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はじめはこのコーナーでも何度かお伝えしている事業承継についてです。那覇市で糀を原料とした甘酒や調味料などの発酵食品を製造している企業が経営者の高齢化に伴い事業を引き継ぐことになりました。

事業を引き渡す仲宗根糀家代表取締役仲宗根悦子さん「私が望むことは仲宗根糀家がずっとずっと続いていけば良い。それで沖縄が元気になれば」

身体に必要な栄養素を効率よく吸収出来ると注目を集めている「酵素」。その酵素を多く含む糀を使った発酵食品を自社工場で製造販売している仲宗根糀家の代表仲宗根悦子さんは高齢を理由に3年前から後継者を探していました。

そこで手を挙げたのが現在はこの会社で商品企画や営業を担っている山川剛司さんです。山川さんは「自分の仲宗根糀家の商品に惚れ込んで好きになった事が(承継の)スタートになっていますので、仲宗根糀家の商品に対する愛は社長と同じくらい負けないくらいあると思っている」と意気込みます。

コンサルティング会社に務め、仲宗根糀家の経営支援をしていた山川さんがこの会社へ転職。事業引継ぎの為に県事業承継・引継ぎ支援センターの仲介を受け今月無事に成約式を終えました。

仲介を務めた沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者佐藤英彦さんは「沖縄小規模事業者にとってはこういうケースが増えれば事業を廃業することなく続けていく事ができるのではないか」と話していました。

来年1月には新商品の発売が控えているということで、支援センターの佐藤さんは「世代が交代すると商品が変わるなど新たな展開も期待できる」と事業承継の効果を強調しました。

県内では経営者の高齢化によって廃業せざるを得ない企業が多く社会課題にもなっています。

この県内の事業承継の現状と課題について沖縄大学で経営学が専門の豊川明佳副学長からコメントを頂きました。

事業承継は全国的な問題ですが特に沖縄は地域性や経済構造から他の地域とは異なる課題があるということです。こちらにまとめました。沖縄では家族経営や小規模事業者が多く、収益や将来性が不透明な事から後継者が経営に魅力を感じにくく事業の継続が困難なケースが増えているということ。

また経営者にも「家業は親から子へ引き継ぐもの」という意識が根強く、そのために第三者へ移行出来ずに廃業を余儀なくされるケースも少なくないそうです。

それに加え、進学や就職を機に県外に移住した後継者が地元に戻らず、後継者確保が出来ない事も要因となっているようです。

こうした課題を解決するために行政も含めM&Aなど第三者へ引継ぎが出来る支援の強化が求められ、地域ぐるみの計画的な取り組みが必要だと豊川副学長はコメントしています。