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全国的に急激に増加している「詐欺被害」SNSで儲け話を持ち掛ける「SNS型投資詐欺」と合わせて増えているのが、警察官を騙る「オレオレ詐欺」です。今回QABでは、県内でおよそ4600万円の被害にあった女性にインタビュー。詐欺の巧妙な手口を取材しました。

豊見城市で会社経営をしているAさん(30代)。4月から今月にかけて、警察官などを騙り金をだまし取られる詐欺被害に遭いました。女性の被害額はおよそ4600万円。ことの発端は突然かかってきた一本の電話でした。

「あなたが契約している携帯電話から何億もの人に迷惑メールが送られ、被害届が出ているため2時間以内に使用できなくなります」

4600万円詐欺被害に遭った女性 その手口は

通信会社職員を名乗る男から、無実を証明するためには警察官の事情聴取を受ける必要があると言われ、指示された番号にかけると電話に出たのは福岡県警捜査二課の「坂東豊」を名乗る男でした。

Aさんは坂東と1時間近く話し無実を証明しますが、電話の途中で突如話に割り込んできた刑事から別の事件の容疑者だと告げられたのです。新たな容疑は詐欺やマネーロンダリングで集められた1億5400万円がAさんの銀行口座に入っているため、犯罪グループに加担しているというもの。被害届が多数出ていてあすにでもこう留されると、恐怖心をあおられたAさんに「坂東」は、「優先調査」という措置を勧めます。

優先調査とは、妊婦や重病患者に対し優先的に無罪を証明する調査を行うという架空の制度。電話口で担当検事を名乗る「沖田理子」を紹介されます。

Aさん「(検事からは)あなたには守秘義務がありますと。大事な家族にグループが何をするかわからないから言うな。守秘義務を守らないといけないといわれて」

これは実際に詐欺グループとAさんとの間で交わされた守秘義務誓約書。家族などへの二次被害を避けるために周りの人たちには一切口外しないこと、また、インターネットの使用制限や2時間に1回メッセージで起床から就寝までの行動を連絡することを約束させられます。さらに。

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Aさん「AI監視っていうので24時間毎日朝起きてから寝るまで監視をされていて。フェイスタイムで私の顔をずっとこう…(ケータイを)持っていないといけない私の顔を合わせて、監視されている感じです。ずっとテレビ電話がつながっている感じです」

Aさんは朝から晩までビデオ通話をつなげることを指定されます。仕事中や買い物中はもちろん、風呂やトイレなど普段スマホをを持ち込まないような場所まで四六時中監視される生活が続いたと言います。

そしてAさんは、「優先調査」の一環として、口座に入っているお金が犯罪に使用されたのか調べるために振り込んで欲しい、必ずお金は返すと言われ、電話があった翌日におよそ1700万円を送金しました。

さらにそこから2週間後。「坂東」から新たにAさん名義の別の口座が詐欺に使用されているとの連絡が。これにより優先調査が中止になり、再開させるためには被害総額のおよそ1割にあたる2500万円を納付する必要があると言われます。

Aさん「そんなお金はないと言ったら借りれる人にでも借りて納めたらあなたは楽になる、潔白が晴れるし(と言われた)」

Aさんは、守秘義務で何も言えない中義母を頼り2000万円借りました。それでも足りない分は、子どものために貯めていた学資保険を解約、複数の金融機関から借りるなどしてかき集め、口座に振り込みました。

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その後Aさんの行動を聞いた親族が不審に思い警察に相談。ようやく詐欺だと発覚しました。

Aさん「正直容疑者じゃなくてよかったって思った(Q.義母の反応は)お母さんは…家族は、元気でよかった。とそうですね、健康でいてくれるのが一番いいと言ってくれて。それが本当に、申し訳ないなと思って、生きている間に全額、一生懸命働いて返したいなと思っています」

巧妙な手口で多額の金銭をだまし取られたAさん。当時を振り返り、今、後悔していることは。

Aさん「私30代で、子育て世代で仕事もしていて情報に疎いテレビを見る機会が(なく)物理的に本当に忙しくて。ニュースをちゃんと見ていればピンと来ていたんじゃないかなと思います」

先週、県警は、警察官をかたったオレオレ詐欺の状況を公表していて、今月時点で・49件覚知、被害額は1億4800万円にのぼっていて、被害額の半数以上は、先月以降のものだということです。

県警は警察が現金を要求することは絶対にない、一人で判断せず、振り込む前に家族や友人、警察に相談してほしいと呼びかけています。

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