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首里城の今をお伝えする『復興のキセキ』です。今月は、首里城の屋根を朱色に彩る『赤瓦』がテーマです。赤瓦をつくる仕事と、屋根にとりつける仕事、それぞれふたりの職人を取材しました。

堀切元気さん「(赤瓦職人に)なってよかったなというか。この仕事就けて良かったなっていうのは、日々感じています」

寄定秀美さん「県外から来た人間でしか伝えれないっていう役割もあるのかなって思って」

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

3年前の取材で出会った堀切元気さん。首里城の火災をきっかけに復興にたずさわりたいと当時務めていたITの会社を退職して、赤瓦職人の世界へ飛び込みました。

堀切元気さん「やればやるほど、何を出来るようにならなくちゃいけないのかが見えてきて、それができるようになるまで何年かかるのか」

2年前の取材ではまだまだ修行中の身でしたが、今では、実際に現場で瓦の施工に携わるようになっていました。今回の現場は、沖縄本島内のとある住宅。およそ1カ月をかけて朱色に輝く赤瓦に一枚一枚、丁寧に漆喰を塗り付けていきます。

堀切元気さん「やっぱりこの一つの現場が終わって、出来上がった屋根を見るっていうのは、やっぱ気持ちいいですね」

堀切さんを職人の道へと誘った先輩の神里善則さん。技術面ではまだまだとしながらも「一人前の職人になってほしい」と堀切さんに期待を寄せています。

先輩職人 神里善則さん「瓦の技術で言うと正直まだまだかなとは思います。これからだと思います。この1年やってる間にずいぶんと自分で仕事を覚えて、自分で考えてやるようになった。本当に一人前の職人になってほしい」

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

先輩の期待に応えるように堀切さん自身も早く先輩の背中に追いつけるようにと意気込んでいます。

堀切元気さん「まず一人前になりたい。ちゃんと(先輩たちと)一緒に。みんなで一緒に頑張れる職人になりたい」

そんな堀切さんですが、実は新しく取り組み始めたことがあります。

堀切元気さん「YouTubeを始めまして。YouTuberなんですかね」

まさか、まさかのYouTube?深刻な人材不足に悩む赤瓦職人の仕事に少しでも興味を持ってもらおうと、YouTubeチャンネルを開設し、動画制作に乗り出していました。その記念すべき最初の動画がこちら。


沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合@ryukyuakagawara YouTube動画『漆喰シーサー作り体験のシーサー』

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

再生回数は25回、登録者数は1人と人気チャンネルへの道のりは、職人と同じでそう簡単なものではありません。今後、職人としての技術を高めるとともに様々な動画をアップしていく予定となっています。

機械の音が鳴り響き、次々と土が運ばれその先で造られていく『赤瓦』。ここ八幡瓦工場で黙々と作業をしているのは寄定秀美さん。火災をきっかけに瓦職人の道へと飛び込んだひとりです。

寄定秀美さん「(沖縄に)来た当初よりかはこのいろいろさせていただけることが増えて、今は主に先ほどさせてもらったみたいにプレスした瓦の手入れとかをさせてもらうようになって」

自分も復興に携わりたいと寄定さんは当時、求人募集を出していた八幡瓦工場へ直接、電話で問い合わせます。その情熱を受け止めた社長が採用を決めたことから、寄定さんはひとり、広島から沖縄へと移住し、職人への道を歩始めました。

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

八幡瓦工場 八幡昇社長「努力家だからね。それが一番の彼女のいいところだと思いますよ。人一倍頑張ってるから」

移住から3年半。ことしはじめて寄定さんの父親が沖縄にやってきて復興の進む首里城を見てたそうです。

寄定秀美さん「(父にとって)普通に首里城に行くのと、自分が(沖縄の瓦工場)にいて、見る首里城というのは違うみたいで。私とこの首里城復興の思いを共有できて嬉しいっていうメールを送ってくれて、何かそれがすごく嬉しかった」

父親からは娘と思いを共にする温かいメッセージが届いていました。

父・寄定秀行さんからのメッセージ「着々と復興作業が進む首里城。秀美の思いを共有することができて嬉しい」

父からの応援を胸に寄定さんは職人をめざす原点となった首里城を度々訪れ、復興への気持ちを再確認しています。

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

寄定秀美さん「首里城に行ったりとかして、職人さんたちの思いと、あとは関わっている県民・県外の人たちの首里城に対する思いっていうのを何かまた改めて大事にして(赤瓦を)つくっていきたい」

正殿の復興に向けて、赤瓦の製造は早ければ来月にも始まる予定となっており、瓦の生産メーカーでつくる組合の各工場で合わせておよそ6万枚もの赤瓦を今後つくっていくことなっています。

赤瓦をつくる職人と屋根にとりつける職人。それぞれの思いを胸に日々の仕事に励んでいます。

堀切元気さん「首里城が(当時)つくられた背景だったりとか、調べれば調べるほど、ちゃんと気持ちを持って皆さん作ってこられたものだったんだなと。自分は(正殿の)作業に入れるのかどうか微妙だなと思うんですが、今の腕だと。もっと練習しないと(いけない)。できれば(正殿の作業に)間に合いたい」

寄定秀美さん「いろんな職人さんのすごい技術が詰まった建物なんだなっていうのは改めて思って、その上に乗せていただく赤瓦を今回作らせていただけるっていうのは本当に何かまた何か気が引き締まるというか、頑張らないとなっていうのは改めて思いました」

首里城2026 復興のキセキ 「若きふたりの赤瓦職人」

首里城の復興とともに着実に技術を磨き上げていく若きふたりの赤瓦職人。

3年後の正殿の完成に向け更なる成長に今後も注目です。