名護市辺野古の新基地建設で、政府は11月28日午後3時ごろ、大浦湾側に土砂を投入する作業に着手しました。
こちらは28日午後3時すぎの名護市辺野古上空の映像です。大型ダンプが護岸で囲われた埋め立て区域に、土砂を投入していく様子が確認できます。
政府は2018年12月から、辺野古沖を土砂で埋め立てる作業を始めました。去年の末から大浦湾側で地盤を固める工事を始めていて、今回、初めて大浦湾側に土砂を投入したことになります。
一方、埋め立て工事自体の進捗度合いは2026年3月までの見通しで、約17%にとどまるとされ、大浦湾側の埋め立てには長期間を要する見通しです。
木原官房長官「現時点で事業全体に遅れは生じていないとの報告を防衛省から受けている」
木原官房長官は28日午後4時ごろの会見で、大浦湾側の埋め立て工事着手を明らかにした上で「基地負担軽減に全力で取り組む」と強調しました。
玉城知事「工事の長期化が懸念され、ひいては埋め立て工事全体を完成させることが困難な状況が明らかにある」
玉城知事は28日午前の会見でこのように述べたほか、土砂投入後にもコメントを出し「貴重な自然環境を有する大浦湾を埋め立てることは、性急に過ぎる」と強調しました。
記者解説/辺野古土砂投入/名護市長選目前のタイミングの意味とは
ここからは塚崎記者です。きょう、新たな段階に入った辺野古新基地の工事ですが、きょうの工事は改めてどのようなものなのでしょうか。
塚崎記者「はい、今回はこれまで土砂投入が行われていた辺野古沖とは逆側、大浦湾側で土砂投入が始まったものです。辺野古側への土砂投入は、2018年12月に始まり、防衛省はこちら側の埋め立て工事は終了したとしています」
これまでも行われてきた辺野古新基地の埋め立てなんですが、いまどのくらい進んでいるんでしょうか。
塚崎記者「はい、こうして上空からの画像で見ると確かに、進んでいる感もあります。一方で、これまで埋め立てが進んできた辺野古沖は、比較的水深の浅い海域です。これまで埋め立てに着手していなかった大浦湾は水深が深いため、土砂の量としては全体のおよそ8割以上を占めます」「なので土砂の使用量としては、来年3月末までの見込みで、全体の17・5%にとどまることになります」
来年1月には名護市長選も予定されていますね。現時点では現職の渡具知武豊市長と翁長久美子市議が立候補を表明していて、辺野古新基地の問題が改めて注目を集めそうです。
今回の工事開始も踏まえて、辺野古新基地の問題は、どうとらえるべきなのでしょうか。
塚崎記者「辺野古新基地は普天間基地の移設に伴って行われてきました。計画が浮上したのは、1996年の当時の橋本総理とアメリカのモンデール大使が普天間基地の返還に合意して以降ですので、来年で30年が経つことになります」
「普天間基地の移設先とされた名護市民は、基地問題の民意を様々な形で問われ続け、政府がその民意を都合のいい時だけ利用するという構図が続いてきました。今回の大浦湾側の作業開始は、工事の大幅な進展を意味するものではありませんが、名護市長選を前に名護市民の基地建設への『あきらめ感』を狙っているものだとの分析もあります」
「移設先とされる名護市での選挙や民意をどうとらえるべきなのか、県内だけでなく、日本全体で考えるべきことではないでしょうか」
今週末に、沖縄基地負担軽減担当大臣を兼ねる、木原官房長官が来県し玉城知事らとの面談も調整しているとみられます。
沖縄の声に政府がどう向き合うのか、引き続き注目していきたいと思います。
ここまでは塚崎記者でした。
