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地方自治とは一体何なのか…今、そのあり方が問われようとしています。

辺野古の新基地建設で大浦湾側に見つかった軟弱地盤を固めるために国が県に代わって工事を承認する「代執行」に向けた裁判がきょう、福岡高等裁判所那覇支部で始まりました。

玉城知事は自ら法廷に立って「代執行という国家権力で踏みにじることがないよう、対話によって解決の道を探ることが最善の方法」であると訴え、裁判は即日結審しました。

ただ、判決の期日が設定されなかったため、今後、司法判断がいつ示されるのか、注目されます。

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

軟弱地盤を固める工事に少しでも早く着手したい国が県を訴えた注目の裁判が始まりました。第一回口頭弁論では自ら法廷に立った玉城知事が設計変更を認めないことの正当性を主張しました。

Q今のお気持ちは?玉城知事「明鏡止水の境地で臨みます」

濱元晋一郎記者「裁判所の前には多くの人が傍聴券を求め、長い列を作っています」

午前中に行われた傍聴席の抽選では用意された33の席に対して284人分の抽選券が配られ、注目の高さが垣間見えました。普天間基地を抱える地元の宜野湾市民らは裁判に臨む知事を支持すると表明しました。

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

普天間爆音訴訟団 新垣清涼団長「知事をサポートすることは、宜野湾市民が暮らす空の安全安心につながることひいては沖縄の平和につながることと信念を持ち、草の根の市民運動を継続していきたいと考えています」

船越遼太郎記者「裁判で自ら県の主張を訴えるため玉城知事が県庁を出発します」

裁判所の前では多くの市民らが集まり知事を支えようと団結しました。

シュプレヒコール「沖縄の民意を守ろう」「デニー知事頑張れ」

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

玉城知事「ついに国は沖縄県知事から地方自治の権限を奪い取り、自分たちの思うようにその地域をコントロールしようとしています。それに対してきょう正々堂々とみなさんと同じ思いでしっかり主張してまいりたい」

集会に参加した人「国がみんな決めてしまう、やってしまう。これに歯向かうものはみんな違法だ、おかしいと言われたら、地方自治があったもんじゃない」

集会に参加した人「県民投票や県知事選挙の民意をちゃんと示した結果を届けてほしい」

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

集会に参加した人「沖縄県がちゃんと反対している事業を国が頭を押さえつけて、強引に押し通すこと自体がおかしい」

濱元晋一郎記者「裁判が始まった午後2時です。裁判所前の公園ではシュプレヒコールがあがっています」

裁判は設計変更の承認を求めた国の是正指示が適法だという最高裁の判断が示されたにもかかわらず県が不承認の立場を変えないことから国が県に代わって承認する「代執行」の手続きを進めるためのものです。

証言台に立った玉城知事は「国が代執行という国家権力で踏みにじることを許容しないよう、対話によって解決の道を探ることこそが最善の方法であることを示していただきたい」と訴えました。

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

一方、国は知事が承認しないことが違法であり、「工事の遅れは国の安全保障と普天間基地の固定化を回避するという重要課題に関わり、公益を害することは明らか」だと主張しています。

裁判は即日結審し、判決の期日は後日指定することとなりました。裁判を終えて、取材に応じた玉城知事は。

玉城知事「裁判所には国が代執行という国家権力で公益としての民意を踏みにじることをどうか容認されないよう、そして双方の対話によって辺野古新基地建設問題の解決の道をさぐることこそが最善の方法であることを県民の多くの民意にそくした判断として示して頂けるものと期待を申し上げました」

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

「私が法廷に立って堂々と県民の思いや、我々沖縄県がこれまで対応せざるを得なかった。特に基地問題に対してのその考えはしっかりと主張しなければいけないというように受け止めている次第です」

国と地方自治のあり方が問われる辺野古の代執行訴訟で司法がどういった判断を示すのか、注目されます。



記者解説 問われるべきは辺野古新基地の問題点


代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

設計変更の不承認をめぐる代執行に向けた裁判が始まりました。きょうの裁判がどのように展開していったのか、塚崎記者と見ていきます。

塚崎記者「はい。裁判は緊張感に包まれた雰囲気で始まり、およそ40分できょうの口頭弁論が終わりました。この中で県と国の双方とも、代執行に関する3つの要件、つまり「県が設計変更を承認していない状態が法令違反になるのか」「ほかの方法で解決が困難なのか」そして、「著しい公益の侵害となるのか」について意見が交わされました。

はい。まずは裁判を起こした国の主張から見ていきましょう。

塚崎記者「1点目の法令違反について、先月4日の最高裁判決で、国交大臣が知事に承認を求める是正指示が適法となった後も承認していないことを「公有水面埋め立て法の規定に違反する」としました。」

「2点目のほかの方法での解決ですが、知事について「適法な事務遂行は期待できない」として代執行の手続き以外は困難と訴えました。」

「3点目の「公益」の考え方については、日本の安全保障や、普天間基地の危険性の固定回避を挙げて、知事の不承認を「著しく公益を侵害される」としました。おおむね、これまで訴状などで述べたことを繰り返した印象です。」

そして、次は国に訴えられた県の主張です。

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

塚崎記者「1点目の法令違反について、先月4日の最高裁判決では、「公水法上の違反は何も示されていない」と反論しています。」

「2点目のほかの方法での解決ですが、対話での解決を挙げて、国の努力不足を指摘しています。」

「3点目の「公益」の考え方については、「地方自治の観点から考慮されるべき」と訴えています。」

国側が知事が国に従わないことを「異常な事務遂行」と訴えていることに反論して、「異常なのは、県民が嫌だと声を上げても、新基地こそが県民の負担軽減だと言ってその建設を強行する国の姿勢」と断じています。

辺野古の新基地建設をめぐる法廷闘争はこれまで10件以上続いてきていて、県側に有利な判断はなかなか示されない状況が続いていますよね。今後、出される判決について、期日がいつになるのかというのも重要ですが内容の面ではどういった所に着目すべきなんでしょうか?

塚崎記者「きょうの裁判で玉城知事はそもそも辺野古新基地建設について、普天間基地の危険性除去の唯一の解決策とする国側のこれまでの主張について、必要性・合理性に欠くと指摘していました。」

代執行訴訟 知事の1日ドキュメント

「知事が裁判で言及した大浦湾の軟弱地盤の工事の実現性や他国からのミサイル攻撃を受ける可能性のある固定基地の必要性のほかに、膨らみ続ける工期や費用の問題など課題は山積みです。そして何よりも国が辺野古に固執する以上、普天間基地の危険性除去は置き去りにされ続けます。」

仮に裁判所が国の訴えを認めて知事に命令を出し、その後代執行に至ったとしても、司法で今あげた根本的な議論はされないまま、国は県の権限を奪い、基地建設を進めたことになります。

地方自治のあり方を考える辺野古の代執行訴訟で何が問われて、何が問われなかったのか…、私たちは見つめていかなければなりません。