ありがとうございました」
以上、ビジネスキャッチーでした。
