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沖縄のハードロックが日本を席巻していた1970年代、その発信地・コザの街を舞台にした映画「ミラクルシティコザ」が公開されています。当時のコザの活気をスクリーンで伝えたい、地元出身で今回、メガホンを取った若手監督、そして出演者にお話を聞きました。

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い

先月21日、北谷町にある映画館にはこの日を待ちわびた多くの人が訪れました。コザを舞台にした映画「ミラクルシティコザ」の公開日です。

主演に俳優・桐谷健太さんを迎え、県内で活躍している俳優が出演しています。

物語の舞台はハードロック全盛期、本土復帰前のコザ。ベトナム戦争に向かうアメリカ兵たちを熱狂させた元ロックンローラーの祖父に体を乗っ取られた青年の魂が、1970年代にタイムスリップするというコメディです。

映画では実際に1970年代に日本ロック界を席巻した沖縄を代表するロックバンド「紫」が楽曲を提供しています。

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い

平一紘監督「過去を描くことがすごい大事なタイミングっていうのがあるなと思っていて、コザはそれが今だなと思ったんですね。50年前からコザを盛り上げてきた人たちが、今も現役でやっていけてるっていう素晴らしい出来事を最後に残したい。言葉を選ばずに言えば、街もみんなもメンバーも元気なうちに撮れるタイミングで、しかもそれを見て実際この街を歩いて回れるタイミングは今しかないなっていう風に思って」

映画、そして舞台となったコザへの思いを語るのは、沖縄市出身の映画監督、平一紘さん。平さんは映画監督を目指し、大学時代からホラーやSFなどをテーマにした自主映画を作ってきました。現在は、県内でTVドラマの制作や監督をしています。平さんはこれまでの経験を活かし、沖縄を題材にした商業映画に取り組みたいと思っていましたが、大きな不安がありました。

平監督「沖縄コンプレックスがすごかったんですよ。沖縄からいろんな事情があって出れない。東京にも行けない。でも映画監督にはなりたいっていう矛盾があった時に、沖縄の青い海とか白い砂浜とか、生垣のハイビスカスとか優しいおばあちゃんとか。沖縄の優しい感じの映像とかで撮っていくっていうのは僕はできないなと思ったんですね。そういうのはもっと得意な人がいるし、なんか悔しい。これで東京の映画と闘うのはっていう、変なひねくれものだったんですよ」

そんな中で出会ったのが未完成映画予告大賞というコンペティションでした。本編ができていない映画の予告編を3分以内で制作するコンペティションで、タイトルには地名をいれなければいけません。そこで平さんがフォーカスしたのが、自分が育った地元・コザでした。

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い

平監督「コザの話にしようって心から決めた時に、足元見てみるとめちゃくちゃ面白かったんですよね。50年前が盛り上がって凄かったっていうのは聞いたことはあるよ。紫っていうバンドがいた。それも聞いたことあるよ。どんな人たちなのかわからなかったんですよ。主人公の翔太のように」

コンペティションの結果はグランプリ!しかし、撮影はコロナの影響で3度延期になるなど苦しい中で行われました。

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い

撮影現場のひとつ、cafe OCEAN。1967年に開店し、変わりゆくコザの歴史を今も変わらない場所で見つめています。

平監督「佇まいとか雰囲気とか、もうめちゃくちゃ好きなので、撮りたいなって思って。そっから逆算して話を考えた感じです」

コロナ禍でも多くの人に支えられ、撮影も無事に終了し、公開日を迎えました。

桐谷さん「監督はずっと不安だったんですよね」

平監督「正直、本当に桐谷さん来てくれるのかなっていう不安が3回延期になった中であったんですけど、来てくれて」

桐谷さん「ここのセリフってこうしたほうがいいですよねとか色んな変化があって、それがすべてベストな形にいったと感じているの。監督とお互い切磋琢磨できたのは、刺激的でした」

桐谷さんは撮影を通じて、沖縄に対する新たな一面を感じることができたといいます。

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い

桐谷さん「自分が勉強不足で知らなかった沖縄のいろいろな思いであったり、その時代にバンドをやっていた人たちから話を聞けたり。この映画をやることによって、楽しく映画を撮るっていうのがこんなに素晴らしいことなんだったっていうのをすごく感じられた。みどころは、見た人の心の中に残ってる何かが見どころだと感じてます。この映画はそういった意味では、見た人、十人十色の見どころがある映画になってますので、ぜひ、見終わったあとにみんなで見どころを話し合っていただけたら嬉しいなと感じてます」

映画を見た人「紫とか昔からいる本当のロックバンドが激動の時代で活躍してたんだなと思ったら、すごい楽しくて見てて感動しました」「コメディにもシリアスな感じにもいい感じに沖縄のことを描いていて、すごく見やすくていろんな人に広めていきたいなと思いました」

移り行く時の流れ、人や街も変っていく中で「おもしろいものを作りたい」という監督の変わらない思いが、このコザという街で生きています。

平監督「僕らが仮に70年代のコザに生まれたとして、同じことができるかって言われたらわからない。僕はロックバンドはやらないですけど、なんか映画作るのかって言われたらわからないですけど、でも何かしら、おもしろいことやりたいなとは思うでしょうし。だから僕、いつタイムスリップしても大丈夫なように心の準備だけはしとこうかなと思いますけどね」

映画「ミラクルシティ コザ」 若手監督・出演者 制作にかけた思い